<   2010年 05月 ( 10 )   > この月の画像一覧

iPad

iPad購入しました!
中毒になりそうです。
患者さんの説明などにも十分使えます。
a0119856_23461278.jpg

by dobashinaika | 2010-05-28 23:46 | 開業医生活

第5回心房細動を考える会

昨日(27日)、私が世話人を務めます。心房細動を考える会の第5回が開催されました。

はじめに東北大学病院循環器内科の福田浩二先生から「抗不整脈薬の作用機序による使い分け」について、詳しい解説がありました。最近心房細動治療において、不整脈の薬は以前より重視されなくなってきている傾向があります。無理に正常なリズムに戻さなくてもよいとする研究結果が発表されているからです。しかし、やはり心房細動は、症状のある人にとっては、ないに越したことはありません。その時不整脈の薬はやはり有力な武器となります。今回改めて、そういった薬の細かい使い分けについて、福田先生から詳細にお話しいただき、理解を新たにいたしました。

後半は、何といっても心房細動治療で一番知りたい「ワーファリンの実践的使用法と課題」についてわたし、五十人町おおとも内科の大友淳先生、福田先生からそれぞれワーファリンの導入、休薬、維持、相互作用についてお話しいたしました。
昨日は、仙台市内で非常にたくさんの勉強会が開かれた模様で、出席者こそ少なめでしたが、その分、講演の途中でも質問が相次ぎ、大変密度の濃い勉強会ができたと思います。
by dobashinaika | 2010-05-28 08:26 | 心房細動:リアルワールドデータ | Comments(0)

大動脈ステント治療の進歩‐第8回みやぎ心臓疾患症例検討会‐

おととい(25日)、私が世話人をしております、みやぎ心臓疾患症例検討会の第8回が開催されました。仙台近辺の循環器を専門とする開業医の先生を対象に、循環器の病気のそれぞれの専門の先生に最新の治療につき、講演していただく勉強会です。

今回は、仙台厚生病院心臓血管外科の阿部和男先生に、胸部、腹部大動脈瘤に対するステント治療についてお聞きしました。ステントとはいわゆる金属の筒で、狭心症などでは今や標準的な治療法となっています。一方、近年高齢化に伴い、心臓から全身に血液を送る大動脈が膨れてこぶ状になる大動脈瘤にかかる患者さんが増加しています。司馬遼太郎やアインシュタインもこの大動脈瘤が破裂したために死亡したとのことです。従来この病気は、血管を人工のものに取り換える手術しか治療法がありませんでしたが、瘤の部分にステントを挿入し、弱い壁のところを補てんして破裂しないようにする治療が開発されました。と言いましても、欧米では10年以上前から実用化され、日本ではようやく数年前から行われるようになったとのことです。

仙台厚生病院では早くからこの治療法に取り組まれており、阿部先生は宮城県では一人しかいない同治療法の指導医です。ステント治療は胸やおなかを切らないでカテーテルで挿入するため、体への負担が少なく、入院期間も短いことが長所です。一方やはりどうしても手術でないと治らない場所があり、全部の患者さんができるとは限りません。また医療費の関係もあり腹部大動脈瘤では、リスクの高い方に限って適応されるとのことです。

ステント治療法は、どんなステントを選ぶか、どこの場所においてくるかなど熟練した技術が要求されますが、近所にこのような素晴らしい先生がおられることに、幸せを感じる会でした。
by dobashinaika | 2010-05-27 08:23 | 開業医の勉強 | Comments(0)

平成22年度日本ペースメーカー友の会宮城県支部総会

本日は平成22年度の日本ペースメーカー友の会宮城県支部総会があり、来賓として出席いたしました。この会も設立から2年半を迎え、新規入会の方も増えており、順調に運営されているように思われます。ただ会員の方、役員の方にはご高齢の方も多く、どうしても会の出席を継続できない方もおられるとのことで、今後は役員数を増やしていくことで全員の賛同が得られました。

