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高齢者ではオメガ3不飽和脂肪酸の血中濃度と心房細動の発症には関連がある:Circulationより

Circulatoin1月26日オンライン版より

Association of Plasma Phospholipid Long-Chain Omega-3 Fatty Acids with Incident Atrial Fibrillation in Older Adults: The Cardiovascular Health Study

オメガ3不飽和脂肪酸の血中濃度と心房細動罹患率の関係を検討した研究

・Cardiovascular health studyに登録された65歳以上の心房細動および心不全のない例を対象
・血中のEPA,DPA,DHA濃度を測定
・1992-2006年までの31169人年の間の退院カルテと外来受診時の心電図を検討
・多変量Coxモデルで他の因子を補正

結果:
1)心房細動発症789例

2)3つの不飽和脂肪酸血中濃度の4分位最高位と最低位の心房細動相対リスク:0.71(0.57-0.89, P-trend=0.004)

3)DHAのみの場合では0.77(0.62-0.96, P-trend=0.01)

4)ノンパラメトリック検定では、3つの不飽和脂肪酸およびDHA単独の血中濃度と心房細動罹患率は負の関係あり

5)心不全あるいは心筋梗塞イベントで補正してもこの結果は変わらず

結論:高齢者では、不飽和脂肪酸全体およびDHAの血中濃度は、心房細動罹患率低値と関連していた。これらの不飽和脂肪酸をダイエットとして摂取することが心房細動の一次予防になりうるかどうかに焦点を当てる結果である。

###動物実験では有効との報告はあるものの、臨床における不飽和脂肪酸の摂取量と心房細動罹患率には関係が薄いとする研究またはメタ解析がこれまで多く、不飽和脂肪酸のアップストリーム効果は不明のままでした。血中濃度を厳密に測定すれば、関連はあるとする研究です。

どのくらい摂取すればこの四分に上位の濃度が得られるのか、興味あるところです。

関連のブログはこちら
http://dobashin.exblog.jp/12415721/
http://dobashin.exblog.jp/11974587/
http://dobashin.exblog.jp/11597922/
by dobashinaika | 2012-01-31 18:27 | 心房細動:アップストリーム治療 | Comments(0)

多剤常用薬服用者へのプラザキサ処方の意味:むしろわれわれの処方全体を見つめ直す良い機会ととらえたい

今日は、先日当院に通院されている患者さんで実際にあったことを報告してみます。

Pさんは永続性心房細動で、それまでワーファリンを服薬されていましたが、納豆が食べたいとのことでプラザキサの服薬を希望されました。
腎機能その他問題なかったのですが、70歳でしたので110㎎1日2回を処方しました。
ところが2週間後の外来で、やっぱりワーファリンに戻してほしいとおっしゃいました。理由は「高い」からでした。

Pさんは高血圧でA社のアンジオテンシン受容体拮抗薬、B社のカルシウム拮抗薬、脂質異常症でC社のスタチン、その他に高尿酸血症でD社のアロプリノールを飲んでいます。
その他に心房細動のレートコントロールのためにE社のβ遮断薬も服用中です。そしてこれまでワーファリン1日3〜3.5mgを服用していました。

Pさんの1ヶ月の薬剤費を計算してみます。
アンジオテンシン受容体拮抗薬1日1錠:125.30x30=3759円
カルシウム拮抗薬1日1錠(ジェネリック):43.2x30=1296円(正規品の場合:64x30=1920円)
スタチン1日1錠:76.4x30=2292円
アロプリノール1日200mg(ジェネリック):23.4x2x30=1404円(正規品の場合:54x30=1620円)
β遮断薬1日1回(ジェネリック):65.1x30=1953円(正規品の場合:140.6x30=4218円)
ワーファリン1日3mg:9.6x30=288円
合計=10992円(すべて正規品だった場合:14097円)
Pさんは3割負担ですので毎月薬局で3298円(正規品だった場合:4229円)も支払っています。

さて、ここでワーファリンをプラザキサに変更してみた場合を試算してみます。
プラザキサ110mgは1錠232.7円ですので、1日2錠1ヶ月で13962円、3割負担の場合の自己負担は4189円となります。ワーファリン分の288円を差し引いてもこれまでより3901円支出が多くなります。ここで増加分は、なんとこれまで服用していた5種類の薬の合計自己負担額より多いことがわかります。さらにPさんの月々の窓口支払は7199円となり、これまでの2倍以上になってしまったのです。もしPさんが70歳未満で150mg1日2回服用が適切だった場合は一月4486円増ですので、月々7766円、これまでの3298円に比べさらにかなり多額となります。

