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テレビ,新聞,週刊誌,ブログの健康情報を読み解く4つのポイント

最近,SNS,ブログ,NHKの「ガッテン」などの健康情報の読み取り方がまた問題になっています。

その根底には,医療への不信,「効く」ものを渇望する不安に対し医療者が真摯に取り組んでこなかった尊師性が問われていると思われます。
もう一つは,われわれ医師の間にも,十分な吟味をせずにビデンスに基づかない過剰な検査や治療を行っている現実があると思われます。これらを正していくことも喫緊の課題ですが,健康情報をどう読み解くかをを皆で考えていくことも大切だと思います。

2年前に「テレビ、新聞、雑誌の健康情報をどう読み取るか?」に関する患者さん向けパンフレットを作りましたが,そこで挙げた「健康情報を読み解く4のポイント」を再度,紹介いたします。

【テレビ,新聞,雑誌,ブログの健康情報を読み解く4つのポイント】
紹介された情報の根拠となる研究や実験が
1)ヒトを対象としたものか
2)(薬であれば)飲んだ人と飲まない人を比べているか
3)医学論文に載ったものか(その出典を明らかにしているか)
4)複数の研究に支持されているかです。

1)紹介された研究が動物実験であれば,一旦判断保留です。

2)薬の情報のときは,その薬を飲んだ人と飲まない人とで結果を比べているかが大きなポイントになります。飲まない時のデータを対象におかない研究では,本当にその薬が効いたのか,いわゆるプラシーボ(偽薬)効果なのかがわかりません。

3)患者さんの体験談や医学博士の推薦文だけでは信頼度はかなり低いです。またたとえ学会で発表されたことを謳っていても,学会発表だけでは信頼できる根拠にはなりません。最低限査読を受けた「論文」に既に発表されている研究であれば信頼度は高くなります。そしてその論文の名前と雑誌名が記されていればより良いと思われます。

4)STAP細胞のケースでわかるように,1つの論文だけでは本当に信頼できる情報かどうかはわかりません。これまで複数の論文や学会のガイドラインに掲載され,専門家の間での推奨度が高い情報であることが必要です。「他の研究からも支持されています」「ガイドラインでも強く推奨されています」と言った記載や言い回しに注意したいところです。

厳密には医師は4)まで満たしてはじめて薬や検査についてある程度自信を持って勧めることができます。スライドにまとめました。
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以前のブログはこちらです。http://dobashin.exblog.jp/20744661/

また上記とは反対の角度から「こんな週刊誌などの健康情報は鵜呑みにしてはいけない8つのポイント」もまとめましたのでご参照ください。

【こんな健康情報は鵜呑みにしてはいけない8つのポイント】
1.くすりや治療の副作用だけを伝え,効果(どのくらい有効か)について伝えていない
2.重大な副作用だけが述べられ,その数字(確率)が示されていない
3.副作用や効果についての根拠(理由)が示されていない
4.論文や診療ガイドラインについて伝えられていない
5.紹介された論文が動物を対象としている
6.紹介された論文がその薬を飲んだ人と飲まない人とをくらべていない
7.医師の意見や患者の体験談だけを根拠にしている
8.「飲んではいけない」「受けてはいけない」などの言葉を使っている

by dobashinaika | 2017-03-02 00:27 | 患者さん向けパンフレット | Comments(0)

ケアネット連載「週刊誌の「飲んではいけない薬」は本当なのか?」更新いたしました


ケアネット連載 〜Dr. 小田倉の心房細動な日々~ダイジェスト版~更新いたしました。

今回は第64回, 週刊誌の「飲んではいけない薬」は本当なのか?です。
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7月19日にアップしたブログをパワポでおとしたのもです。

当院では週刊誌をお持ちになって不安を訴える患者さんには,これと同じか,最後のまとめだけをプリントアウトしてさしあげています。また医院の壁にも貼って読んでもらうようにしています。

そもそもなぜこんなに週刊誌が攻勢をかけ,患者さんも興味を示されるのか。
医療者もしくは患者ー医療者間の問題として2つあると思われます。

1)治療のゴールを共有していない。
スタチンを何故飲むのかと聞くと「コレステロールを下げるから」と答える方が多いのは事実です。「心筋梗塞を防ぐ」ことを患者ー医療者の共通目標として,最初に確認していないから,副作用に不安が募る,とも考えられます。

2)医師の研鑽不足
かぜ症状への抗菌薬,ノーリスク閉経後女性へのスタチン,ACE阻害薬よりもARBの多用など。標準治療からはずれたまたは第1選択でない,しかしより高価な薬剤使用が未だに隆盛を極めているかもしれません。

その他,患者側の原因として,身近な副作用のほうが見えない効果よりも大きく見える認知バイアス。ゼロリスク志向。出版社の問題として,利益重視の姿勢,リスクコミュニケーションスキルの欠如,などを上げることができます。

多面的な角度からこの問題を診ることが可能と思いますが,医療者としては,今回の週刊誌問題,「またか」ではなく,まさに当事者として重く捉えたいと思います。
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by dobashinaika | 2016-09-09 22:17 | 患者さん向けパンフレット | Comments(0)