午後からは恒例の質疑応答があり、ペースメーカーと低周波治療器、電気毛布、CT、乳がん検診、タッチパネル式携帯電話との関係に関する質問や、術後の痛み、高齢でも手術はできるのか、などかなり多様な質問が出されましたが、回を重ねるごとに質問も進化しており、答える側も勉強しなければとの思いを強くいたしました。
a0119856_2362221.jpg

by dobashinaika | 2010-05-23 23:06 | ペースメーカー友の会

レニンアンジオテンシン系の抑制による心房細動予防のメタ解析

心房細動の一番大本もある原因は何でしょうか?それは心房が筋肉でできるているからです。というと禅問答のようですが、若い人の全く障害のない筋肉は筋肉繊維の束(筋肉は筋肉細胞が束状に集まって、細長い繊維を作っています)がまっすぐで電気もスムーズに流れます。ところが、様々な原因でその筋肉の配列に乱れが起きたり、間に電気を通さない組織(線維組織)が入り込んだりすると電気にも乱れがおきますこれが心房細動です。このようなよけいな組織が入り込まないようにする薬として、血圧の薬であるアンギオテンシン変換酵素阻害薬あるいはアンギオテンシン受容体拮抗薬(以下ACE/ARB)が注目されてきました。実際数年前までは、効果があるとするデータが次々と発表され、大変な期待が寄せられたものです。しかしながらここ数年その効果に否定的なデータも出され、結論は出ていないままになっていました。今回、これまで出た数々の論文をまとめて分析した、メタ解析の結果が発表されました。(J Am Coll Cardiol 2010;55:2299-2307).

目的)ACE/ARBの心房細動抑制に関する臨床試験データを概観する

背景)これまでの結果は、各研究で一定でない。

結果)計87,048人を扱った23の無作為割り付け試験(ACE/ARBを飲んだ人とそうでない人を無作為に分けて結果を比較する)を解析した。元々心房細動がない人の新たな心房細動発症を対象にした試験は、高血圧患者対象が6試験、心筋梗塞対象が2、心不全対象が3だった。一方心房細動を持っている人の再発を調べた試験は、心房細動を(電気ショックなどで)元に戻して(除細動)からの再発を調べたのが8試験、薬による再発予防患者を対象としたのが4試験であった。
全体としてACE/ARBは、それを飲んでない人に比べ33%心房細動を抑制した。しかし各試験の間で、その対象などにはばらつきがあった。新たな心房細動発症を調べた解析では、心不全、高血圧、左心室の肥大がある患者で有効性が認められたが、心筋梗塞後の患者では有効ではなかった。心房細動の再発を調べた解析では、抗不整脈薬を飲んでいる患者で、よりACE/ARBが有効だった。全体として、除細動後の患者で45%、抗不整脈薬服用中の患者で63%も再発が抑制され、新規の発症よりも効果が大であった。


###同様の解析は2005年にも同じ雑誌で発表されましたが、今回はその後に、効果がないとする論文がいくつか出たことを受けての解析だと思われます。ですが、今回の論文は一応それでも全体としてACE/ARBの心房細動への効果はあり、と結論されています。しかしながら、まだまだ結論づけるのは早そうです。論文の中でも述べられていますが、解析の対象となった試験の多くは、心房細動を主要な検討項目として最初から設定していません。つまり最初から心房細動が起きるかどうか調べると決めずに、後からそういえば心房細動はあったのだろうか、と振り返って調べられているものがあるのです。そのような研究では調べ方も年1回心電図を取るだけであったりしています。そもそも心房細動があったかどうかを心電図だけで判定するのには限界があり、電話伝送などの方法を用いないと発作が見逃されたりします。
そうした限界をできるだけ排除して、はじめから心房細動のみを標的として行われたGISSI-AFという試験ではACE/ARBの効果は全く証明されませんでした。
心房細動は、多種多様な疾患です。それは時間的に進行するため、どのくらい進行した段階で、つまり発作性の段階か、持続性の段階かによって、どんな治療が効果的なのかが変化するからです。同様に今度は同じ進行度の患者さんでもその背景、例えば高血圧があるかないか、心不全があるかないかでも違ってきます。心房細動治療はこの時間軸と空間軸との両方から考えなければうまくとらえることができません。その意味で、いわゆる前向き試験がより多く行われ、もっと解析されるべきでしょう。
a0119856_23131620.jpg

by dobashinaika | 2010-05-21 23:13 | 心房細動:アップストリーム治療 | Comments(0)

