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第3回日本心臓ペースメーカー友の会宮城県支部茶話会

本日、第3回のペースメーカー友の会宮城県支部茶話会がありました。ペースメーカーやICDを装着されている患者さまが5~6人で一つの机を囲み、そこに私、東北大学循環器内科の福田浩二先生、日本メドトロニック社仙台支店の金塚さんはじめ2名、の計4名のアドバイザーが加わり、日ごろのペースメーカーに関する疑問や悩む、不安といったものを出し合いました。

私にとってこの会は、ペースメーカー、ICD患者さんの本音や本当に知りたいことがストレートにわかるという点で、大変貴重です。普段患者さんは、医者と一対一で接すると、ついいい患者でいようという気持ちが働き、本音をぶつけてくれないことがあります。何人かの同じ問題を抱えている方と一緒だと、そういった規制が外れて、普段話せなかったこと、医者に言おうとしてもためらってしまったことが、たくさん出てきて、患者さんの心理をつかむうえでも大変勉強になりました。

会の冒頭、事務局は11名だが、体調が悪い方や各人のお仕事のご都合などで、なかなか思うようにマネージメントができないとのお話がありました。顧問としましても、今後今まで以上に協力していきたいと思います、。a0119856_2394748.jpg
by dobashinaika | 2010-02-28 23:10 | ペースメーカー友の会

発作性心房細動の慢性化の予測にはHATCHスコアが有効である。

多くの心房細動患者さんが、初めは年に数回だった発作が、だんだん頻度を増し、ついに慢性化するというストーリーをたどります。ではどんな人が慢性化しやすいのか?それを事前に知っておけば、その因子を是正することで慢性化が防げる可能性があります。多くの発作性心房細動患者を対象に前向きに調べた試験の結果がアメリカの心臓専門誌Journal of American College of Cardiologyの2月23日号(J Am Coll Cardiol 2010 55: 725-731)に掲載されました。

研究の目的)多くの患者を対象に、心房細動の進行を研究し、心房細動の予後(成り行き)を研究する

背景)発作性や持続性心房細動が永続性心房細動に移行するのをよく見る。しかしすべての症例がそのように進行するわけではない。

方法)ヨーロッパの182の病院で研究対象として登録されている心房細動患者5333例のうち、発作性心房細動、あるいは入院中に自然に停止したり、薬物により心房細動が停止したのを初めて認めた患者、計1219人(平均年齢64歳)を対象とした。これらの人を1年間追跡した。

結果)1年間で178人、15%の人が永続性心房細動に移行した。心不全、年齢75歳以上、一過性脳虚血発作または脳梗塞、慢性閉塞性肺疾患、高血圧の5つが、心房細動を永続化させる独立した危険因子であった。これらのうち一過性脳虚血発作または脳梗塞を2点、心不全を2点とし、それ以外を1点とした点数にした場合(この点数をHATCHスコアと名付けた)、5点以上の人は約50%が永続化したのに対し、ゼロの人の移行率は6%であった。永続化した人の入院率や心不全発症率などは高かった。
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結論)かなりの頻度(15%)で発作性の人が永続性に移行した。HATCHスコアは永続化を予測するうえで有用であった。

注;この論文では発作性心房細動とは自然に停止するもの、持続性心房細動は7日以上続き自然には止まらないものと定義されている。

###心房細動は、心房の筋肉がいろいろな理由で線維組織などに変化し、次第に進行します。心房の筋肉を変化させる理由は何でしょうか?ひと口に加齢現象だと片づけがちですが、でも心房細動にならずに一生を終える方のほうが圧倒的に多いのです。その差は一体何でしょうか?その原因は複合的であるということをこの論文では示唆しています。慢性疾患の時代に入り、前世紀のように結核菌→結核といったような一義的な要因で決まる病気は少なくなりました。しかしそれでもなお、どんなことが心房細動の永続化に良くないのかを知りたいと思います。この論文はそうした患者、医師の思いを代弁してくれており、しかもわかりやすい点数まで出してくれています。面白いことに、点数となる項目は心房細動の脳塞栓を予測するCHADS2スコアと、一つしか項目が違いません(HATCHの肺疾患がCHDAS2では糖尿病)。HATCHスコアは今後有用な武器になりそうです。だたCHADS2と違って、何点以上だと治療開始といった指標とは違い、なるべく低くしておいたほうがよいといった意味で受け取るべきでしょう。
 なお、他の多くの研究では年間の慢性化率はもっと低く見積もられているようです。たとえば日本の心房細動研究の第一人者、山下武志先生のデータでは年間5.5%とされています。一つの原因として、本研究では平均年齢が高いことや、薬物による停止を認めた人を含んでいるため、持続性の人が混じっている可能性がある方と思います。