患者さん向け説明ツール:週刊誌の「飲んではいけない薬」は本当なのか?ー抗血栓薬編−

週刊誌の「飲んではいけない薬」「やってはいけない手術」キャンペーン記事について,当院で特に問い合わせの多い抗血小板薬,抗凝固薬(いわゆる血液サラサラ薬:あまり適切な言い方ではありませんが)について,当院としての考え方をまとめてみました。

国内外のガイドラインや論文を元に,私の意見を交えて書いてみました。これが絶対正しいというわけではありませんが,一つの参考にはなると思います。
誤りや見解の違いがございましたらご指摘お願い申し上げます。その都度バージョンアップしていきます。

知ってほしいことは,

1)すべての薬には副作用がある

2)抗血小板薬,抗凝固薬の主の副作用は出血(特に脳出血と消化管出血)である

3)しかし抗血小板薬,抗凝固薬には,心筋梗塞及び脳梗塞を予防するという大きな効果がある

4)「効果(心筋梗塞,脳梗塞にならない)」>「副作用(出血)」の時に薬を飲んだほうが良い

5)つまり「薬を飲まないで心筋梗塞や脳梗塞になるリスク」が「飲んで脳出血や消化管出血を起こすリスク」より大きければ飲んだほうが良いし逆なら飲まないほうが良い

ということです。

飲まないリスクと飲むリスクを天秤にかけるという考え方です。
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具体的に「どんな場合に」飲んだほうが良いのか,それとも飲まないほうが良いのか(飲んではいけないのか)を考えていきます。週刊誌記事は,この一番大事な「どんな場合に」を説明をすることなく,ただ副作用だけを強調する傾向があり,鵜呑みにすべきではないと考えます。

・飲んだほうが良い:「飲まないで心筋梗塞や脳梗塞になるリスク」が「飲んで出血を起こすリスク」より明らかに大きい場合。個人的には「飲むべきである」場合と考えます。
・どちらかというと飲んだほうが良い :「飲まないで心筋梗塞や脳梗塞になるリスク」が「飲んで脳出血や消化管出血を起こすリスク」よりやや大きい場合
・飲まないほうが良い/わからない ;飲まないリスクと飲むリスクが同等,または現時点ではっきりわかっていない
・飲んではいけない;飲むと害があることが明らかな場合
と考えてください
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文献 :
1)日本脳卒中学会 脳卒中ガイドライン委員会:脳卒中治ガイドライン2015. 協和企画, 東京, 2015
2)循環器病の診断と治療に関するガイドライン. 循環器疾患における抗凝固・抗血小板療法に関するカイドライン(2009年改訂版). http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2009_hori_h.pdf
3)Antithrombotic Trialists' (ATT) Collaboration: Aspirin in the primary and secondary prevention of vascular disease: collaborative meta-analysis of individual participant data from randomised trials. Lancet. 2009; 373:1849-60.

心筋梗塞,狭心症,脳梗塞,一過性脳虚血発作(一時的に脳梗塞の症状が出たが現在は後遺症なし)と医療機関で確かに診断され,現在治療中の人,またはステントが体に入っている人が抗血小板薬を飲むことの信頼性,妥当性は,数ある医療行為の中でもトップクラスです。
少なくとも「飲んではいけない」場合では絶対にありません。

しかしそうは言っても脳出血や消化管出血(特にアスピリン)のリスクはゼロではありません。たとえ効果が大きいとはいえやはり大きな出血を来す場合はあります。具体的には消化性潰瘍にかかったことがある人,鎮痛剤(NSAID)を飲んでいる人,ステロイドを飲んでいる人,血圧の管理が不十分な人は出血しやすいといえます。原則はこの表のとおりですが,上記に当てはまる場合は医師も慎重に処方すべきと考えます。

(注1)最初の数ヶ月はアスピリン+もう1剤併用)
(注2)心筋梗塞にかかっていなくても飲んだほうが良い場合も明らかにされつつありますが,煩雑なので記載はしておりません(後日注釈付けます)。
(注3)飲んではいけない人としてこの他にアスピリン喘息の人,出産予定日12週以内の妊婦などがあります。
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1)循環器病の診断と治療に関するガイドライン. 心房細動治療(薬物)ガイドライン(2013 年改訂版)
2)2016 ESC Guidelines for the management of atrial fibrillation developed in collaboration with EACTS:Eur Heart J http://dx.doi.org/10.1093/eurheartj/ehw210

細かく書きましたが,以下のCHADS2スコアという点数化で2点以上なら飲んだ方が良い,1点ならどちらかと言えば飲んだほうが良い。0点で65歳未満なら飲むべきではないと考えてください。
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また80〜85歳以上の超高齢者でかなり活動性が低下している方は,「飲んだほう良い」とは言えない場合もあります。そういう時こそケースバイケース,患者さん,ご家族,医師間のコミュニケーションが必須です。

