カテゴリ:抗凝固療法:抗血小板薬併用( 23 )

心房細動+冠動脈ステントにNOAC+DAPTは良いのか?:PIONEER-AF試験


Prevention of Bleeding in Patients with Atrial Fibrillation Undergoing PCI
NEJM November 14, 2016DOI: 10.1056/NEJMoa161159

疑問:NOAC+DAPTの有効性,安全性はどうか?

方法:
・冠動脈ステント治療を施行した非弁膜症性心房細動2124例
・以下の3群に無作為割付
      グループ1:低用量リバーロキサバン(15mg1日1回)+P2Y12阻害薬:12ヶ月間
      グループ2:超低用量リバーロキサバン(2.5mg1日2回)+DAPT1, 6, 12ヶ月間
      グループ3:ワーファリン+DAPT:1,6,12ヶ月間
・主要安全性評価項目:臨床的に明らかな出血(大出血+心筋梗塞時の血栓溶解療法に伴う小出血+医療上注意を必要とする出血)

結果:
1)臨床的に明らかな出血:リバーロキサバン群(2群とも)はワーファリン群より少ない:(16.8% in group 1, 18.0% in group 2, and 26.7% in group 3; hazard ratio for group 1 vs. group 3, 0.59; 95% confidence interval [CI], 0.47 to 0.76; P<0.001; hazard ratio for group 2 vs. group 3, 0.63; 95% CI, 0.50 to 0.80; P<0.001)
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2)心血管死,心筋梗塞,脳卒中は3群で有意差なし:6.5% in group 1, 5.6% in group 2, and 6.0% in group 3;

結論:ステント術施行後のNVAF患者においては低用量リバーロキサバン+P2Y12阻害薬(12ヶ月間)と超低用量リバーロキサバン+DAPT(1,6,12ヶ月間)は標準治療のワルファリン+DAPT(1,6,12ヶ月間)に比べて,臨床的に明らかな出血が有意に少なかった。3群は同様な有効性を示した(信頼区間が広く信頼性には乏しい)。

### 現在ニューオーリンズで開催中のAHA。そのLate Braking Clinical Trialに発表と同時にNEJMにも掲載されたNOAC+DAPTvsワルファリン+DAPTのガチンコ論文=PIONEER-AFです。

グループ2,3のDAPT継続期間は主治医の判断とのことですが,実際のDAPTの期間はグループ2,3とも12ヶ月が49%,6ヶ月が35%,1ヶ月が16%でした。

P2Y12阻害薬は93〜96%がクロピドグレルでプラスグレル,チカグレロルが数%です。平均年齢は70歳でROCKET AFなどよりやや若いです。

ステントはDESが2/3,BMSが1/3です。

出血の中身は,医療上注意を必要する出血が90%,大出血,小出血は極少数です。「医療上注意を必要する出血」とは論文によると何らかの薬物,外科的治療あるいは検査を必要とする出血とのことです。

WOEST試験との違いが気になりますが,WOESTはワルファリン+クロピドグレルVS. ワルファリン+DAPTで全例DAPT12ヶ月でした。WOESTではAFは69%でしたが,こちらは全例AF。
(WOEST試験のブログはこちら

それにしてもリバーロキサバンが出血少ないことはわかりましたが,何mgがよいのかの判断は戸惑います。米国では標準20mgのところ今回15mgとか5mg/日が使われており,日本では同様にスライドでして10mgでいいのか誰にもわかりません。NEJMからのコメントも同様なことが書いてありました。

リバーロキサバンはワルファリンと比べて大出血についてはROCKET AFで同等,J-ROCKET AFサブ解析では高齢者などで多かったと記憶していますが(サブ解析なのでスルーで良いと思われますが),なぜにDAPTと一緒だとこんなに少なくなるのか。おそらく用量設定が大きいように思われます。最近のリバーロキサバンのRWDを見ても従来用量では出血が他のNOACよりやや多めですし,欧米でも15mgでよかったのかも,日本はどうか?と疑問が湧いてきます。

ただステント後の抗凝固薬もNOACが主流になるだろうことは想像に難くないと思われます。

INRの機微を見ながらワーファリンを細かく変更する職人なんてもう絶滅危惧種なのでしょうかねえ。

$$$ 昨日の超スーパームーン+1
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by dobashinaika | 2016-11-16 19:04 | 抗凝固療法:抗血小板薬併用 | Comments(0)