健康増進外来の見学

ブログにアップするのが大変遅れてしまったのですが、先週の11日(火)、坂総合病院北部診療所の看護師さん1名が、当院の健康増進外来を見学にいらっしゃいました。
同診療所では家庭医療の実践を目指し、診療されているとのことで、保険医協会新聞等をご覧になり、当院のナースによる健康増進外来について興味を持たれたとのことでした。
こんな小さな診療所に、他の施設から見学に来ていただけるということは、それだけで大変名誉なことであり、今後の励みにもなります。当院看護師もやや緊張しながら、質問に答えていました。
by dobashinaika | 2010-05-18 00:14 | 心理社会学的アプローチ | Comments(0)

D-ダイマーは抗凝固薬を飲んでいる心房細動患者の塞栓症や心血管事故を予測する

ワーファリンの効果を調べる検査としてPT-INR(プロトロン時間国際標準化)が広く用いられていますが、時にワーファリンを十分飲んでいてもPT-INRが高いままであり、脳塞栓症を起こす患者さんがいることが知られています。そうした患者さんの場合他の検査が必要となりますが、以前からD-ダイマーという検査が有効であるといわれていました。今回脳塞栓や心血管重大事故の予測にも役立つことが、日本の病院の先生からアメリカの一流心臓専門雑誌(J Am Coll Cardiol, 2010; 55:2225-2231)に報告されました。

目的)D-ダイマーの上昇が、抗凝固薬(ワーファリンなど)を服用中の心房細動患者の脳塞栓症や心血管事故を予測するかどうかにつき検討した。

背景)心房細動の場合抗凝固薬を服用しているにも関わらず、凝固能(血液が固まる力)が異常な場合がある。D-ダイマーのレベルは血栓(血液の固まり)ができる前の段階を反映しており、塞栓症や心血管事故の予測に役立つかもしれない。

方法)熊本県の病院に2006年1月から2007年4月まで、ワーファリン服用中の心房細動患者301人を登録し、最終的に269人(男57%、平均艶麗74歳、160人が発作性)を対象にした。塞栓症と心血管事故(脳塞栓、脳出血、心筋梗塞、心血管病による死亡)を比較した。患者のPT-INRは1.5~3.0であった。

結果)D—ダイマーが高い(0.5µg/ml以上)患者は63人、23%であった。彼らは年間10人(1.8%)の割合で塞栓症(脳塞栓8人、一過性脳虚血発作1人、末梢血管塞栓1人)を認め、年間27人(4.8%)の割合で心血管事故(塞栓血栓症10人、心不全による死亡9人、突然死3人、心筋梗塞2人、脳出血3人)を認めた。D-ダイマー値が高い患者は塞栓症や心血管事故を高率に来した(塞栓症はD-ダイマーが低い患者の15.8倍、心血管事故は7.64倍)。
a0119856_2348536.gif



結論)D-ダイマーは、抗凝固薬を服用している心房細動患者の塞栓症と心血管事故の両方に有効な指標となりうる。

###D-ダイマーとは体の中で血液が固まったときにできる血栓(フィブリン)がとかされて分解された物質です。ですので、D-ダイマーが高いということは、体のどこかに血液の固まりが存在していることを示す訳です。一方PT-INRは血液の中の凝固因子という、血液を固まらせるタンパク質の活動性を表しています。ですからD-ダイマーの方が心房細動の副産物である左心房の中の血栓の有無を直接反映している数字ということができます。実際PT-INRは毎月採血されている方も多いと思いますが、これの高い低いでもって将来脳塞栓や、心血管事故などを予測することはできませんでした。その点D-ダイマーは将来のことまで予測する有効な検査といえます。ただしこの論文で設定された0.5という値が果たしてこれでよいのかについては今後もっと研究を重ねるべきと思われます。またPT-INRのようにどこの医療機関でもその日のうちに検査できるまで普及していません。しかしワーファリンにかわる新しい抗凝固薬の登場が間近であり、今後に期待できる検査です。