血管病とは「心筋梗塞」「大動脈硬化(プラーク)」「末梢(頸動脈や下肢)動脈疾患」を指します。

### 抗血小板薬,抗凝固薬は出血という副作用の持つインパクトが大きいため他の薬よりも慎重さが要求されます。一方で飲まないことで被るリスクも甚大です。

私たちは飲んだら出血する,という目の前のリスクには敏感である一方,飲んでいるから病気になっていない,という効果については目に見えないので鈍感です

遠い未来に待ち構える怖いことに備える,薬は車のシートベルトである,ということをしっかり想像すべきです。また医師は目の前にあるリスクをなるべく小さくし,飲んでいい人いけない人の適応を誤らないように研鑽を積み,それを的確に患者さんに伝える役目があると思います。あー疲れた。

$$$ 初の東北上陸台風にコンロ,懐中電灯など装備万全で望みました。使わずにすみました。あ,それと気分転換にPCのバックを変えてみました。写真のにゃんこは当院とは関係ありません,もともとあったテンプレートです。これ変えるやり方わかりません。。
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by dobashinaika | 2016-08-31 01:30 | 患者さん向けパンフレット | Comments(0)

患者さん向けパンフレット:週刊誌の「飲んではいけない薬」は本当なのか?ーコレステロール低下薬編−

週刊誌の「飲んではいけない薬」「やってはいけない薬」キャンペーン記事についての,患者さんからの問い合わせが増えているため,反響の大きいくすりについての具体的な考え方,飲み方についてQ&A型式の患者さん用パンフレットを作成しました。不十分な点もあるかもしれませんが,現時点で参考になれば幸いです。コピベして使用していただくのは大歓迎です。

Q1: 週刊誌で「飲んではいけない薬」「やってはいけな い手術」が盛んに言われています。患者としてはどのように考えればよいのでしょうか?

A1. 最近の週刊誌記事は大きく3つの点で問題があると考えます。

- まず,どんな薬や手術にも「副作用(リスク)」はあります。一方でそれを飲む,それを受けることによる「効果(利益)」とがあります。

- 医師は,薬や手術の効果と副作用を患者さんに伝え,「効果」>「副作用」のとき,つまり薬や手術の効果が副作用を上回る場合に薬を出すべきと考えます・

- 薬や手術の効果を伝えずに,副作用だけ強調するのは,良い伝え方とは言えないと思います。

- 次に,「飲んではいけない」「やってはいけな い」というような断定的は表現は,すべての患者さんに当てはまるような印象をあたえるため,良い伝え方とは言えません。

- 今述べたように,どんな薬にも副作用はあります。大切なのはどのような人が飲んではいけないのかどのような人なら飲んだほうが良いのか,をはっきりさせることです。

- 最後に,週刊誌の記事は,専門家の意見や患者さんの体験談を元にしていることが多いのです。

- これらは少数意見であることも考えられますので,その薬を多くの人が飲んだ場合の効果と副作用について,具体的なデータ(科学的根拠)が示されるべきと考えます。

Q2. 私はコレステロールを下げる薬を飲んでいますが,「筋肉 が溶ける」と書いてありました。どのくらいの確率で起こるのでしょうか?
A2.
- コレステロールを下げる薬の代表は「スタチン」と言って,肝臓でコレステロールが作られるのを抑える働きがあります。

- 「スタチン」には筋肉細胞が溶ける「横紋筋融解症」という重い副作用があります。

- ただし,この頻度は毎年約2万人に1人(注1)とされ,極めて少ないと考えられます。

Q3. スタチンの効果はどの程度でしょうか?
A3.
- スタチンは何のための薬でしょうか?スタチンは主に心筋梗塞や狭心症(心血管病)を防ぐための薬です。

- スタチンの効果は,もともとその人が「どのくらい心血管病になりやすいか(心血管リスク)」によって違います。

- これまでの研究から,10年間で心血管リスクが20%以上の人はスタチンを飲むと死亡率が減る(注2)ことが知られています。

Q4. 結局スタチンを飲んだほうが良いのはどのような人なのですか?
A4.
- 10年間で20%以上のリスクを持つ人を,日本人のデータに当てはめると,
1)今まで心筋梗塞や狭心症にかかったことがある人
2)糖尿病の人
3)男性で,コレステロール,血圧がかなり高い人(特に喫煙者)

は飲んだほうが良いと考えられます(注3)。

Q5. コレステロールはどのくらいまで下げればよいのですか?
A5.
- 今のところ,目標の数字については確かな根拠(エビデンス)はありません。

- 日本動脈硬化学会の2012年版ガイドライン(注4)に従い,LDLコレステロール(悪玉)を以下のようにするのが良いと考えられます。
- 心筋梗塞や狭心症の既往のある人:100mg/dL未満
- 糖尿病の人 :120mg/dL未満
- 男性の高リスク患者 :120mg/dL未満


Q6. スタチンにはその他に副作用はありますか?
A6.
- 筋肉痛や脱力などの筋症状が開始から数週間〜数ヶ月以内に起こることがあります。発症率は2〜11%(注5)くらいと言われています。スタチンを中止すれば,数日〜数週間で治ります。

- その他に10%程度(注6)ですが,糖尿病が増えると言われています。また高力価スタチンは低力価スタチンに比べて30%程度,急性腎障害(腎臓が悪くなる)による入院が多くなるというデータがあります(注7)。

Q7. スタチンの効果はわかりましたが,やはり副作用がこわい気がします。
A7.
- 最も重い横紋筋融解症の頻度は2万人に1人とかなりまれであり,本来飲んだほうが良い人がこれを恐れて飲まないのは良いことではありません。