NOAC使用の実践的ガイド:特に抗血小板薬との併用について:Europace誌

Updated European Heart Rhythm Association Practical Guide on the use of non-vitamin K antagonist anticoagulants in patients with non-valvular atrial fibrillation
Hein Heidbuche et al
EuropaceFirst published online: 31 August 2015


EHRA(欧州不整脈学会)の非弁膜症性心房細動患者のNOAC使用に関する実践的ガイドが改定されています。

全体の構成は変わりません。エドキサバンが各表に加わったことが一番ですが,その他にVKA⇔NOACのスイッチング方法,除細動の使用法,TIA/Stroke後のNOAC使用法などのシェーマが一つ一つ大変わかりすくなっています。

なかでも虚血性心疾患時のNOAC+抗血小板薬の使用について,ESCの非常に複雑な図がありましたが,それが大変シンプルになっている点が目につきました。なにかと引用がうるさいご時世ですが,あまりに有用だと感じたのでごく簡単に図にしてしまいました(期間限定で消えるかも)。

非常に長大なガイドですが,これの日本版が出たら,かなり売れると思いますねー(書こうかな〜笑)。痒いことろに手が届く記載や図が満載だし,そこが知りたいという項目が網羅されています。日本の学会もこういうものを出してほしいと思います。
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代替案(1年目まで):CHA2DS2-VAScスコア1点(男)or2点(女)&高出血リスクの場合DAPTのみ,
低アテローム血栓リスク:待機的の場合REACH or SYNTAXスコアによる? ACSの場合GRACE≧118
高アテローム血栓リスク:上記スコアによる,左主幹部,前下行枝近位部,近位分岐部,再発するMI

以前のガイドラインのブログはこちら
http://dobashin.exblog.jp/17727424/

$$$ 久々の青空に白い雲(網戸越しですみません)
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by dobashinaika | 2015-09-02 22:11 | 抗凝固療法:抗血小板薬併用 | Comments(0)

高齢者心房細動合併心筋梗塞後のトリプルテラピーはDAPTより大出血が多く効果は同じ:JACC誌

Use and Outcomes of Triple Therapy Among Older Patients With Acute Myocardial Infarction and Atrial Fibrillation
Connie N. Hess et al
J Am Coll Cardiol. 2015;66(6):616-627


背景;PCI施行の高齢者心房細動合併急性心筋梗塞における抗血栓療法については不明な点が多い

方法:
・65歳以上、心房細動合併急性心筋梗塞、PCI施行
・主要有効性アウトカム:PCI後2年間のMACE(大心血管イベント:死亡、心筋梗塞再発、脳卒中)
・主要安全性アウトカム:出血による再入院
・DAPT vs.DAPT+ワルファリン

結果:
1)4959例、トリプルテラピー1370例、27.6%

2)MACE:トリプルテラピーの対DAPTハザード比=0.99(0.86-1.16)

3)出血再入院:上記ハザード比=1.61(1.31−1.97)

4)頭蓋内出血:2.04(1.25−3.34)

5)ワーファリン忍容性(90日間):93.2%

6)ワルファリンのアドヒアランス良好例と不良例で主要アウトカムに変化なし

結論:PCI施行の心房細動合併心筋梗塞例の4人に1人は、トリプルテラピーで退院。トリプルテラピーはDAPTに比べ高率に大出血あり。心血管イベントは変わらず。

### やはり実臨床でも、特に高齢者のトリプルテラピーは危ないようですね。でもDAPTではかわりに怖い気がします。脳塞栓が防げないのでは。。。

$$$ 所用で出かけたビルから、思いがけなく花火が見えました。でも線香花火のほうが好きですね。「花火より火花のほうが売れる夏」
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by dobashinaika | 2015-08-05 21:30 | 抗凝固療法:抗血小板薬併用 | Comments(0)

心房細動患者のPCI時における抗凝固薬+抗血小板薬併用のメタ解析:AJC

Meta-analysis Of Randomized Controlled Trials and Adjusted Observational Results Of Use Of Clopidogrel, Aspirin and Oral Anti-coagulants In Patients Undergoing Percutaneous Coronary Intervention
Fabrizio D’Ascenzo et al
Am J Cardiol 2月11日


疑問:PCI後の心房細動患者の抗血栓療法は何が最適か?