心房細動患者さんは、当然のことながら多くの場合心房細動だけを持っているわけではありません。たとえば日本の代表的登録研究J-RHYTHM Registryでは心房細動患者の合併症として高血圧59%、糖尿病18.2%、冠動脈疾患10.1%、弁膜症13.7%、脳梗塞の既往14.0%となっています。またアンジオテンシン変換酵素阻害薬またはアンジオテンシン受容体拮抗薬は全体の52.9%、スタチンは24.1%に投与されていました。

Pさんは服用していませんでしたが、プライマリーケアにおいては上記の他に例えば糖尿病や骨粗鬆症、逆流性食道炎、便秘薬、消化薬、貼付剤などなど様々な薬剤を複合的に飲んでいる方が大多数です。かりに糖尿病のαーGIや逆流性食道炎のプロトンポンプ阻害剤、骨粗鬆症のアレンドロネートのような薬価の高い薬がさらに処方されていた場合(そういうかたも多いのですが)、3割負担での窓口負担は優に5000円を超えてしまう方も少なくありません。

そのような生活習慣病を多く抱える通院者に、さらにプラザキサを処方するということは、月々3000〜5000円の自己負担に4000円弱(110mgx2の場合)または4500円弱(150mgx2の場合)が上乗せされ、薬剤にかかるお金が一月7000円〜10000円(一割負担の方で2100円〜3300円)に登ることを意味するのです。これはやはり考えなければならない問題ではないでしょうか?

私は、Pさんのような生活習慣病多剤併用者の薬剤については、1)ご希望により信頼のおける会社のジェネリックを用いること 2)なるべくアンジオテンシン受容体拮抗薬よりは安価なアンジオテンシン変換酵素阻害薬を使うこと 3)スタチンの適応を厳密に考えること 4)場合によってはβ遮断薬のみならずベラパミルなどの適応も視野に入れること、などを心がけるようにしています。
またなにより大切な事は、こうした薬価を処方前に患者さんにお話しして、特に3割負担の方には十分その支払額を了承していただいてから処方することです。ただしPさんの場合は、そうした説明で一時ご納得いただいたにも関わらず、実際薬局で支払ってみて額の大きさを実感され、次の受診の際ワーファリン再処方を依頼されたのでした。

お金の話ばかりになってしまいましたが、このような薬価の問題は決して製薬会社主催の講演会や学会では語られないことであるにもかかわらず、我々のようなプライマリケアの現場では極めて重要な問題であるだけに、書かずにいられませんでした。
もちろん、プラザキサの特徴は導入維持の簡便さにありますので、これまで脳塞栓症になってしまっていたような本来適応のある方を救い、ひいては医療経済に寄与するという大きな効用があり、長期的な視点にたった医療経済学的研究(日本の)の登場を待つまでは、薬価が高いことのみを批判することは早計です。しかしたとえばワーファリンコントロールが順調である患者さんに、月々288円だったワーファリンをわざわざ4000円某を上乗せして変更する必要があるのかは、この際熟慮する必要が有るのではと思うのです。特に上記のようなアンジオテンシン受容体拮抗薬、スタチン、αーGI、β遮断薬徐放剤、ビスホスホネート、PPIと言った”高価”な薬を沢山併用している方には、他の代替薬はないか、ジェネリックはないか、本当に適応はあるのか、といったことをむしろ考え直す機会としてプラザキサ処方を捉えたい気がいたします。
by dobashinaika | 2012-01-30 23:18 | 抗凝固療法:ダビガトラン | Comments(0)

iPad使用に伴う肩こりを避ける方法

明日休みなので、ネットから拾った息抜きの話題を。

Work: A Journal of Prevention, Assessment and Rehabilitationより
Touch-screen tablet user configuration and case-supporter tilt affect head and neck flexion angles
Work 41 (2012) 81–91


タッチスクリーンタブレットを操作するときの姿勢が、ユーザーの肩こりにどう影響するかを検討した論文

・15人の経験豊富なユーザーにiPad2およびモトローラのXoomを使って、インターネットサーフィン、ゲーム、映画鑑賞、eメールを一定の仕事量行ってもらった
・操作中の姿勢は次の4つ:膝の上で手で支持、膝の上にケース付きを置く、テーブルの上で低勾配、テーブルの上で高勾配
a0119856_23464297.jpg