- ただし発症すると非常に重篤ですので,前兆として,筋肉痛や脱力がないかを,受診のたびに医師は確認する必要があります。

- 筋肉痛だけであれば,薬をやめるだけで症状は回復します。

Q8. 私は50歳女性です。健診でLDLコレステロールが150mg/ dLあり,要治療と言われました。高血圧や糖尿病,心血管病,喫煙歴はありません。スタチンを飲んだほうが良いので しょうか?
A8.
- 今回の週刊誌記事の背景には,日本人の心血管リスクが欧米に比べて低いにも関わらず,安易にスタチンが処方されすぎている傾向があることがあります。

- この方のように,女性で心臓病の既往や糖尿病のない人は,スタチン投与はせず,まず食事療法を行うことが勧められます。

まとめ1
-「薬を飲むか飲まないか」は,実際は,こうしたデータの他,患者さんの意向が最も優先されると考えます。

-リスクは低いけれども,やはりどうしても薬を飲んでおきたいと思う方,反対に薬は飲みたくないという方も,医師とよく話し合って態度を決めましょう。


まとめ2
- 週刊誌の記事は「副作用しか伝えない」「断定的な書き方」「医師や患者経験談を主な根拠としている」の3点で大きな問題がある

- スタチンを飲んだほうが良いのは
1)心筋梗塞や狭心症の既往がある
2)糖尿病の人
3)男性で血圧やコレステロールがかなり高い人(特に喫煙者)

- スタチンの副作用として「横紋筋融解症(筋肉が溶ける)」の頻度は2万人に1人と少ない。筋肉痛などの先行症状に十分注意する。

- 筋肉痛などの副作用は10%前後だが,薬をやめれば治る


【こんな週刊誌などの健康情報は鵜呑みにしてはいけない8つのポイント】
- くすりや治療の副作用だけを伝え,効果(どのくらい有効か)について伝えていない
- 重大な副作用だけが述べられ,その数字(確率)が示されていない
- 副作用や効果についての根拠(理由)が示されていない
- 論文や診療ガイドラインについて伝えられていない
- 紹介された論文が動物を対象としている
- 紹介された論文がその薬を飲んだ人と飲まない人とをくらべていない
- 医師の意見や患者の体験談だけを根拠にしている
- 「飲んではいけない」「受けてはいけない」などの言葉を使っている

番外編:「〜名誉教授」|医学博士」「医療ジャーナリスト」「医者○○人に聴きました」「匿名の医師」などからの情報を「主な」根拠にしている

(注)
1)JAMA. 2004 Dec 1;292(21):2585-90.
2)BMJ 2013;347:f6123
3)二次予防すなわち心血管病既往者はすべてのガイドラインで推奨されており,治療有効数も極めて少ないためスタチンは投与すべき患者である,また糖尿病患者はメタ解析8)で,RR0.79(0.7-0.89)でありスタチンが大変有効である。一方文献2)より5年で心血管イベントが10%未満,すなわち10年で20%未満の場合スタチン療法の意義は乏しいと思われる。日本のMEGA studyから心血管イベントリスクの1/10が死亡率と考えられるので,年間2%未満の死亡リスク,つまりNIPPON DATA80ではカテゴリーIIより下はスタチンの意義は乏しい。それらから,女性はまず一次予防候補者として除外される,男性でもカテゴリーIIIつまり喫煙者ので一定以上の高血圧または高コレステロール,非喫煙者でも一定上の高血圧及び高コレステロール患者が当てはまる。
NIPPON DATA80についてはこちらのサイトを参照のこと。
4)「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012年版」(日本動脈硬化学会編)
5)UpToDate”Statin myopathy"
6)Lancet. 2015 Jan 24;385(9965):351-61.
7)BMJ. 2013 Mar 18;346:f880.
8)BMJ 2006;332:1115


当院待合室でも見られます。
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by dobashinaika | 2016-07-19 18:31 | 患者さん向けパンフレット | Comments(0)

こんな週刊誌などの健康情報は鵜呑みにしてはいけない8つのポイント

週刊誌などで「飲んではいけない薬」「やってはいけない薬」と言った見出しの記事が話題となり,患者さんからの問い合わせが増えてきています。そうした患者さんの不安や疑問に応えるために,「くすりを飲むとき,手術を受けるとき,何をどう考えたら良いのか」について,「基本的考え方」および「こんな健康情報は鵜呑みにしてはいけない8つのポイント」書きました。不十分な点もあるかもしれませんが,現時点で参考になれば幸いです。

【基本的考え方1】
「薬を飲む」「手術を受ける」。。。そうした医療行為には全て,それらを受けることによって病気が良くなる,あるいは病気にならなくなる「利益(効果)」があります。その一方,それを受けることによって生じる「副作用(リスク)」も当然存在します。
一般に「その治療の利益」>「その治療の副作用」となるときに薬の処方や手術は行われるべきです。

【基本的考え方2】
「薬を飲む」「手術を受ける」。。。そうした医療行為をしようと決めるのにはどんな条件が必要でしょうか。医師は、まずいま述べた「その治療の利益」>「その治療の副作用」の根拠となる医学論文や学会から出されるガイドラインなどを参考にします(これらをエビデンスと呼ぶことがあります)。また医師は自分の経験や専門性を考えて薬などを処方します。さらに患者さんの希望や好みが最も大切な要素です。
治療行為はこうした
1.医学的な情報
2.医師の経験や専門性
3.患者さんの意向

