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生まれたときの体重と心房細動とは関係がある

以前肥満が心房細動と関係があるという論文を紹介しましたが、今度は生まれたときの体重で大人になってからの心房細動を予測できるという論文です(Circulation 2010: published online before print August 9, 2010, 10.1161/CIRCULATIONAHA.110.947978.)。

背景)出生時の体重と心房細動の出現の関係を調べた研究はない。

方法と結果)1993年から2009年までBrigham and Women's Hospital(ハーバード大学)などに訪れた女性のうち、心臓病や心房細動のない45歳を超えた27,982人の女性を対象とした。出生児体重を2.5kg未満、2.5~3.2kg、3.2~3.9kg、3.9~4.5kg、4.5kg超の5グループに分けた。
14.5年追跡し、735人に心房細動が発生した。心房細動発症率(年齢で補正した)は出生時体重が重いほど高かった(1000人あたりの発症人数;軽い方のグループから1.45, 1.82,1.88, 2.57, 2.55)。他のいろいろな条件を補正しての解析では、2.5kg未満の発症率を1とした場合、それより重いグループの発症率はそれぞれ1.30, 1.28, 1.70, 1.71だった。研究開始時のボディマスインデックス(BMI)、血圧、糖尿病の有無はこの解析ではあまり影響しなかった。対照的に、身長や成長期の最高体重で補正すると、この関係ははっきりしなくなった。

結論)女性では出生児体重はその後の心房細動の発症に明らかに関係していた。このことは早い時期の条件が心房細動の病態に重要な役割を担っていることを意味する。

###生まれたときから心房細動になるかどうかが決まっている!というのは大げさでしょうが、興味深い論文です。まだ出版前の報告ですので、全文の発表が待たれます。
by dobashinaika | 2010-08-19 23:10 | 心房細動:リアルワールドデータ | Comments(0)

精神疾患

当院は内科医院を謳っていますが、心の悩みを抱えた方も多く来院いたします。うつ病患者さんの65%ははじめに内科医院を受診するといわれており、我々内科医の精神疾患を見る機会はますます増えております。当院ではこうした患者さんにもできるだけしっかり対応したいと考え、月曜日の午後5時からは患者さんを2人にしぼって、じっくり患者さんを見る完全予約制外来の形を取っております。

大変報告が遅れましたが、さる8月8日、日本循環器心身医学会という学会が主催するPIC(Psycheatry in Cardiology:循環器病学における精神医療)セミナーに参加いたしました。

詳細は省きますが、このセミナーは心の悩みを抱える患者様に対して、自己流でなく、一定のルールーを持って診療できるように、大変質の高いプログラムが組まれておりました。

今後ともこうした学習を重ねて、精神的な悩み苦しみを持つ方を、一定の道に導くことができるように学習して行きたいと思います。
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by dobashinaika | 2010-08-17 22:57 | 開業医の勉強 | Comments(0)

左心耳〜これまで見逃されてきた心房細動の始まりの部位〜

だいぶ更新をサボっておりました。ご多分に漏れず、夏の疲れが出た様です。
本日から当院は5日間お休みをいただきますが、ブログははりきって更新して行きたいと思います!!

さてちょっと前ですが、心房細動のアブレーションにとって見逃せない論文がありましたので、紹介します。

心房細動は、左心房にある肺静脈の入り口から出る不整脈(期外収縮)から始まることが多いといわれていますが、それ以外から始まることもあります。その中でも左心耳と呼ばれる左心房の中で袋状になっている部分から始まることが報告されました。(Circulation. 2010;122:109-118)

背景)左心耳は心房細動の最初の場所としてはあまり注目されていなかった。

方法と結果)再発のため2回目のアブレーションを施行した987人(発作性29%、非発作性71%)の心房細動患者を登録した。266人(27%)の人で左心耳からの期外収縮が認められた。987人中86人(8.7%)の人は左心耳からの期外収縮が唯一の心房細動の発生源であった。左心耳を全くアブレーションしない人たち(グループ1)、左心耳のある場所だけアブレーションした人たち(グループ2)、左心耳丸ごと他の組織から隔離焼灼した人たち(グループ3)に分けて12ヶ月間追跡したところ、グループ1の人は74%の人が再発し、他のグループ2(68%)やグループ3(15%)に比べて有意に多かった。

結論)再発する心房細動の27%の人は、左心耳からの不整脈が原因だった。左心耳を(アブレーションにより)隔離することが心房細動をなくすことにつながった。

人間の心臓の上の部屋、心房にはなぜか犬の耳のような形をした袋状の心耳という構造物があって、心房細動の人の血栓の温床となります。神様のいたずらのようなものですが、これが心房細動の再発にも絡んでいたとなると、まさに左心耳憎し、といえるかもしれません。ともあれ、まだ新しい知見ですので、今後の検証が必要かと思われます、
by dobashinaika | 2010-08-12 22:46 | 心房細動:アブレーション | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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