結果:
1)頭と頸の屈曲角はタブレットの方が、デスクトップやノートブックマソコンより大きかった
2)タブレットの機器による姿勢の差はその傾斜角度に明らかに依存した。一方置き場所による姿勢の差は視線の角度に依存した

結論:頭や頸の姿勢は、膝よりテーブル置きにして、高い傾斜角度にして低い視線を回避すること,およびケースによって視線の角度を最適にすることで改善される。

###こちらのHealthtDayの記事にauthorのコメントが詳しく掲載されています.膝に置かずにテーブルの上において急勾配に立たせて使うのが最も疲れない置き方だと言うことです。まあ当然予想された結果ですが、それをまじめに頸や頭と視線の角度を厳密に測定して検証しているところが、ある意味すごいと感じる点です。

共同著者にマイクロソフト社の人間がいるのが気になりますが...
by dobashinaika | 2012-01-28 23:49 | 循環器疾患その他 | Comments(0)

中年男性においても「正常高値血圧(収縮期128~138mmHg)」は心房細動の危険因子:Hypertensionより

Upper Normal Blood Pressures Predict Incident Atrial Fibrillation in Healthy Middle-Aged Men
A 35-Year Follow-Up Study
Hypertension.2012; 59: 198-204


中年男性の一般住民コホートを対象として、「正常高値血圧」が心房細動発症に及ぼす長期的影響に関して検討した論文

・1972年~1975年までにノルウェーの心血管サーベイに登録された男性2014人を対象

結果;
1)35年までの追跡で270人に心房細動発症が見られた

2)心房細動発症率:収縮期血圧128未満に比べ、140以上の例では1.60倍(1.15-2.21)、128~138の正常高値血圧例では1.50倍(1.10-2.03)

3)拡張期血圧80以上では80未満に比べ1.79倍(1.28-2.59)

4)糖尿病や他の心血管疾患で補正してもその傾向は同じ

5)ベースラインから平均7年後の健康男性においても、正常高値血圧は心房細動の明らかな予測因子であった。

結論:正常高値血圧は健康な中年男性において心房細動発症の長期的予測因子となる

###米国の高血圧ガイドラインJNC-7では血圧140/90以上を「高血圧」、120~139/80~89を「高血圧前症」と定義しています。
一方、日本のガイドラインJSH2009では130~139/85~89を「正常高値血圧」と定義しています。今回"upper normal"血圧と定義されたのは128~138であり、日本の「正常高値血圧」の方により近い血圧と言えます。

女性においては、この3万人を対象にした大規模観察研究で、収縮期血圧130-139の例では120未満に比べ1.43倍の累積発症率であることが示され、正常高値血圧のリスクは証明済みでした。

今回、中年男性でも同様の結果が示された形です。「中年男性正常高値血圧」とはまさに自分のことを言われているわけで、多少危機感を持って読みました。
by dobashinaika | 2012-01-27 22:25 | 心房細動:リアルワールドデータ | Comments(0)

ワーファリンによる大出血時、中和に失敗した場合:J Thromb Haemost.より

J Thromb Haemost. 1月18日オンライン版より

Failure to Correct International Normalized Ratio and Mortality Among Patients with Warfarin-Related Major Bleeding: an Analysis of Electronic Health Records

ワーファリンに関連した大出血に対し新鮮凍結血漿(FFP)を投与された患者の30日生存率と死亡までの時間につき検討

・電子カルテデータベースによる後ろ向き研究
・対象:大出血、新鮮凍結血漿投与前あるいは当日のINRが2以上、ワーファリン1回処方90日以内
・FFP開始1日後のINR正常化(INR1.3以下)を評価

結果:
1)条件を満たした患者は405名:平均年齢75歳、男54%
2)FFP開始1日後にINRが正常化していない患者が67%
3)全患者の11%が入院30日以内に死亡
4)正常化されていないINRは、全体の30日死亡率とは関係なしだが、頭蓋内出血のサブグループにおいては(死亡率は)有意に高い(オッズ比2.55、1.04-6.28)