の3つの要素が医師と患者さんとでよく相談され、するかしないかを決定されるべきと考えます。

【基本的考え方3】
医学的に見た場合,
1.その治療の副作用より利益が明らかに大きく絶対治療を受けたほうが良い場合
2.治療の副作用と利益が同じくらいのため,治療を受けるかどうかはケースバイケースである場合
3.副作用が利益を明らかに上回るため,治療を受けないほうが良い場合

の3パターンが考えられます。
患者さんがこの3つのどれに当てはまるのかを考える,そして患者さんに伝えるのが医師の役目とも言えます。自分がこの3つの場合のどれに当てはまるのかを医師とよく話しあい,特に2の場合には,自分の意向も積極的に医師に伝えて,治療を受けるかどうかを決める必要があります。

【こんな健康情報は鵜呑みにしてはいけない8つのポイント】

1.くすりや治療の副作用だけを伝え,効果(どのくらい有効か)について伝えていない
あらゆるくすりや治療法には効果(利益)副作用(リスク)の両者があります。副作用だけを伝え,その治療の効果,あるいはその治療を受けないことによって病気になるリスクについても述べられていない情報は,一面的で良い伝え方とはいえません。

2.重大な副作用だけが述べられ,その数字(確率)が示されていない
副作用の大きさは,その副作用の(重大さ)x(その副作用の確率)で決まります。非常に重大な副作用であっても,極めてまれにしか起こらないいものもあります。その副作用が1年間で何人中何人に出るのかというデータが示される必要があります。

3.副作用や効果についての根拠(理由)が示されていない
ある薬の副作用や効果をいう場合,それが何にもとづいて述べられているのか,その出処が明らかになっていない情報を鵜呑みにすることは危険です。

4.論文や診療ガイドラインについて伝えられていない
専門家のインタビューや患者体験談だけを根拠にしている情報では,偏ったものとなる可能性があります。また学会発表は多くの人に支持されたものではありません。最低限医学雑誌に掲載された論文を元にしているかを確認してください。複数の論文に支持されているなら,一層信頼できる情報と言えます。また各学会からでている診療ガイドラインは,問題のあるもののありますが,概ね専門家の同意が得られており,それを参考にしているかどうかもポイントになります。

5.紹介された論文が動物を対象としている
参考にしている論文がラットなどの動物を対象にした研究結果は,動物からヒトに実用化されるまでに相当の時間がかかり,また実用化される研究のほうが少ないと言われています。対象が動物の場合は,ヒトでの効果が証明されるまで待つという姿勢で良いと思われます。

6.紹介された論文がその薬を飲んだ人と飲まない人とをくらべていない
薬には「偽薬効果(プラシーボ効果)」といって、ニセの薬を飲んでも何らかの改善が見られることがよくあります。このため、必ず「その薬を飲まなかった人(または他の薬を飲んだ人)」に比べて、「その薬を飲んだ人」がどのくらい効いたのかを比べる必要があります。

7.医師の意見や患者の体験談だけを根拠にしている
これも上記4と同様の理由です。

8.「飲んではいけない」「受けてはいけない」などの言葉を使っている
確かにその薬を「飲んではいけないひと」、手術を「受けてはいけないひと」はいます。医学的に禁忌と言われる方です。たとえば腎臓の悪い方が腎臓から排泄される薬を飲むことは危険が生じます。また非常に軽症の人に薬を出すことも慎まなければなりません。
しかしその一方で,その治療を受けないと病気になる,あるいは悪化する可能性が非常に高い人は存在します。そうした、治療すると効果が得られる可能性が非常に高い人がいるにもかかわらず,すべての人が飲んではいけないという印象を持つようなリスクの伝え方は良い伝え方とはいえません。そうした標題のある健康記事を見つけた場合は,全幅の信頼は置かない心がけが大切かと思います。

番外編
「〜名誉教授」|医学博士」「医療ジャーナリスト」「医者○○人に聴きました」「匿名の医師」などからの情報を「主な」根拠にしている

今後図などを用いた,薬別のよりわかりやすい患者さん向けパンフを作成する予定です。
拙ブログ「テレビ、新聞、雑誌の健康情報をどう読み取るか?」について患者さん向けパンフレットを作りました」も参考にしてください
http://dobashin.exblog.jp/20744661/

ちなみに,このブログの表題も「〜してはいけない」になってますね^^100%は鵜呑みはしないでください,何事も。。。

$$$ びわの和菓子。びわ好きなんです。
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by dobashinaika | 2016-07-14 21:44 | 患者さん向けパンフレット | Comments(1)

胸部大動脈瘤についての患者さん向け情報Q&A:

胸部大動脈瘤について患者さんから尋ねられる機会が増えています。米国のSociety for Vascular Surgery(血管手術協会)から,患者さん向けに胸部大動脈瘤に関する情報が提供されています。
医療者にとっても参考になりますので,自分の勉強のためもあり,ご紹介いたします。


Q1. 胸部大動脈瘤とは何ですか?

