カテゴリ:抗凝固療法:アピキサバン( 35 )

抗凝固薬使用時ポリファーマシーは死亡,脳卒中,大出血を増やす(ARISTOTLE試験後付解析):BMJ誌

Polypharmacy and effects of apixaban versus warfarin in patients with atrial fibrillation: post hoc analysis of the ARISTOTLE trial
BMJ 2016; 353 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.i2868 (Published 15 June 2016)


疑問:多剤併用の場合,NOACの効果はワルファリンと比べてどうなるか?

デザイン:アリストテレス試験の2015年時点における後付解析

対象:アリストテレス試験登録患者18,201例

介入:
・非弁膜症性心房細動:アピキサバン5mg1日2回vs. ワルファリン
・後付解析:併用薬剤で3群割り付け:0〜5剤,6〜8剤,9剤以上
・1.8年追跡

アウトカム:臨床的アウトカム,治療効果(年齢,性別,国で補正)

結果:
1)平均併用薬剤数:6(5〜9)

2)多剤併用(5剤以上):13932例(76.5%)

3)多剤併用例:高齢者,女性,USAで多い

4)多剤併用例ほど合併症多く,抗凝固薬との相互作用も増える

5)死亡率:多剤併用例ほど高い(P<0.001)

6)脳卒中/全身性塞栓症率,大出血率とも多剤併用例ほど高い

7)上記アウトカムの相対危険減少はアピキサバン群,ワルファリン群で同じ(P交互作用=0.82)

8)併用薬剤が増えた場合,アピキサバン群でワルファリン群により僅かに大出血の上昇が少ない(P交互作用=0.017)

9)有効性の点では両薬群で変わりなし

結論:アリストテレス試験では3/4の患者さんが多剤併用例であった。このサブグループでは,合併症,相互作用薬,死亡率増加,血栓塞栓率と大出血の増加が認められた。可能性として,アピキサバンのほうが,そうした多剤併用の弊害はワルファリンより少なかった

### 5剤以上を多剤併用と定義すると,当院の抗凝固薬服用中の患者さんなど大半の方が入ってしまいそうとも思い自戒の念を込めて,読みました。

ただワルファリン群で相互作用可能性がある薬剤を処方している例とそうでない例とで大出血率は変わらなかったという結果(Table2)もあり,アピキサバンがやや有利だったのはなぜなのか,気になる点です。

いずれにしても特に抗凝固薬使用時はたとえNOACでも,できるだけ余計な薬剤は処方しないように心がけたいものです。

$$$ 毎朝花粉付けと水やりしています。その成果(まさに文字通り!)が日に日にわかるのが,家庭菜園の大いなる喜びです。
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by dobashinaika | 2016-06-20 18:47 | 抗凝固療法:アピキサバン | Comments(0)

血圧管理は心房細動の脳卒中リスク軽減における重要な戦略:アリストテレス試験サブ解析

Blood Pressure Control and Risk of Stroke or Systemic Embolism in Patients With Atrial Fibrillation: Results From the Apixaban for Reduction in Stroke and Other Thromboembolic Events in Atrial Fibrillation (ARISTOTLE) Trial
Meena P. Rao et al
J Am Heart Assoc.2015; 4: e002015


疑問:心房細動患者の血圧管理と脳卒中の関係は?

方法:
・アリストテレス試験登録患者18201人のうち,治療を必要とする高血圧の既往および登録時といずれの時点 とで血圧が140かつ/または90以上)

結果
1)治療必要な高血圧の既往を持つひとは87.5%

2)いずれかの時点で高血圧のある患者のハザード比
・脳卒中/全身性塞栓症:1.53(1.25–1.86)
・出血性脳卒中:1.85(1.26–2.72)
・虚血性脳卒中:1.50(1.18–1.90)

3)大出血
・高血圧の既往例で低い:ハザード比0.80(0.66–0.98)
・登録時高血圧例では同等:ハザード比0.89(0.77-1.03)

4)アピキサバンとワルファリンの脳卒中/全身性塞栓症予防で比較すると,高血圧の既往,血圧の管理にかぎらず両者で同等
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結論:試験のいずれかの時点で血圧が高いことは脳卒中/全身性塞栓症リスクに関連。この結果は心房細動の脳卒中リスク軽減の重要な戦略としての血圧管理を強力に支持する。