by dobashinaika | 2010-05-16 23:09 | 抗凝固療法:適応、スコア評価

心房細動の再発を予測するもの

最近の心房細動関連の論文でもう一つ無視できないのものイタリアで行われたGISSI-AF試験があります。これは比較的長く続いたり、発作回数の多い持続性または発作性の心房細動患者さんを、高血圧の薬のバルサルタンを飲む群と偽薬を飲む群とに分け、心房細動再発までの時間や1年以内に再発した人の割合を比べた試験です。結果は予想に反し、バルサルタンを飲んだ人と偽薬を飲んだ人とで差がつきませんでした。バルサルタンに代表されるアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARBと略されます)は、心房細動予防によいとされていたこれまでの説を覆すものでした。
この試験を後から解析し、どんな人に心房細動の再発が多いのかを明らかにした論文がアメリカの心臓病専門誌に発表されました(American Heart Journal 2010; 159: 857-863)

背景)心房細動は、正常なリズム(洞調律)に戻った後も再発しやすい不整脈である。再発の危険因子(どういう人が再発しやすいか)を明らかにすることが、再発予防の最良に戦略となる。

方法)GISSI-AF試験に登録された1442人の患者さんを対象にした。この人たちには過去6ヶ月で2回以上の心房細動発作があるか、または少なくとも2回以上心房細動を(電気ショックや薬剤などで)正常リズムに戻したことのある人たちである。これらの人をバルサルタンを飲む人と偽薬を飲む人に無作為に割り付けた。初めての発作再発までの時間、および1年以内に再発した人の割合を比較したのがGISSI-AFの本試験であった。今回はどのような特徴のあった人が再発しやすいのかについて、統計手法(Cox multivariableモデル)を用いた解析した。

結果)過去6ヶ月以内に2回以上の発作のある人は、その後も再発しやすかった。発作の後、自然に正常リズムに戻った人では、発作が2回以上あった人はそうでない人の1.42倍再発が多かったが(95%信頼区間1.14-1.77, P=0.002)、電気ショックで正常に戻った人の場合も1.19倍と多く(95%信頼区間1.10-1.40, P=0.038)、正常リズムへの回復の仕方には関係なかった。また正常リズムのときの心拍数が低い(遅い)方が再発しやすかった(95%信頼区間0.99-1.00, P=0.052)。1回以上の再発率においても同じ結果であった。アミオダロン(不整脈の薬)を飲んでいると再発しにくく、利尿薬を飲んでいると再発しやすかった。

結論)心房細動が以前あったかどうかが、正常リズムへの戻り方に関わらず、再発の危険因子であった。アミオダロンと利尿薬は再発に影響を与えた。

###心房細動は、基本的に進行する病気です。最初は年1回だったのが、年3〜4回となり、月1回となり、だんだん止まらなくなり、ついには慢性化します。そのため、どこで正常リズムとお分かれしてこう不整脈薬を出さず、心拍数を遅くする薬だけを出すことにするかの決断を迫られる時期がやってきます。これまでその判断はなかなか難しく、ケースバイケース、医師の裁量として処理されてきました。今回の論文のような情報は、こうした判断の助けとなります。すなわち過去2回以上の発作のある人、利尿薬を使っている人は再発しやすいので、むやみにこう不整脈薬を続けない、などの判断材料になります。実際、この正常リズムに固執するかどうかの判断に迷うことも多く、このような情報がもっと出てくると、本当に我々としてもありがたいです。

by dobashinaika | 2010-05-11 22:23 | 心房細動:リアルワールドデータ

正常なリズムでは心房細動のときよりも心不全症状は少ない。

心房細動の数ある論文で過去10年間最もインパクトのあったものに、AFFIRM(アファーム)試験があります。心房細動が起きないように不整脈の薬を飲み続けるのと、心房細動は起きてもいいので心拍数だけ抑えようとした場合とで生存率に差がなかったというものです。それまで心房細動はとにかくない方がよいとの固定観念が、医師にも患者にもありましたが、それを覆す結果であったため全世界で大変な反響を呼びました。今回生存率でなく、息切れなどの心不全の症状が、この2つの戦略とどう関係するのかをAFFIRM試験のデータを用いて分析した結果が、アメリカの不整脈専門誌(Heart Rhythm 2010; 7: 596-601)に発表されました。