方法:
・メタ解析:Medline and Cochrane Library・トリプルテラピー(TT:抗凝固薬+アスピリン+クロピドグレル)vs. DAPT (アスピリン+クロピドグレル) vs. 抗凝固薬+クロピドグレル
・主要エンドポイント:大出血
・副次エンドポイント:全死亡、心筋梗塞、ステント血栓症、脳卒中
・RCTまたは多変量解析

結果:

1)9試験

2)DAPT1317例、TT1547例

3)大出血:DAPT DAPTの対TTオッズ比0.51 (0.39-068)=1年間全試験、0.36 (0.28-0.46)=観察データ


4)副次エンドポイント:有意差なし:オッズ比0.71 (0.46-1.08)

5)抗凝固薬+クロピドグレル(対TT)6試験;出血オッズ比0.79 (0.64-0.98)、副次エンドポイント0.90 (069-1.23)

結論:トリプルテラピーに比べ、DAPTと抗凝固薬+クロピドグレルは出血を有意に減らした。抗凝固薬+クロピドグレルでは主要な心血管イベントは増やさなかった。DAPTにおていはエビデンスレベルは低かった。

### やはりOAC+クロピドグレルが良いとの結果です。WOEST試験が効いていることが予想されます。

以前のブログで取り上げた試験ではDAPTは脳梗塞を増やすというデータも有りますね。
http://dobashin.exblog.jp/17939624/

さすがにTTを漫然と続けるケースは今やないとは思われますが、開業医の先生の診療所で、数年前に専門病院からTTで逆紹介されて、そのままになっているケースは少なくないかもしれません。そうした例はだんだん高齢になりますので、出血も増える可能性がありますので検証が必要と思われます。

なお表題は「心房細動患者」と書きましたが、厳密にいうと対象は「PCIを受け、TT,DAPTまたはOAC+クロピドグレルを服用した人」です。多くは心房細動の方かと思われますが静脈血栓症の方なども含まれるはずです。

$$$ 今日のにゃんこ。以前うちに迷い込んだネコでした。今日の散歩でちょっと遠いところで再会しました。不鮮明ですみません。
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by dobashinaika | 2015-02-12 22:45 | 抗凝固療法:抗血小板薬併用 | Comments(0)

抗凝固療法+抗血小板療法のわかりやすい表:T/H誌

Thrombosis and Haemostasis http://dx.doi.org/10.1160/TH14-08-0681
The optimal management of patients on oral anticoagulation undergoing coronary artery stenting
A. Rubboli et al


またもヨーロッパのグループからの冠動脈ステント施行抗凝固療法患者の最適な管理に関する総説です。

以前の総説と基本的に変わりません。

以前の図は総花的でわかりにくかったのですが、この表のほうがスッキリしているかもしれません。
訳したので参考にしてください。

PCI後12ヶ月までの管理
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※画像切り貼りなのでアラームの波線がうつりこんでしまってスミマセン。あとで訂正版アップします。

長期的(PCI後12ケ月以降)の管理
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近くのタコ公園(タコの遊具があるので)。
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夕方時は子どもたちで賑わいます。
このへんは古い住宅街ですが、考えて見ればこうしたフリースペースは少ないですね。
空き地は結構あるのですが、たいてい人の土地なので立入禁止になっています。
神社の境内とか、昔からの公園とか無所属スペースは貴重です。
by dobashinaika | 2014-10-17 22:06 | 抗凝固療法:抗血小板薬併用 | Comments(0)

ケアネット連載 「抗血小板薬、抗凝固薬併用の最新ステートメント(欧州心臓病学会)」更新いたしました。

ケアネット連載 〜Dr. 小田倉の心房細動な日々~ダイジェスト版~更新いたしました。

今回は「抗血小板薬、抗凝固薬併用の最新ステートメント(欧州心臓病学会)」です。
以前のブログの内容を明快なスライドで紹介しております。

ご笑覧ください。
http://www.carenet.com/series/afjournal/cg001089_0012.html(無料登録必要)


ブログの方はこちら
http://dobashin.exblog.jp/20140860/
by dobashinaika | 2014-10-04 21:33 | 抗凝固療法:抗血小板薬併用 | Comments(0)

心房細動+ステント治療における抗血栓療法についての総説:JACC誌

J Am Coll Cardiol. 2014 Sep 23; 64(12):1270-1280.
Triple Therapy for Atrial Fibrillation and Percutaneous Coronary Intervention: A Contemporary Review.