論文のまとめはこちら
by dobashinaika | 2010-02-28 20:06 | 心房細動:リアルワールドデータ

カテーテルアブレーション成功後はワーファリンを服用なくてもよいかもしれない。

ワーファリンは、心房細動治療に不可欠な薬ですが、納豆が食べられなくなったり、毎月採血が必要だったりと、何かと厄介な薬です。一方カテーテルアブレーションは心房細動の根本治療であり(場合によりますが)、アブレーションで完治すれば、ワーファリンは飲まなくてもよいのでは、と期待する方も多いと思います。アブレーション成功後にワーファリンを飲むべきかどうなのかについての論文が、アメリカの心臓専門誌Journal of American College of Cardiologyの2月23日号(J Am Coll Cardiol 2010 55: 735-743)に掲載されました。

P:患者)カテーテルアブレーションで肺静脈の隔離術に成功した心房細動患者3355人。

E:介入)アブレーション後、ワーファリンを飲まなくなった人2692人(男79%,平均57歳).CHADS2スコア*1点が27%、2点以上が13%)

C:対照)アブレーション後もワーファリンを飲んでいる人663人(男70%、平均59歳)。CHADS2スコア1点が37%、2点以上が39%

O:結果)脳梗塞の出現頻度

T:研究の種類)無作為割り付けでない後ろ向き研究

結果)約28カ月(薬飲まない人)および24カ月(薬飲んだ人)の観察期間のうち、脳梗塞は薬を飲まない患者の2人、0.07%、薬を飲んだ患者の3人、0.45%で見られたが、統計学的に有意な差ではなかった。薬を飲まない患者でCHADS2スコア2以上の人の脳梗塞は一人もいなかった。大出血は薬を飲んだ患者のほうで多くみられた(0.04% vs. 2%).

*:CHADS2スコア:心房細動患者で脳梗塞の危険を点数で表したもの。心不全、高血圧、75歳以上、糖尿病、脳梗塞の既往(これのみ2点)をそれぞれ1点とし、2点以上はワーファリンの適応がある。

###これまで、カテーテルアブレーション成功後にワーファリンをやめるべきかについての結論は出ていません。患者を飲む群と飲まない群で無作為に割りつけた大規模な試験がないためです。この試験もおそらく主治医などの方針により飲む、飲まないが決定された後で、振り返って脳梗塞がどちらが多かったかを調べています。このような方法だと、脳梗塞になりやすそうな患者は、ワーファリンを飲む群に入る可能性があり(この研究でもその傾向あり)、ワーファリンを飲む群のほうが脳梗塞が多くなる危険性をはらんでいます。

また。統計的に差はつきませんでしたが、ワーファリンを飲まない群のほうが脳梗塞が多くなっていました。これまでのいろいろな学会の声明文などもワーファリンはやめないほうがよいという論調が多くを占めています。なぜ、アブレーションが成功して、心房細動がなくなってもワーファリンをやめないほうがよいのでしょうか?それは、アブレーション成功と思われていても20%~30%の確率で再発があり、多くが無症状で再発するからです。知らないうちに心房細動が再発しているのに、ワーファリンを飲まないから脳梗塞になる、という理屈です。

しかし本研究では、ワーファリンによる出血の危険性も考慮すると、ワーファリンをやめてもよいかもしれないという期待を抱かせる結果となっています。この問題に関しては、もう少し研究を積み重ねる必要があるかもしれません。