結論:ワーファリン関連頭蓋内出血患者では、新鮮凍結血漿によりINRが1.3以下あるいは1.5以下に正常化されない例において、30日死亡率が増加した

###私自身はFFPを使うほどの大出血を経験したことがありません。一般的にFFPの場合、INRの正常化には800cc以上の大量投与が必要となるとされています。一方ビタミンKによる中和は即効性の点で問題があるので、本当の緊急時には第IX因子複合体製剤などが使用されているものと思われます。
by dobashinaika | 2012-01-26 23:02 | 抗凝固療法:中和方法 | Comments(0)

心房細動の早期再発には炎症が関与:Europaceより

Europace 1月10日オンライン版より

Role of inflammation in early atrial fibrillation recurrence

リズムコントロール中に早期に再発する心房細動における炎症の役割についての検討
・リズムコントロール中に短期間に再発する心房細動患者100名対象

結果:
1)1カ月未満に再発する早期再発は30例30%。平均再発期間6日(四分位範囲2-14日)

2)早期再発群の予測因子はIL-6(ハザード比1.3,1.0-1.0,P=0.02)と現在または以前の喫煙(ハザード比3.6,1.2-10.9,P=0.03)

3)29例29%は永続化

4)形質転換成長因子β1、左室駆出分画、早期再発は永続化の予測因子

結論:心房細動の早期再発にはIL-6の発現による炎症が関係していた。抗炎症治療は早期再発を予防しリズムコントロールを改善する可能性がある。

###まあそうだと思われます。炎症をどう抑えれば再発抑制につながるか。動脈硬化予防に準じたトータルマネジメント。現時点ではこれが教科書的解答でしょう。予防医学のペーパーを読ほどに、真の答えは個と向かい合う現場にしかないということにいつも戻ることになります。
by dobashinaika | 2012-01-25 19:51 | 心房細動:アップストリーム治療 | Comments(0)

乳幼児突然死症候群に関連した遺伝子突然変異:Circulationより

Circulation1月24日号より

Connexin43 Mutation Causes Heterogeneous Gap Junction Loss and Sudden Infant Death
Circulation. 2012;125:474-481


・乳幼児突然死症候群(SIDS)の10-15%がイオンチャネル病(細胞膜を通過するNa、K、Caなどのイオンの通り道となるタンパク質の異常)と推定されている。

・細胞と細胞の間をつなぐタンパク質=ギャップジャンクションの構成蛋白としてコネキシン43が知られているが、これをエンコードする遺伝子GJA1の欠乏と致死性不整脈との関連が知られている。

・292名の乳幼児突然死症候群症例の心筋組織のDNAを解析した。

・2症例(2ヶ月白人男子と3ヶ月白人女子)でE42KとS272Pという,珍しくて新しい遺伝子突然変異が認められた。

・E42K突然変異では細胞接合部の伝導に機能低下を認め、同遺伝子異常のある心筋ではモザイク染色パターンを示した。

結論:本研究はSIDSの新しい病因学的基質としてのGJA1遺伝子突然変異に関連した分子的、機能的根拠を示した最初の研究。E42Kコネキシン43はtrafficking に依存しない細胞間接合の減少をきたし、病的心筋において突然変異DNA配列のモザイクパターンを示した。このことはコネキシン43関連突然死の新しいメカニズムとして提示された。

###きのうのブログで紹介した「ギャップジャンクション遺伝子異常が心房細動の一原因となりうる」との知見に関連した論文が最新号のCirculationで目に止まったので紹介しました。きのうの論文とあわせて考えれば、遺伝子治療により乳幼児突然死症候群の一部が治療できる可能性も推測できるかと思われたので、upした次第です。
by dobashinaika | 2012-01-24 23:30 | 心臓突然死 | Comments(0)

コネキシン遺伝子導入は心房細動を抑制する:Circulationより

Circulation 1月17日号より

Connexin Gene Transfer Preserves Conduction Velocity and Prevents Atrial Fibrillation
Circulation. 2012;125:216-225


コネキシン(心筋細胞間を接合するタンパク質)遺伝子の導入により伝導速度が保たれ心房細動が予防されることを動物実験で検討した論文

方法:
・30頭の豚を洞調律群と心房細動群に分け、それらをさらに対照群、コネキシン40 (Cx40)導入群、コネキシン43 (Cx43)導入群の3つのサブグループに分けた
・遺伝すは心外膜にペイントした。心房細動は高頻度心房刺激により誘発した。最終研究は遺伝子導入後7日で施行された