A.大動脈は,あなたの体の中で最も大きな動脈です。血液を心臓から体のすべての部分へと運びます。大動脈の一部は胸部を貫いて走っており,「胸部大動脈」と呼ばれています。大動脈が腹部に達すれば「腹部大動脈」と呼ばれます。胸部大動脈の弱い部分が拡大したり膨らんだりすると「胸部大動脈瘤」と呼ばれます。大動脈瘤の25%は胸部,その他は腹部に発生します。

胸部大動脈瘤は重大な健康リスクです。なぜならそれは破裂する可能性があるからです。破裂した大動脈瘤は体内に重篤な出血を引きおこし,早急にショックや死につながります。

胸部大動脈瘤は米国で年間約15000人かかると言われています。一部の患者さんは胸部大動脈瘤だけでなく腹部にも大動脈瘤を持っています。胸部大動脈瘤破裂の20〜30%の患者さんしか,病院に搬送されません。その理由は,破裂する前に早期に治療しなければ,致命的となるからです。
(筆者注:日本循環器学会ガイドラインでは,日本においては10万人あたり年間3人とされているが詳細は不明)

Q2. 症状はどんなものがありますか?

A.胸部大動脈瘤はほとんどありません(筆者注:64%が無症状との報告あり)。極めて少数の人が症状に気が付きます。

症状は大動脈瘤の場所と大きさによります。症状としては以下のものが挙げられます。
・顎,首,背中の上の方の痛み
・胸,背中の痛み
・咳,嗄声(かすれ声),呼吸困難

もし大きな,心臓に近い動脈瘤なら心臓の弁を侵したり,心不全をきたします。

もし上記のような何らかの症状を感じたなら,医師にすみやかに知らせることが極めて大事になります。もし治療しないで放って置くと,死につながる破裂や臓器の障害を来す恐れがあります。命にかかわる状態ですので,すみやかに医療機関を受診すべきです。

Q3. 胸部大動脈瘤の原因は何ですか?

A.胸部大動脈瘤の原因は正確にはわかっていません。しかし研究者によっていくつかの要因が「瘤」の発生に関わっていることが知られています。多くの大動脈瘤では,確かに遺伝が関係しており,家族に動脈瘤患者さんがいることは高リスクとなります。何が発生の引き金になるかはわかっていませんが,大動脈の壁の弱くて,膨らむ部分の破壊が究極の結果です。以下の様な要因はリスクを増やすと言われています。
・喫煙
・高血圧
・動脈瘤の家族歴

また,大動脈瘤は,大動脈解離(動脈の壁が避けること)からできてくることもありますが,この解離の大きな原因は高血圧です。大動脈解離は,血液の流れが大動脈のある部分の壁に強く押し付けられ,動脈の壁を弱くすることで起こります。一か所の亀裂が胸部大動脈全体に広がると,足,腎臓,脳,脊髄や他の部分に行く血液の流れがブロックされます。

大動脈解離のもう一つの問題は,避けた部分に血液が始終当たることにより,弱い部分が風船のように膨らんでくることです。膨らましすぎた風船を思い起こせばわかるように,動脈瘤は安全範囲を超えて引き伸ばされる可能性が出てきます。

大動脈解離の症状は,胸痛,背部痛です。それは狭心症とよく似ています。もし胸の痛みや背中の痛み(両者の合併)を感じたら,すみやかに医師に知らせてください。

以下のようなある種の病気は大動脈の壁を弱くして動脈瘤のリスクを増やすことが知られています。
・マルファン症候群
・梅毒
・結核

まれに外傷(転倒,交通事故)が原因となります。

大動脈瘤のリスクは年齢とともに増加します。女性よりだんせいに多いとされています。大きな動脈瘤ほど,拡大しやすく,破裂しやすいと言われています。動脈の直径が通常の2倍以上の大きさであれば,破裂の危険性が増します。

Q4.どんな検査が必要ですか?

A.医師は,診断をするために以下のうち1つ以上の検査を行います。
・胸部X線写真
・超音波検査
・胸部CT
・血管造影

Q5.どのような治療法がありますか?

A.
1)「経過観察」:胸部大動脈瘤が小さく,症状がない場合,医師は「経過観察」を勧め,6ヶ月毎に変化をCTやMRIでモニターされます。
CTは瘤の大きさや形を捉えるのに有効です。瘤の直径が2インチ(約5cm)以下の場合に行われます。高血圧があれば,医師はできるだけ血圧を下げるようにします。(筆者注:日本循環器学会ガイドライン2010年版では,直径4.5cm未満は半年ごとのCT,4.5〜5.5cmはマルファン症候群などがあれば手術,5.5cm以上は手術としています)

こうした観察中に大動脈瘤の拡大や症状を認めた場合は,速やかな治療が必要です。とくに拡大が早く,マルファン症候群などを持っている場合は,できるだけ早い対応が必要です。

2)開胸手術:手術は,胸部に切開を入れ,大動脈の弱い部分をグラフトと呼ばれる繊維質のチューブに置き換えるやり方です。グラフトは弱い血管よりも強く,膨らみを作らずに血液が流れるようにします。大動脈瘤の多くの患者さんが,他の心疾患を持っていたり,瘤が心臓の近くにあったりしますので,心臓手術が同時に行われる場合があります。