論文のまとめはこちら

今号のJournal of American College of Cardiologyは心房細動の論文が集中して掲載されていますので、順次まとめていく予定です。
by dobashinaika | 2010-02-18 22:04 | 心房細動:アブレーション

左心房がだんだん大きくなるのは血圧と肥満度に関係する

左心房は心房細動の主な発生場所であり、左心房が大きいほど心房細動になりやすいことが知られています。左心房の大きさに何が関係しているのか、それを多数の地域住民を長年追跡することで明らかにした研究がアメリカの心臓専門誌Circulation2月9日号に掲載されました。

研究の背景)左心房径の拡大は心房細動のリスク増加に関係あるといわれているが、短期あるいは長期の追跡調査は少ない。

方法と結果)アメリカのフラミンガム地区の住民を追跡調査するフラミンガム研究に参加している4403人(平均年齢45歳、52%が女性)を対象に、超音波検査で左心房の直径を定期的に測定し、その拡大に何が関係しているのかを調べた。

高齢、男性であること、肥満、高血圧、降圧薬を飲んでいることの5つが左心房径と関係していた。男性は女性より4年間で3.83mm左心房径が増加した。血圧は10上がるごとに0,24mm、降圧薬を飲んでいる人が飲んでいない人に比べ0.54mm増加した。同じ肥満度の増加であれば、男性のほうが女性に比べ左心房径がより大きくなった。

結論)より高い血圧と肥満度が左心房径の拡大のキーポイントであった、これらを適正レベルに保つことで心房細動の予防に期待が持てる。

###左心房が大きい人に心房細動は多いですが、心房細動が起きると左心房もまた大きくなるので、どちらが原因か結果かは判断の難しいところです。この研究も左心房が大きくはる人は血圧が高く太っていた、という関係がわかっただけで、では血圧を下げると左心房の大きさも小さくなるのか、痩せれば小さくなるのか、といった治療効果にまで結論することはできません。

しかしこれだけの多くの人を長年にわたって追跡した調査は他に例がなく、我々の診療において大変参考になるデータだと思います。やはり血圧と肥満は心房細動と密接に関係しているというべきでしょう。

論文はこちら
by dobashinaika | 2010-02-12 00:15 | 心房細動:リアルワールドデータ

健康増進外来について発表いたしました

本日、宮城県保険医協会主催の「第14回歯科スタッフアイディア体験交流会」が宮城県歯科医師会館で行われ、当院の看護師、熊谷亜希子が健康増進外来について発表いたしました。この会は、歯科医療者の日々の診療でのアイディアを発表しあい、情報交換を行うもので、今回は「五感を使って感じる」をテーマに行われました。

当院では、昨年から本格的に、傾聴、指導しない、患者の感情に敏感になる、を基本姿勢とし、看護スタッフによる完全予約制約1時間の健康増進外来を立ち上げました。最近少しずつ軌道に乗り、患者さんの満足度や検査結果なをも少しずつ向上し、看護スタッフのやりがいも感じられるようになってきています。その辺のことを発表させていただく機会を得、大変光栄であり、また今後の励みとなりました。

当日は他のいろいろな医療従事者から、「五感」を使った日々の診療でのアイディアについて、たくさんの示唆に富む情報を得ることができました。

今後とも今日得たことを、健康増進外来に生かしていきたいと、決意を新たにいたしました。a0119856_20223315.jpg
by dobashinaika | 2010-02-11 20:22 | 心理社会学的アプローチ

コレステロールを甘く見ない

今日は、市内でコレステロールの講演会「実地臨床における虚血性心疾患治療のストラテジー -コレステロールを甘く見ない!!-」に発表者として参加しました。当院に通院されている患者さんで、狭心症があり、何回もステント治療を受けた方について発表させていただきました。

当院では一度狭心症や心筋梗塞でカテーテル治療(風船治療やステント)を受けた方が約130名通院されておりますが、その方々の悪玉コレステロール(LDLコレステロール)の平均値は目標値である100をやや下回る99くらいであることが今回の発表でわかりました。全員目標を達成しているわけではなく、4割程度の方は100~130くらいでした。