結果:
1)洞調律群では導入した遺伝子の強い発現は認められたが、心房内伝導速度に変化はなかった

2)心房細動群では対照群で(はじめから)Cx43の発現が少なく、偏っていた。Cx43遺伝子導入により遺伝子発現が回復し細胞での局在が洞調律レベルに戻った

3)心房細動群ではCx40, Cx43量遺伝子導入が、伝導速度を改善し、心房細動を抑制した

結論:コネキシン遺伝子治療は心房内伝導を保ち、心房細動を抑制した。

###コネキシンは、細胞と細胞を接合するタンパク質(ギャップジャンクション)を構成する物質で、これの遺伝子変異が心房細動発現に関係することが以前から報告されてきました(以前のブロクも参照ください)。今回はそうしたタンパク質の遺伝子を直接心臓の膜に塗り付けることで、心房細動の豚の心臓の伝導速度が回復し(速度が遅くなると心房細動は持続しやすい)、心房細動も抑制されたとのことです。

こうした研究がもっともっと出てくるといいですねー。心房細動がなくなる日が来るかもしれません。遺伝子治療は人類をどこへ連れて行くのでしょうか。
by dobashinaika | 2012-01-23 23:22 | 心房細動:リアルワールドデータ | Comments(0)

ダビガトラン1日2回投与が1日1回投与よりも優れることの検証

Curr Med Res OpinのEpub ahead of printより

Twice daily dosing of dabigatran for stroke prevention in atrial fibrillation - A pharmacokinetic justification.

シミュレーションモデルに、RE-LY試験の参加者のデータを付け加えることにより、ダビガトランの薬物動態プロファイルを解析した検討

・RE-LY試験での9522例のデータを用いた

結果:
1)RE-LY試験の典型例(72歳男性、白人、体重80kg、クレアチニンクリアランス68.64ml/min)において、血中の濃度のピーク/トラフ比(最高最低比)はダビガトラン150mg1日2回投与で2倍弱だったのに比べ、1日1回投与では5倍であった

2)1回の飲み忘れあるいは服薬遅れの場合、1日2回投与の方が1日1回に比べ適切な血中最小レベルが維持されていた

3)ダビガトランの第2相試験およびRE-LY試験で集められた薬物動態データでも同様の結果であった

4)本研究では効果や出血の比較は行われていない

結論:薬物動態シミュレーションによれば、ダビガトラン1日2回投与において血中濃度の変化は最小であり、出血予防と同時に塞栓抑制効果が得られるに十分な最小血中濃度を維持できた。その効果と安全性は臨床試験(RE-LY)により支持された。

###薬物動態を紙の上でシミュレーションするだけでなく、実際の臨床データの血中濃度解析することでも1日2回投与の有効性、安全性が確かめられたとのことです。やはりこの薬、飲み忘れないことが大事だと感じます.

最近承認されたイグザレルト(リバーロキサバン)は、同様のシミュレーションの結果、ダビガトランより半減期が短いながらも1日1回でその効果が実証されたようです。同薬でもROCKET-AF試験でその裏付けが同様になされればより安心と思います.
by dobashinaika | 2012-01-22 22:02 | 抗凝固療法:ダビガトラン | Comments(0)

重症腎機能低下例に対するダビガトラン用量設定の薬理学的根拠:米国FDAからの報告

FDAの医薬品評価研究センターから、重症腎機能低下者へのダビガトラン投与量の推奨に関し、その基礎となる薬理学的根拠が報告されています。

Clinical pharmacology basis of deriving dosing recommendations fordabigatran in patients with severe renal impairment.
J Clin Pharmacol. 2012 Jan;52(1 Suppl):119S-25S


米国FDAではすでにクレアチニンクリアランス15-30の方に限ってダビガトラン75mg1日2回の投与を認めています。その根拠となるリサーチかと思われます。

本文が入手できないので詳しいことはわかりませんが、シミュレーションにより、重症腎機能低下例には75mg1日2回投与が合理的で適切であるとしています。

以前に紹介したRE-LY試験のサブ解析も同様のデータでした。参考にしてください。

日本では保険上認められていない投与量です(ただし150mg1日2回処方では75mgの剤型を使いますので日本の”リアルワールド”では75mgx2で服用している方も存在する可能性はあります)。

しかしワーファリン不適合例でかつ腎機能重度低下例では,日本にでも考慮されるべき用量設定かと思われます。
by dobashinaika | 2012-01-20 22:46 | 抗凝固療法:ダビガトラン | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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