JACCにヨーロッパのグループから心房細動+PCIの時の3者併用療法についての総説がでています。
結論だけ和訳して、あとは膨大なので、読了したらかいつまんで紹介しますが、冒頭のシェーマが事の本質を捉えていて面白かったのでのせます。
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結論:心房細動かつPCI施行(ステント使用)の患者における3剤併用療法の有効性は決して証明されていない。にもかかわらず出血は明らかに増やす。無作為化比較試験や1,2000人以上を対象とした現実世界での全国規模の登録研究を含む新しいエビデンスは、アスピリンなしでVKAとクロピドグレルが、三者併用より、臨床アウトカムを向上させる上で有用である可能性を示している。ゆえに、VKA+クロピドグレルがステントが必要な長期VKA療法の患者において、三者併用に代わる治療法として適切と考えられる。

### 無作為化比較試験はWOEST試験。12,000人今日の登録試験は以下と思われます。
http://dobashin.exblog.jp/17939624/

もはや、ワルファリン+クロピドでOKでしょうか?
TTをいつまでするか、クロピドを1年後にやめるか、NOACはどうか、というところが次の関心事かもしれません。

ESCの新ステートメントはこちら
http://dobashin.exblog.jp/20140860/
by dobashinaika | 2014-09-24 23:19 | 抗凝固療法:抗血小板薬併用 | Comments(0)

欧州心臓病学会から抗凝固薬+抗血小板薬併用に関する最新のステートメントが出ました:EHJ誌

いよいよと言うかついにと言うか、欧州心臓病学会 (ESC)のワークンググループから、冠動脈インターベンションおよび弁インターベンション後の抗血栓症法に関するコンセンサスドキュメントが発表されました。

Eur Heart J (2014)doi: 10.1093/eurheartj/ehu298
Management of antithrombotic therapy in atrial fibrillation patients presenting with acute coronary syndrome and/or undergoing percutaneous coronary or valve interventions: a joint consensus document of the European Society of Cardiology Working Group on Thrombosis, European Heart Rhythm Association (EHRA), European Association of Percutaneous Cardiovascular Interventions (EAPCI) and European Association of Acute Cardiac Care (ACCA) endorsed by the Heart Rhythm Society (HRS) and Asia-Pacific Heart Rhythm Society (APHRS)
Gregory Y.H. Lip et al

<推奨>のところだけ紹介します。表と図でわかりやすく表示されています(それでも結構複雑)
基本的に4つのステップを考えるよう勧めています。

・STEP 1:脳卒中リスク(CHA2DS2-VAScスコア)
・STEP 2:出血リスク (HAS-BLEDスコア)
・STEP 3:セッティング(急性冠症候群か待機的かなど)
・STEP 4:どの薬を選ぶか、どのくらいの期間飲むか


<前文>
・トリプルテラピー(TT)はできるだけ短くし、抗凝固薬+抗血小板薬1剤(クロピドグレル75が望ましい。代替としてアスピリン75-100)に切り替える
・TTの期間は以下の条件に依存する
・ACSか待機的か
・出血リスク
・ステントの種類(新世代DESかBMSが好ましい)
・非弁膜症性心房細動の場合の抗凝固薬はTTR70%以上のワルファリンまたはNOAC

<一般>
i)
・リスク評価はCHA2DS2-VAScスコアとHAS-BLEDスコアで行う
・リスク層別化はダイナミックな行為であり、一定期間(例えば1年間単位)に行うべき(推奨度I、エビデンスレベルC)

i-a) HAS-BLEDスコアは警告および危険因子の是正(特に高血圧、INR、アスピリンやNSAIDS投与、アルコール過飲)に用いる
i-b) ACSのリスク層別化にはGRACEスケールを用いる
筆者注)GRACEスケールはこちらhttp://att.ebm-library.jp/content/term.html#grace

ii) ビタミンK阻害薬 (VKA)を用いる場合、TTRは70%以上が勧められる(I, A)

iii) VKAとクロピドグレル and/orアスピリンを用いる倍、INRは2.0〜2.5にすべき(IIa, C)

iV) 心房細動と安定冠動脈疾患(1年以上ACSや血行再建なし)の合併例であれば、抗凝固療法OAC(VKAまたはNOAC)のみにすべき(IIa, B)

v) 冠動脈への初期アクセスは、術者の技術や好みによる出血を最小限にするために橈骨動脈にすべき(IIa,C)

vii) 低出血リスク例(HAS-BLED1~2点)では、BMSより新世代DESが好ましい (IIb, C)

viii) 新しいP2Y12受容体拮抗薬(プラスグレル、チカグレル)はTTに用いるべきでない (III, C)