背景)AFFIRM試験は心房細動を押さえる治療が、心拍数のみ押さえる治療に比べ、生存率の点で変わりないことを示した。しかし心房細動と患者の生活の質が落ちることとは関連がある。

目的)息切れ、動機などの心不全の症状を、心房細動抑制を目指す群と心拍数調節を目指す群と比べる。

方法)AFFIRM試験のデータを用いて解析(サブ解析)し比較する。

結果)心房細動抑制群より心拍数調節群の方が心不全症状は一般的に多く見られた。正常なリズム(洞調律)の場合が最も症状が軽く、心房細動の場合葉より症状は重かった。心房細動抑制の方針から心拍数調節へと方針が変わった例(あるいはその逆)で最も症状が重かった。

結論)心房細動抑制群は心拍数調節群に比べ、心不全の症状は軽かった。正常なリズムの維持が最良の心機能と関連していた。心房細動抑制を目指しているにも関わらず心房細動が発生し症状の強い患者はアブレーションなど、他の治療方針を考えるべきである。

###日本でもJ-RHYTHM(ジェイリズム)試験というAFFIRM試験出井辞した試験が行われました。この試験はAFFIRMより発作心房細動や心機能のよい患者が多かったのですが、やはり生存率に差はないものの、動機などの症状は今回と同様、心房細動抑制群でよかったという結果でした。実際問題、心房細動をそのままにして心拍数だけ押さえる場合も、目標となる心拍数を達成するには薬の種類や量の選択の点で難しいのが現状です。症状が強い患者さんはやはりなるべく正常なリズムを目指すという考え方を指示する論文です。
by dobashinaika | 2010-05-09 23:19 | 心房細動:ダウンストリーム治療

インフルエンザワクチンはワーファリンに影響がないことが示唆される

インフルエンザワクチンがワーファリンの効果に影響を与えるとの報告がこれまでいくつかなされています。ワーファリンの効き目を強くするとの論文もあれば弱めるとの報告もあり、これまで評価は一定しませんでした。これまでの論文は後ろ向き研究が多く、また症例の数も少なくエビデンスレベルとしては低いものが多かったからです。
今回比較的多数の患者さんを前向きに追跡調査した論文が、イタリアの研究グループからアメリカの医学雑誌に報告されました(Arch Intern Med. 2010;170(7):609-616)。

背景)毎年たくさんの人々がインフルエンザワクチンを接種されるが、その中の多くの高齢者がワーファリンをはじめとする何らかの薬剤を服用している。この論文はインフルエンザワクチンのワーファリンの効果(INR)に与える影響や出血、脳梗塞といったイベントの効果、インフルエンザワクチンの効果とワーファリンとの関係などを明らかにすることを目的とする。

方法)イタリアのPerugiaでビタミンKのモニターをしている(INR測定)サービスによりリクルートされたワーファリンを服用している、インフルエンザワクチンの適応患者104名を対象とした。これらの患者さんを次の2群に無作為に割りつけた。ワクチンを打って1ヶ月間に4回採血し、2週間間隔を開けた後に偽薬を注射しその後1ヶ月間でまた4回採血する(VP)群。偽薬を打った後、ワクチンを打つ(PV)群(採血方法は同じ)。それぞれPT-INR、出血合併症、インフルエンザ抗体につき調べた。

結果)
1)同じ患者さんにおいてPT-INRが適切なレベルに維持された割合はワクチン接種後が70.7%、偽薬接種後72.4%と差はなかった。
2)大出血は両方共に認められず、皮下の小出血のみ11例で認められた。
3)インフルエンザ抗体は92~100%の患者で認められた。
a0119856_23504665.gif


結論)インフルエンザワクチンはINRやワーファリンの投与量には影響を与えなかった。ワーファリン服用患者では、ワクチン接種後に頻繁にPT-INRを検査する必要はない。