### 高血圧既往例で大出血が少ないのは解せませんが,管理不良例はやり大出血は増えているようです。

サブグループ解析で,ある意味観察的な研究ですので一概に因果関係を言うことはできませんが,普段の高血圧患者さんでまず念頭に置く140/90くらいは心房細動で最低限クリアしておきたいと改めて確認。

$$$ 夜の緊急往診。ナビがなくてもすぐ到着。毎朝の散歩の賜物です。
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by dobashinaika | 2015-12-09 23:15 | 抗凝固療法:アピキサバン | Comments(0)

抗凝固療法での「非弁膜症性心房細動」という言葉は紛らわしい:Circ誌

Apixaban Compared with Warfarin in Patients With Atrial Fibrillation and Valvular Heart Disease: Findings From the ARISTOTLE Trial
Alvaro Avezum et al
Circulation Published online before print June 23, 2015


アリストテレス試験サブ解析
・登録患者18201人中、中等〜重症弁膜症または人工弁手術患者4804人26.4%
・脳卒中/全身性塞栓症:弁膜症有る無しでのアピキサバンvsワルファリンのハザード比:
弁膜症あり0.70、弁膜症なし0.84;交互作用p=0.38
・大出血:
弁膜症あり0.79、弁膜症なし0.65;交互作用p=0,23
・死亡率:
弁膜症あり1.01 、弁膜症なし0.84;交互作用p=0.10

結論:アリストテレス試験の「非弁膜症性」と呼ばれる患者の4分の1に中等度〜重症弁膜症患者が存在する。脳卒中/全身性塞栓症、大出血、死亡率の低下効果について、アピキサバンのワルファリンを上回る効果は弁膜症の有無に無関係

###アリストテレス試験では、重症僧帽弁狭窄症と人工弁患者は除外基準ですが、その他の弁膜症疾患は組入れられており全体の26%にも登ります。

具体的には、僧帽弁閉鎖不全症74.4%、軽症僧帽弁狭窄症2.7%、大動脈弁閉鎖不全症23.9%、大動脈弁狭窄症8.0%、三尖弁閉鎖不全症44.2%、弁膜症手術の既往5.2%です。

RE-ALIGN試験で、ダビガトランの人工弁での効果と安全性は否定されてしまいましたが、この論文は人工弁と重症僧帽弁狭窄症以外の弁膜症はNOACでも良さそうだという趣旨です。まあ人工弁以外であれば、僧帽弁逆流や大動脈弁膜症だとNOACの分が悪くなるメカニズムは思いつきませんので、ある意味当たり前の結果とも言えます。

この論文で言いたいのは、よく「非弁膜症性」と言われ、保険病名もそうつけていないとカットされる場合まであるわけですが、その命名の仕方はおかしいのではということだろうと思います。私、保険の審査をしていたころも良く保険者から「僧帽弁閉鎖不全」や「大動脈弁狭窄症」の病名があるひとのNOACについて再審査が回ってきていました。

日本の2013年のガイドラインでようやく「非弁膜症」=「僧帽弁狭窄症以外+人工弁以外」と明記されましたが、やはり紛らわしい感が拭えません。各メーカーの添付文書も「心房細動、ただし人工弁と僧帽弁狭窄症合併は除く」とでも明記したほうが紛らわしくないと思います。

$$$ 先日大好きなブ◯タモリの取材が当院近くの四ツ谷用水を中心にあったとの情報をゲットしました。そういえば、散歩道途中の四ツ谷用水、数週間前は草ボーボーでしたが、今日はきれいに刈り込んでありました。
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by dobashinaika | 2015-06-30 22:14 | 抗凝固療法:アピキサバン | Comments(0)

エリキュースの「使用上の注意」に「間質性肺疾患」を追加

 医薬品医療総合機構(PMDA)から2月17日、厚生労働省が抗凝固薬アピキサバン(商品名エリキュース錠2.5mg、同錠5mg)の使用上の注意で、重大な副作用に間質性肺疾患を追加するよう指示したとの発表があったようです。
http://www.info.pmda.go.jp/kaitei/file/20150217frepno2.pdf

それによると直近3年間で間質性肺疾患関連症例 23 例 (うち、因果関係が否定できない症例 7 例) で死亡 6 例(うち、因果関係が否定できない症例 0 例)の症例の集積があったとのことです。

m3.comなどの情報では「間質性肺炎」での追加が検討されましたが血痰を認める症例もあったことから「間質性肺炎」と限定できない病態を含んだ「間質性肺疾患」と記載されたようです。