<安定冠動脈疾患>
i)低出血リスク (HAS-BLED0~2):TT(VKA+アスピリン75-100+クロピドグレル75)最低4ヶ月(6ヶ月を超えない)→Dual Therapy(NOAC or VKA+クロピドグレル75、代替案としてアスピリン)12ヶ月まで(IIa, C)

i-a) CHA2DS2-VAScスコア1点(血管疾患のみ)で低HAS-BLEDスコア(0−2点):抗血小板薬2剤のみ、またはOAC+クロピドグレル75 (IIa, C)
i-b) CHA2DS2-VAScスコア2点以上;初期治療の代替案としてDual Therapyも考慮 (IIb, C)

ii) 高出血リスク(HAS-BLED3点超):TTまたはDual Therapyを4週間→Dual Therapy12ヶ月 (IIb, C)

iii) 12ヶ月後以降:全患者にOAC (I,B)

iii-a) ごく限られた症例=左主幹部、LAD近位部、近位分岐部、繰り返すMIなど):Dual Therapy (IIb, C)

iv) PPI:OAC+抗血小板薬期間は全例 (IIa, C)

v)CHA2DS2-VAScスコア2点以上でOAC施行例:PCI時のボーラスへパリンは追加しない。橈骨動脈アプローチ。INR2~3 (IIa, C)

vi) CHA2DS2-VAScスコア2点以上でNOAC投与例:PCI時はNOACの48時間の中止と抗凝固薬静注が望ましい (Iib, C)

vii) 他の手術時 (TAVIやPCI以外の出血高リスク施術)のため48時間以上OACを止める場合:エノキサパリンの皮下注を考慮。未分画ヘパリンよりも血行動態データがよいことが示唆されている。
こうした”bridging”の際はオーバーラップ期間に出血が懸念される。NOACの場合は腎機能やNOAC特有の薬物代謝を考慮する (IIb, C)

### ACSの際については、後日紹介します。
基本的にESCのガイドラインに沿っていますが、細かいところがいろいろ加わっているようです。
・出血低リスク→TT4ヶ月+Dualを計12ヶ月
・出血高リスク→TTまたはDual4週間+Dual計12ヶ月
・12ヶ月以降は OACのみ、左主幹部など危険例のみDual
・PPI, 橈骨動脈アプローチ、新世代DESを勧める


と言うのが概略かと思います。

これがどの程度日本の現場に影響するのか、興味深いです。

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by dobashinaika | 2014-08-27 16:24 | 抗凝固療法:抗血小板薬併用 | Comments(0)

日本の”現実世界”での心房細動合併PCI施行者に対する抗凝固薬抗血小板薬併用療法:AJC誌

American Journal of Cardiology
Volume 114, Issue 1 , Pages 70-78, 1 July 2014
Anticoagulant and Antiplatelet Therapy in Patients With Atrial Fibrillation Undergoing Percutaneous Coronary Intervention
Koji Goto et al


疑問:現実世界で、PCI施行者に心房細動を合併した場合の抗血栓療法はどうなっているのか?

方法:
対象>初回冠動脈血行再建術施行患者の連続登録12,716例:26施設、2005〜2007年
結果>

結果:
1)心房細動患者:8.3%

2)5年間の累積脳卒中発症率:心房細動群12.8% vs. 非心房細動郡5.8%, p<0.0001

3)心房細動例の75.2%はCHADS2スコア2点以上

4)退院時ワルファリン服用者:506人47.9%

5)5年間の累積脳卒中時発症率:ワルファリン群13.8%vs. 非ワルファリン群11.8%, p=0.49

6)ワルファリン群のTTR:52.6% (PT-INR1.6-2,6)

7)TTR65%以上:37.7%

8)5年間の累積脳卒中発症率:TTRT65%以上6.9% vs. 65%未満15.1%, p=0.01

9)4ヶ月後の脳卒中:ワルファリン+DAPT15.1%(286人)vs. 非DAPT6.7% (173人), p=0.052

10)4ヶ月後の大出血:ワルファリン+DAPT14.7%%vs. 非DAPT8.7% , p=0.10

結論:
現実世界での心房細動合併PCI施行者においては、抗凝固薬はアンダーユーズであり、強度も弱く、不適切な脳卒中予防につながる。長期のワルファリン+DAPTは脳卒中発現を減少させなかった。