###インフルエンザワクチンとワーファリンとの関係は諸説ありましたが、これまでわが国の臨床現場ではあまり意識されずに、ワーファリンを飲んでいる方にもワクチンが打たれていたように思います。今まで決め手となるエビデンスが無かったことも原因として思われます。今回、症例数は少なめとはいえ、しっかりした研究デザインに基づいて、ワクチンとワーファリンは関係ないことが示唆されたことは、現場に無用な混乱を与えることが無くなる意味で、大変有意義な研究と言えると思います。
by dobashinaika | 2010-05-01 23:51 | 抗凝固療法:全般


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


by dobashinaika

プロフィールを見る
画像一覧

S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31

カテゴリ

全体
インフォメーション
医者が患者になった時
患者さん向けパンフレット
心房細動診療:根本原理
心房細動:重要論文リンク集
心房細動:リアルワールドデータ
心房細動:診断
抗凝固療法:全般
抗凝固療法:リアルワールド
抗凝固療法:凝固系基礎知識
抗凝固療法:ガイドライン
抗凝固療法:各スコア一覧
抗凝固療法:抜歯、内視鏡、手術
抗凝固療法:適応、スコア評価
抗凝固療法:比較、使い分け
抗凝固療法:中和方法
抗凝固療法:抗血小板薬併用
脳卒中後
抗凝固療法:患者さん用パンフ
抗凝固療法:ワーファリン
抗凝固療法:ダビガトラン
抗凝固療法:リバーロキサバン
抗凝固療法:アピキサバン
抗凝固療法:エドキサバン
心房細動:アブレーション
心房細動:左心耳デバイス
心房細動:ダウンストリーム治療
心房細動:アップストリーム治療
心室性不整脈
Brugada症候群
心臓突然死
不整脈全般
リスク/意思決定
医療の問題
EBM
開業医生活
心理社会学的アプローチ
土橋内科医院
土橋通り界隈
開業医の勉強
感染症
音楽、美術など
虚血性心疾患
内分泌・甲状腺
循環器疾患その他
土橋EBM教室
寺子屋勉強会
ペースメーカー友の会
新型インフルエンザ
3.11
未分類

タグ

(40)
(27)
(25)
(24)
(22)
(21)
(20)
(19)
(19)
(18)
(17)
(16)
(15)
(12)
(12)
(12)
(12)
(11)
(11)
(10)

ブログパーツ

ライフログ

著作

プライマリ・ケア医のための心房細動入門

編集

治療 2015年 04 月号 [雑誌]

最近読んだ本

感情で釣られる人々 なぜ理性は負け続けるのか (集英社新書)


幸福はなぜ哲学の問題になるのか (homo viator)


神話・狂気・哄笑――ドイツ観念論における主体性 (Ν´υξ叢書)

最新の記事

プライマリ・ケア外来でも発作..
at 2017-06-26 22:22
心房細動患者では,ワルファリ..
at 2017-06-23 22:15
米国プライマリケア外来でも過..
at 2017-06-20 19:26
低リスク症例では,NOACは..
at 2017-06-18 23:08
低用量適応のない例での低用量..
at 2017-06-17 00:01
ワルファリンの管理状況が良け..
at 2017-06-06 21:11
第10回 どばし健康カフェ「..
at 2017-06-06 08:17
やはり心房細動では血圧が高い..
at 2017-06-04 19:15
日本人の今後10年間の心房細..
at 2017-05-25 15:14
米国でも日本でもDOAC発売..
at 2017-05-19 00:01

検索

記事ランキング

最新のコメント

簡潔なまとめ、有り難うご..
by 櫻井啓一郎 at 23:16
いつも大変勉強になります..
by n kagiyama at 14:39
土橋先生論文を分かりやす..
by ekaigo at 17:41
コメントありがとうござい..
by dobashinaika at 21:03
先生のブログ(共病記)を..
by 大西康雄 at 13:07
コメントありがとうござい..
by 小田倉弘典 at 18:40
コメントありがとうござい..
by dobashinaika at 18:35
コメントありがとうござい..
by dobashinaika at 18:34
はじめまして 心房細動..
by 患者目線 at 08:36
脳梗塞を起こしているから..
by 心配性 at 06:36

以前の記事

2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 03月
2007年 03月
2006年 03月
2005年 08月
2005年 02月
2005年 01月

ブログジャンル

健康・医療
病気・闘病

画像一覧

ファン