リバーロキサバンも昨年1月にやはり「間質性肺炎」について注意喚起がなされています。ダビガトランでも市販直後調査で既に間質性肺炎の報告があります。こうした経緯は以前のブログにも書きましたので、ご参照ください。
http://dobashin.exblog.jp/19433038/

こうした市販後の注意喚起がでた時大切なのは、その頻度ではなく、どのような症例においてそうした重篤な症状が出たのかをきちんと把握することかと思います。イグザレルトの時は高齢者が多かったようですが、今回はどうなのか。はじめにどのような症状が出るのか。どのような経過をたどったのか。まだわからないことがたくさんありますので、わかりましたらまたアップしたいと思います。

前にも書いたように、NOACを飲んでいて、例えば不明熱とか、長引く咳などが出た場合常に念頭に置いて早めに対処することが大切だと思われます。

それにしても、またしてもワルファリンのエラさを考えずにいられません。ワルファリンはこれだけの歴史がありながら、間質性肺炎の副作用を大きく扱われたことはないと思いました。

$$$10日前にあった落とし物。まだありました。不憫です。
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by dobashinaika | 2015-02-23 23:57 | 抗凝固療法:アピキサバン | Comments(0)

アピキサバン投与時の大出血後の転帰と管理状況:EHJ誌

Clinical outcomes and management associated with major bleeding in patients with atrial fibrillation treated with apixaban or warfarin: insights from the ARISTOTLE trial
Claes Held et al
Eur Heart J (2014) 12月12日

疑問:アピキサバンの出血及びその管理状況はワルファリンに比べてどうか?

方法:
・ARISTOTOLE試験におけるアピキサバン群とワルファリン群の比較
・ISTH基準の大出血、死亡、虚血性脳卒中、心筋梗塞までの時間
・頭蓋内出血、非頭蓋内出血ごとの時間依存性マーカー

結果;
1)大出血:848例4.7%:30日以内死亡126例14.9%

2)頭蓋内出血176例中:死亡76例43.2%

3)非頭蓋内出血695例中:30日以内死亡64例9.2%

4)非頭蓋内出血の死亡、虚血性脳卒中、心筋梗塞リスク(30日以内);出血がない例の12倍

5)頭蓋内出血での死亡リスク:出血がない場合に比べたハザード比121.5 (91.3-161.8)

6)5)と同様の脳卒中または心筋梗塞リスク;HR21.95 (9.88-161.81)

7)大出血患者のうち、20.8%はビタミンKかつ/または新鮮凍結血漿、凝固因子、第VII因子の投与あり(3日以内)

8)輸血:37%

9)上記のリスクはアピキサバンとワルファリンとで差がない。

結論:大出血は明らかに死亡、虚血性脳卒中、心筋梗塞のリスクを高める。このリスクはアピキサバンとワルファリンとでかわりなし。この結果は抗凝固療法中の患者の出血予防の重要性を強調する。

### アリストテレス試験ですので、CHADS2スコア21(訂正)点以上で平均年齢は70歳、ワルファリン群の平均TTRは62%という患者集団です。

頭蓋内出血の死亡率は43%、頭蓋内出血を起こすと、死亡率は起こさない例の120倍!という恐ろしいデータです。また出血後に脳梗塞や心筋梗塞が増えるのは、抗凝固療法を中止するあるいは凝固性剤を投与されためだと思われます。あるいは出血を起こすような症例は梗塞もおこしやすいからとも考えられます。

やや不思議なのは、NOACの頭蓋内出血はワルファリンに比べて出血量が小さくコンパクトであるという報告もあるなか、やはりアピキサバンでも頭蓋内出血を一旦きたすと死亡率はワルファリンと同様だったということです。大出血をきたすとキーオープンされどちらの群かがわかると思いますので、やはりワルファリンには中和薬があるからでしょうか?そのへん、ざっと読んだだけなので、もうすこし検討してみます。

$$$ 今日はさすがに路地裏の散歩は危険でした。大きな通りだけ歩きました。
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by dobashinaika | 2014-12-15 18:19 | 抗凝固療法:アピキサバン | Comments(0)

PTはアピキサバンのモニターに有効か:CJ誌

Association of Apixaban Therapy and Prothrombin Time in Patients With Atrial Fibrillation– Single Center Cohort Study –
Masashi Kanemoto et al

Circulation Journal Vol. 78 (2014) No. 11 2651-2656

疑問:プロトロンビン時間 (PT)はアピキサバンの抗凝固活性予測に有用か

方法:
・2つの試薬:Shinplastin Excel S とCoagpia PT-N使用
・2013年1月〜2014年2月までの103例
・3測定時間:外来患者随時、ピーク、トラフ