###京都からの登録研究です。

非ワルファリン群は年令がやや高く、女性が多く、急性心筋梗塞が多く、心機能がやや良く、頭蓋内出血の既往が多く、貧血例が多く、DES使用例が多かったとのことです。
またDAPT群は急性心筋梗塞が少なく、糖尿病が多く、多枝病変が多く、僧帽弁逆流が少なく、DESが多く、脳卒中の既往例が多かったとのことです。
ステント血栓症は例数が少なくDAPT群、非DAPT群とも1例ずつでした。

DAPTは、登録時期が以前のためアスピリン+チクロピジンで少なくとも3ヶ月ですが、トリプルテラピーの継続期間は医師の裁量となっています。
心房細動の診断はPCI前から付いているか、または入院時カルテで新規発症が認められた場合となっています。発作性が6割、持続性が3割弱です。

2005年当時なので抗凝固療法の重症性がそれほど言われていない時期とは思われますが、ワルファリン使用率47.9%で、しかもINR1.6-2.6に設定してもTTR52.6% ですので、かなりのアンダーユーズ、アンダードースなのが伺えます。

より長期のフォローアップデータ及び最近のコホートでのデータも知りたいところです。
by dobashinaika | 2014-07-15 18:37 | 抗凝固療法:抗血小板薬併用 | Comments(0)

心不全+血管疾患合併心房細動患者ではワルファリンに抗血小板薬を追加すべきか?:JACC誌

JACC 4月28日オンライン版

Antithrombotic treatment in patients with heart failure and associated atrial fibrillation and vascular disease: A nationwide cohort study
Morton Lamberts et al
10.1016/j.jacc.2014.03.039


【疑問】心不全および血管疾患患者合併心房細動患者において、VKAに抗血小板薬を追加したほうがよいか?

P:デンマークの全国登録患者:1997−2009年の間にフォローされた心不全、血管疾患合併例(入院)

E/C:ビタミンK阻害薬/ビタミンK阻害薬+抗血小板薬

O:血栓塞栓症、心筋梗塞、重大な出血

【結果】
1)全37,646例;平均74.5歳、女性36.3%、平均3.0年追跡

2)心房細動有病率20.7%、罹患率17.2%

3)ビタミンK阻害薬vs.ビタミンK阻害薬+抗血小板薬
血栓塞栓症:HR0.91 (0.73-1.12)
心筋梗塞:1.11 (0.96-1.28)
出血:HR1.31 (1.09-1.57)

4)心房細動の新規発症患者対象のビタミンK阻害薬vs.ビタミンK阻害薬+抗血小板薬
血栓塞栓症:0.77(0.56−1.06)
心筋梗塞:1.07 (0.89-1.28)
出血:2.71 (1.22-2.21)

5)心房細動なし群では血栓塞栓症あるいは心筋梗塞リスクにおいて、抗血栓療法の有無は関係なし。出血だけを増やした(VKA群,
抗血小板薬追加群を問わず)

【結論】心不全、血管疾患合併心房細動におけるVKA+抗血小板薬追加療法は血栓塞栓予防、冠動脈疾患予防のベネフィットをもたらさず、出血のみ明らかに増やす

### 意思決定の話ばかりで飽きますので、心不全+血管疾患+心房細動という高リスク例に対しワルファリンに抗血小板薬を追加したほうが良いかという、大変重要な問題に関するコホート研究です。例によってデンマークの後ろ向きコホート。

上記の他に心房細動の有無での粗発生率比較では血栓塞栓症は5.8%vs. 4.1% , 重大な出血は5.6%vs. 3.7%とのことです。

血管疾患とは、陳旧性心筋梗塞、大動脈プラーク、末梢血管疾患、PCIまたはCABG施行者となっています。

このデータを見るかぎり、冠動脈疾患の予防はワルファリンだけで十分であり、抗血小板薬を追加するとベネフィットは同じで出血だけ増えていいことなし、のようにも取れます。

が、もちろん後ろ向きコホートで未知の交絡因子はありますし、そもそも抗血小板薬追加に関するランダム性はありません。INR管理状況も不明です。

あくまで、デンマークの(またまた)大規模なコホートを使って調べてみたら、抗血小板薬追加しなくても場合によっては良さそうかも、くらいにとっておきます。
by dobashinaika | 2014-05-07 19:59 | 抗凝固療法:抗血小板薬併用 | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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