入院は術後7〜10日です(米国の場合)。より大きく複雑な動脈瘤や,他の心疾患,肺疾患,腎臓病を持っている場合は,回復に2〜3ヶ月必要です。

3)血管内ステントグラフト
手術の代わりに,瘤の場所や形が良ければ「血管内ステントグラフト」と呼ばれる新しい治療が選択されます。「血管内」とはあなたの体の内側から長くて薄い「カテーテル「と呼ばれる管を使って行われるためにこう呼ばれます。カテーテルは太股の付け根や腕の血管から挿入されます。この施術の間中,医師はX線透視で,ステントグラフト(カテーテルの先端に付いている)の位置を確認しています。開胸手術と同じように,グラフトは弱い瘤の部分に負担をかけることなく血液を流し,破裂から血管を守ります。この間,あなたの瘤は小さくなっていきます。血管内ステントグラフトは,開胸手術より短時間で終わり,入院も2〜3日短縮されます。

しかし,この治療はすべての大動脈瘤に適応できるわけではありません。血管内ステントグラフトに合うような形でなければなりません。また長期にわたり,ステントグラフトがうまく働いているかをチェックする必要があります。ときに,ステントグラフトからの血液の漏れが増えたり,グラフトの場所がずれたりすると,追加の施術が必要になることもあります。専門家は血管内ステントグラフトの長期的な成績について未だに研究中です。
(2010年更新)

出典;handouts from Society for Vascular Surgery (SVS) on thoracic aortic aneurysm
循環器病の診断と治療に関するガイドライン:大動脈瘤・大動脈解離診療ガイドライン(2011 年改訂版)(2015年11月閲覧)

### 胸部大動脈瘤の診断は極めて難しいです。なぜならほとんどが無症状で経過するからです。かなり大きくなり,周囲を圧迫するほどになれば痛みを自覚しますが,それとて,他の筋肉や骨格系の痛みと鑑別することはたやすくはありません。症状がない場合は,検診や他の疾患を疑って胸部写真をとった時に偶然に見つかることが多いのです。

臨床家としては,背中の痛みと言っても,なにか筋肉痛とは違う特有の重症感を汲み取らねばなりません。ポイントとしては,背中が痛いという患者さんの喫煙,高血圧,家族歴,痛みの場所(比較的背中の広い範囲ではないか),痛みの性質(裂けるような感じはないか),他の症状(咳,嗄声など)はないかなどを綿密に聴くしかないと思われます。患者さんが背中が痛いとおっしゃる場合,頻度の高い疾患として筋肉痛をまず思い浮かべますが,大動脈瘤,大動脈解離は常に念頭に置いて置くべきと再認識しました。

なお腹部大動脈瘤の診断に関するブログはこちらです。
http://dobashin.exblog.jp/21024791/

$$$ 阿藤快さんは,大好きな俳優さんでした。一昨年,イプセンの「幽霊」の舞台も拝見しており,独特の存在感は今でも鮮明に覚えています。ご冥福をお祈り申し上げます。
by dobashinaika | 2015-11-18 22:46 | 患者さん向けパンフレット | Comments(0)

いわゆるエコノミークラス症候群(深部静脈血栓症/肺塞栓症)の予防についての患者さん向け説明:JAMA誌

アメリカ医師会雑誌(JAMA)の患者さん向けページにいわゆるエコノミークラス症候群(飛行機旅行関連深部静脈症)と肺塞栓症に関する説明と予防策が掲載されています。
ツイッターで見かけたのですが、非常にわかりやすいので訳してご紹介いたします。
http://jama.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1486833#.VZLLatA0Ges.twitter

* 深部静脈血栓症は足の深いところの静脈に血栓(血液の塊)ができ、心臓に血液が戻る途中で流れが滞る病気です。

* この病気が起こると、足が腫れ、ふくらはぎが痛くなります。ただし症状がないこともしばしばあります。

* 肺塞栓症は、血栓が大きくなり足の血管から離れて、右心房、右心室を通り、肺に行く血管(肺動脈)の大小の枝に詰まる病気です。

* この病気は、胸の痛み、呼吸困難、血痰などをきたします。

* 重症になると、ショックや死に至ります。

* 長時間の飛行機旅行や、短時間の飛行機旅行の連続が、深部静脈血栓症や肺塞栓症に関係します。

* あまり足を動かすことなく、長時間膝を曲げていると、血液の流れが低下し、血栓のリスクが増えます。

* 最近外科手術を受けたひと、避妊薬を飲んでいるひと、ホルモン療法を受けているひと、妊娠、がん、心臓病、高齢者などではこの病気のリスクが増えます。

* 先天的な遺伝的因子もこの病気に関係します。

<予防>
* よくフィットしたストッキング(弾性ストッキング)は有効

* 以前血栓症を起こしたひとのような高リスクの人には、低分子ヘパリンがプライマリ・ケア医から処方され、飛行機搭乗前に自分で皮膚の下に注射することができる(日本の場合は不可)

* 頻繁に立ち上がったり、飛行機の通路を歩いたりすることは血液の流れを増やし、血栓を減らすかもしれない。ただしいつも出来るとは限らないし安全とは言い切れない。

* 簡単な予防策としては、座りながら頻繁に「足をポンプのように動かす」ことである。または、つま先を挙げ、そのつぎにかかとを上げて、ふくらはぎの静脈の血流を増やすことができる。これにより血栓を減らすことができる

a0119856_23151317.png

左:飛行機内での足の運動;つま先を挙げ、次にかかとを上げる
中:座っている時:ふくらはぎはぎの筋肉を通る静脈の中で、血液の流れは遅くなり、滞る
右:足のポンプ体操:筋肉の収縮(伸び縮み)が静脈にあるバルブ(弁)を介して、血液を押し返す