結果:
1)アピキサバン血中濃度とPTは相関
2)外来患者では両試薬とも明らかな相関あり:r=0.97
3)ピークはトラフより高値で、両者とも正常例より高値
4)5mg1日2回は2.5mg1日2回より、PT延長度が2倍

結論;上記の特異的な試薬を使うとアピキサバンの抗凝固活性を予測できる。患者間のばらつきは大きいが。

### まずおさらい。
・ダビガトランは抗トロンビン(II)薬、リバーロキサバン、アピキサバン、エドキサバンは抗Xa薬
・抗トロンビン薬のモニターはaPTT(内因系の検査)、抗Xa薬のモニターはPT(外因系の検査)
・ダビガトラン、リバーロキサバンはそれぞれaPTT,PTが臨床的にも有効(試薬に依存するが)との報告あり
・アピキサバンは、血中濃度とPTの相関が得られないため、PTが良いかどうかは不明

と私なりに理解していました。最後のアピキサバンはPTでも分からないとの根拠は以下の論文です。
Thromb Haemost 2013; 110: 283–294.

この論文では7つくらいの試薬を使っているのですが,血中濃度が上昇してもほとんどPTは上昇しないグラフが印象的でした。
アピキサバンは他のNOACよりも体内で安定していて、ピークとトラフの差があまりなく試薬に反応しにくいと理解していました。

ただこの中でTriniclot PT Excel S(日本ではShinplastin Excel S®という商品名でKyowa Medexという会社からでているようです。正常範囲は12.6–15.7秒)という試薬のみはやや相関の傾向が見られていました。

今回の論文はその試薬ともう一つの試薬では、PTと血中アピキサバン濃度が相関するという論文です。

外来患者だと、入院患者よりばらつきが大きいことや、まだ出血、塞栓症といったアウトカムとの関係が不明でカットオフ値の設定などは今後も課題であるとはいえ、試薬によってはアピキサバンもPTでわかるものがありそうだというのは、大切な知見と思われます。

日本発の報告です。

$$$ 朝の広瀬川河畔のベンチ。朝はちょっと寒いですが、まだ昼ころならここでボンヤリするのはいい感じかもしれません。
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by dobashinaika | 2014-11-24 17:01 | 抗凝固療法:アピキサバン | Comments(0)

アピキサバンの東アジア人における有効性安全性:AHJ誌

Efficacy and Safety of Apixaban Compared with Warfarin for Stroke Prevention in Patients with Atrial Fibrillation from East Asia: A Subanalysis of the Apixaban for Reduction in Stroke and Other Thromboembolic Events in Atrial Fibrillation (ARISTOTLE)
Trial.Goto S et al
Am Heart J. 2014 Sep;168(3):303-9.


疑問:アピキサバンのアジア人でのアウトカムはどうか?

P:ARISTOTOLE試験登録患者

E:東アジア人(1993人)

C:非東アジア人(16208人)

O:脳卒中/全身性塞栓症、大出血、臨床的に問題となる出血、頭蓋内出血


結果;
1)アピキサバンの対ワルファリンハザード比:脳卒中/全身性塞栓症:東アジア人0.74、非東アジア人0.81;交互作用なし

2)大出血:東アジア人0.53、非東アジア人0.72;交互作用なし

3)ワルファリン群の大出血+臨床的に問題となる小出血:東アジア人0.49、非東アジア人0.71、交互作用あり、P=0.03

4)ワルファリン群の頭蓋内出血:東アジア人で非東アジア人より明らかに多い。アピキサバンでは少ない

結論:アピキサバンは脳卒中/全身性塞栓症、大出血はワルファリンと同等に減らし、大出血及び臨床的に問題となる出血は特に減らした。ワルファリンは、特に東アジア人で頭蓋内出血により関係した

### 他のNOACのサブ解析と概ね同等です。ワルファリンは特に東アジア人の頭蓋内出血はそれ以外に比べて多いが、アピキサバンではそうしたことはない。推察として第VII因子の関与という流れかと思います。

将来登録研究が出ると思いますので、それも合わせて判断したいところです。

他のNOACのアジア人サブ解析
ダビガトラン
http://stroke.ahajournals.org/content/44/7/1891.long

リバーロキサバン
http://stroke.ahajournals.org/content/45/6/1739.abstract
https://www.jstage.jst.go.jp/article/circj/advpub/0/advpub_CJ-12-0454/_pdf(J ROCKET試験)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/circj/advpub/0/advpub_CJ-12-0454/_pdf(頭蓋内出血のみ)
by dobashinaika | 2014-09-08 10:23 | 抗凝固療法:アピキサバン | Comments(0)