より厳しく下げたいところですが、副作用や薬を飲む量が増えることが考えられ、そのリスクとベネフィットのせめぎあいの中で治療方針を決める必要があります。今更ながら生活習慣病治療の難しさを感じた研究会でした。
by dobashinaika | 2010-02-10 22:55 | 開業医の勉強

多業種の良好な医療連携が適切なPT-INRコントロールにつながる

アメリカでは、薬剤師の裁量範囲が日本より大きく、多くの州でワーファリン処方とPT-INR(プロトロンビン時間いわゆるサラサラ度:この表現には賛否両論ありますが...)を薬剤師が管理しています。医師と薬剤師との良好な医療連携が、適切なPT-INRのコントロールに関連していることを示す論文が心臓の専門雑誌アメリカンハートジャーナル2月号(American Heart Journal
Volume 159, Issue 2, February 2010, Pages 183-189 )に掲載されています。

論文の背景) アメリカでは、薬剤師による抗凝固療法サービスが普及し、PT-INRが安定した段階で内科医に紹介されるというシステム(共同ケアモデル)がある。この研究では、このシステムがPT-INRの良好なコントロールに寄与しているのかを調べた。

方法) このモデルを行っている米国のプライマリーケア医121人に電話アンケートを行った。かれらは121人の患者を平均14.5週フォローしていた。

結果) この研究では、いったん薬剤師によるコントロールを離れ、医師が患者をフォローすることになったあとでは、医師はあまり他の専門家にコントロールについて相談しないことが示された。INRを測定する医師は39.7%、フォローアップの記録をする医師は6.6% 、薬剤や食品との相互反応(ワーファリンの効果に影響を与えたかどうか)を同定していた医師はそれぞれ32.3%と9.9%だった。
コンピューターを用いてのINRの管理、ワーファリンと競合する薬の同定、専門家への相談をすることが、それぞれしない場合に比べ9.16倍、3.49倍、5.92倍もPT-INRの適切なコントロールに影響していた。

結論) プライマリーケア医はこのモデルにおいてさえも、ワーファリンのコントロールのためにあまり他業種と連携していない。こうした医療連携をした場合はしない場合より良好なPT-INR管理ができる。


###アメリカは日本と違って、民間保険が大部分であり、一回の受診あたりの医療費が非常に高いので、血圧、血糖などの測定や本研究のようなPT-INR測定などは各地に多数ある薬局が行っています。薬剤師の裁量範囲は広く、PT-INRの測定からワーファリンの処方まで薬剤師が行えます。この論文ではそうした専門性の高い薬剤師と医師との間の連携が必ずしも頻繁に行われていない実態が報告されています。
日本の場合は、当然のことながら、納豆を食べていないかどうかといった問診、採血、そしてワーファリン投与量の変更まですべて医師が行います。ですので、この報告のようにたとえ安定期に入っていてもINRを32%の医師しか測定しないなどということはあり得ません。この辺は、日本の医療システムの「手厚さ」を感じさせる結果です。

しかしながら、INRの管理において、多業種がかかわることは大変大事です。日本では何でもかんでも医師が行うので、ワーファリン投与の上で注意すべきたくさんの事柄を患者さんに十分伝えられない場合があるかもしれません。国民皆保険である分だけ、患者さん一人当たりにかけられる時間はアメリカより絶対的に短いのです。これを補うための医療連携が必要です。当院では初めてワーファリンを患者さんに処方する場合、まず看護師が患者さんの食事の嗜好や1日の生活パターン、他の医療機関で薬をもらっていないか、歯科治療中ではないかなどにつき時間をかけて聞くようにしています。また服薬にあたっては、近くの薬局と連携して注意事項をお伝えするようにしています。

アメリカ並みにとまでは必要ありませんが、日本でもコメディカルができる医療行為の範囲につき、もう少し考えてもよいと思われます。

論文はこちらから
by dobashinaika | 2010-02-04 23:25 | 抗凝固療法:ワーファリン | Comments(0)