### エコノミークラス症候群は、最近「旅行者血栓症」「ロングフライト症候群」等さまざまな呼び方がありますね。医学的には「深部静脈血栓症・肺塞栓症」ですが、一般にはわかりにくいです。
つま先とかかとの上げ下げだけでも有効とのことです。

$$$ 道端に置かれていたアンパンマン。可愛いんだけどなんか、もののあはれを感じます。
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by dobashinaika | 2015-07-01 23:20 | 患者さん向けパンフレット | Comments(0)

シロスタゾールの軽度認知障害に対する医師主導治験について雑誌記事にコメントしました。

今週発売のサンデー毎日でシロスタゾールの軽度認知障害に対する多施設共同医師主導治験について記事が掲載されています。

私、認知症の専門家でもありませんが、コメントを掲載していただきました。

以前同薬の観察研究がNHKで紹介された時に、非常に多くの患者さんからお問い合わせがあったので、患者さん向けにわかるようなパンフを作成し、ブログで公開したところ、大変な反響がありました。この回は、現在でもアクセス数歴代最高です。
http://dobashin.exblog.jp/20021616/

このブログのこともあって、私に取材が回ってきたものと思われます。

一町医者としましては、シロスタゾールを使う機会も、認知症の方を見る機会も大変多く、前向き研究で有効性が証明されることには期待がかかりますが、いっぽう、同薬は頭痛、動悸などの副作用の懸念もあります。そうした臨床医としての期待と若干の懸念について述べさせていただきました。

今後の結果が待たれます。
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by dobashinaika | 2015-06-10 22:31 | 患者さん向けパンフレット | Comments(0)

CHA2DS2-VAScスコア0点の人の25%以上に抗凝固薬が処方されている(米国):JAMAIM誌

Oral Anticoagulant Prescription in Patients With Atrial Fibrillation and a Low Risk of ThromboembolismInsights From the NCDR PINNACLE Registry ONLINE FIRST
Jonathan C. Hsu et al
JAMA Intern Med. Published online April 13, 2015


疑問:低リスク患者にはどの程度抗凝固療法が行われているか?

方法:
・2008年〜2012年に施行された1,711,326人参加のPINNACLEという全国心血管疾患患者登録研究(米国)
・359,315人21.0%が心房細動
・76人の循環器専門医、287施設、33の州
・60歳未満、器質的心疾患なしのひと対象
・CHADS2スコア、CHA2DS2-VAScスコアとも0点

結果:
1)抗凝固薬処方率:CHADS2スコア0点=23.2%、CHA2DS2-VAScスコア0点=26.6%

2)両スコアで0点で処方されている患者は、より高齢で、メディケア受給または保険なし、高BMI、(アメリカ)北東または西部ではない層が多かった

3)発作性心房細動、喫煙者は少なかった

4)CHADS2スコア0点で処方されている患者には、男性、脂質異常が多かった

5)CHADS2スコア0点の処方予測因子(補正後):高齢、男性、高BMI、メディケア

6)アメリカ南部は北東部より処方率が低い

7)CHA2DS2-VAScスコア0点で処方されている患者の予測因子も同様

考察:
・米国の若年者の大規模登録研究では、ガイドラインに反し低リスク患者の約25%に抗凝固薬が処方されていた
・特異的な患者背景が存在した
・今回の所見は公衆衛生上重要な知見である
・限界として、DVT,肺塞栓なども診断に含まれている、電気的除細動やカテーテルアブレーションのデータが含まれていない

### JAMAIMのResearch Letter.スコア0点でも25%の人に処方されていたというのは、多いなと思います。より高齢、保険なし、肥満などはCHADS2スコア、CHA2DS2-VAScスコア、以外のリスクが考慮されているためと思われます。

当院でも、現在60歳位の方で、40代から慢性心房細動でCHADS2スコアがクローズアップされるずっと前からワルファリンが処方されている方がおります。ずっと以前は慢性心房細動なら若い方でも出していたと思います。

スコア1点の場合、より高齢(70代)とか、他に喫煙、腎機能低下など、他の動脈硬化のリスクも加味して適応を決定していますが、さすがに今0点の人は(特にCHA2DS2-VAScスコア)に処方することは相当慎重にすべきと思われます。

$$$ 今日のにゃんこ。近くの神社脇にて撮影、近寄っても悠然としていました。
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by dobashinaika | 2015-04-17 22:34 | 患者さん向けパンフレット | Comments(0)

患者向けスライド:「テレビ、新聞、雑誌の健康情報をどう読み取るか?」ダウンロードできます

以前ブログでご紹介し、ケアネットの連載にも掲載された「テレビ、新聞、雑誌の健康情報をどう読み取るか?」の内容が、わかりやすいスライドになって、ダウンロードできるようになりました。
http://www.carenet.com/slide/224
(要無料登録)

患者さんの中でもより初心者向けではありますが、健康番組や新聞雑誌の健康に関する広告等に関する問い合わせを受けた時、または疑問に思った時などにお使いいただければ幸いです。

以前のブログはこちらです。
http://dobashin.exblog.jp/20744661/
a0119856_22205319.png

by dobashinaika | 2015-04-17 22:22 | 患者さん向けパンフレット | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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