治りにくい発作性心房細動の症状改善には、抗不整脈薬よりカテーテルアブレーションが優れている。

発作性心房細動は、実は薬で起きないようにすることが大変難しい薬です。心房細動を抑える薬(抗不整脈薬)が1年間発作をゼロにする確率はせいぜい50%くらいといわれています。一方、カテーテルアブレーション(焼灼術)はこうした薬よりも再発率の点で格段に良いことが示されています。このことをさらに実証する研究がアメリカ医師会雑誌JAMA2010年1月27日号に掲載されました。

P) 6か月以内に3回以上の発作性心房細動を起こし、1種類以上の抗不整脈薬が効かなかった患者。30日以上発作が続く人、18歳以下の人、心不全患者(左室駆出分画40%未満)、以前にカテーテルアブレーションを受けた人などは除いた。

E) カテーテルアブレーションを受ける

C) 今まで飲んだことのない抗不整脈薬を飲む

O) 9か月以内の症状のある心房細動の再発を調査した。約3カ月ごとの診察や症状が出た場合心電図を電話伝送して確認するなどの方法をとった。またカテーテルを受けた人では、もう1度カテーテルをしたかどうか、再発予防の薬を変更したかどうかも調査した。薬を飲む人では、薬を変更したかどうかを調査した。それぞれのグループで上記のことが起こるまでの時間を比較した。

T) ランダム化比較試験(カテーテルになるか薬を飲むかは無作為に割りつけられた)

結果)カテーテルアブレーション群では66%の人で、上記の出来事が9か月以内に起こらなかったのに対し、薬群では16%の人しか再発や薬変更がなかった(ハザード比0.30; 95% 信頼区間, 0.19-0.47; P < .001)。症状が消失する人の割合や、心房細動が再発しない人の割合も同様の結果であった。
なお、患者さんの平均年齢は55,7歳、心房細動にかかっている期間は平均5.7年、それまで飲んでいた薬は平均1.3剤であった。

また副作用として、カテーテルアブレーションでは5例に合併症(4.9%、心のう液、肺水腫、肺炎、血管の合併症、心不全)がおきた。薬群では2例に重大な別の不整脈、3例に薬剤を中止すべき副作用が出た。

###カテーテルアブレーションのほうが、薬をずっと飲むよりも、発作性心房細動の症状や再発を抑えることは、これまで  いくつかの研究で報告されています。今回の研究は、心房細動の再発を電話伝送で確認するなど、これまでより厳密な方法を用いて、これらの研究をより確かにするものです。

論文を読むとき、大切なポイントの一つに、どんな人に適応できるということがあります。心房細動と一口に言っても、高齢者の方、発作の少ない方、薬を飲んだことのない方などその特徴は人それぞれでしょう。この論文は、55歳前後で、5年間心房細動を自覚しており(半年に3回くらい発作あり)、薬を1.3剤くらい飲んでも効かない、心不全はない、というような患者さんを想定しての結果だということをまず押さえてください。

この論文の問題点としては、9ヶ月くらいしかフォローしていない、症例数が少ない、カテーテルアブレーションの方法が一定でない、などがありますが、それを考慮したうえで、これまでの研究を合わせて検討しますと、やはり症状の改善には、カテーテルアブレーションのほうが有効であると言えるかもしれません。

しかしながら、もう一度繰り返しますが、こうした効果はあくまで病脳期間が5年くらいで発作が時々起り、50代くらいの人に当てはまるものであり、これよりも長い期間症状のある人や、高齢の人では必ずしも当てはまらないと思われます。

薬か手術か、という選択は医療現場で常に悩ましい問題です。いつの場合でも医療行為は、
(それをすることで得られる利益)>(それをすることでおこるリスク)
の場合に選択されます。カテーテル手術は、大変少ない頻度とはいえ重大な合併症がおこるリスクがあり、それに加え体に管が入ることの抵抗感、が加味され、上の式の右項が大きく感じられるため、なかなか簡単には意思決定できない問題をはらんでいます。

論文(英文)はこちら
by dobashinaika | 2010-02-04 00:04 | 心房細動:アブレーション | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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