アピキサバンの費用対効果のまとめ

ある事情で、このところブログを長期に休んでおりました。
大変申し訳ありません。
休む前に書きかけていた記事を掲載します。
今後とも更新をつづけますので、よろしくお願いいたします。

さて、最近アピキサバンの費用対効果に関する論文を多く見かけますので、ざっとご紹介します。

オランダからの報告
Economic evaluation of apixaban for the prevention of stroke in non-valvular atrial fibrillation in the Netherlands.
PLoS One. 2014; 9(8):e103974. PMID:25093723
Stevanović J et al

・ワルファリンに比べたアピキサバンのICER(増分費用対効果:1QALY延長するために必要な追加費用)は10576ユーロ(=約143,834円)
・ワルファリンに比べてアピキサバンの脳卒中と出血数が少ないことに起因
・多変量感度分析ではアピキサバンの絶対リスクとアピキサバンとビタミンK阻害薬を中止した時のモデル感度が明らかとなっている
・支払い意思閾値を20000ユーロ/QALYとした場合のアピキサバンの蓋然性は68%
・オランダでは、非弁膜症性心房細動患者では、アピキサバンの費用対効果はVKAに変わりうるかもしれない。


日本からの報告
非弁膜症性心房細動患者に対するアピキサバン投与によるイベント費用削減額の推計
医薬ジャーナル 2014年3月号(Vol.50 No.3) P113(993)~123(1003)


・シミュレーションモデル
・日本の急性期のDPCデータで費用を設定
・NVAF患者の生涯にわたる脳卒中発生回数は,1,000人当たり17回(虚血性脳卒中で3回,出血性脳卒中で14回減少),出血性脳卒中以外の出血は72回減少
・これらのイベントの減少により,虚血性脳卒中で100,716円,出血性脳卒中で45,336円,出血性脳卒中以外の出血で47,110円の費用が減少
・NVAF患者1人当たりの全イベントに対する総削減額は195,188円と推計
・わが国のNVAF患者数を約100万人とすると,脳卒中および出血性脳卒中以外の出血の発生回数はそれぞれ17,000回,45,000回減少することとなり,全国的な医療費の削減額は約2,000億円になると推定


その他、以下の論文も公表されています。
http://www.deepdyve.com/lp/springer-journals/estimation-of-the-impact-of-warfarin-s-time-in-therapeutic-range-on-30q2yrDFDX
この新シミュレーションだと、ワルファリン管理がたとえ90%であって、アピキサバンの方が優れるとしています

### 上記のような費用対効果分析は、もちろシミュレーションのデータですので、脳卒中発症時の医療コスト、抗凝固薬を飲んだ人数、等々の変数設定によって結論は変化することは当然頭に入れておかねばなりません。

上記のうち日本の論文がやはり興味深いですが、服用患者の範囲はおそらくARISTOTLEをもとにしているので、CHADS2スコア1点以上の人だろうと思われます。何十万人も飲むと言う試算になるので、実際そうなったら薬価も下がるかもしれないし、また急性期DPCだけのデータなので、慢性期リハのコストまで考えるとワルファリンはもっとかかるのかもしれません。

NOAC薬価はとにかく莫大ですので、直感的には大変なコストになると思われますが、脳卒中を来した場合のの生涯にわたる医療費もこれまだ莫大ですので、それとの差し引きで考えた場合、総じて他のコスパ計算でもペーパー上はNOAC有利との結果が多いようです。

ただ見落とされる視点として、NOAC上梓後日本でも、かなり抗凝固薬の処方数が増加しているとの情報がありますが、このままNOACの処方数がふえつづけたとして、不適切使用等の負の面が全面に出てこないか。またCHADS2スコア0〜1点のようなNOACといえども、ネットクリニカルベネフィットの利幅が少ない層への処方が急増した場合、ほんとにワルファリン(あるいは何もしないこと)よりいいのかは、まだ不明な点かと思います。
さらに、低リスク例で、ワルファリンより脳梗塞、脳卒中ともエビデンス上明らかに優れているNOACとなると限られますし.何よりもとデータはRCTなので、日本の実情とINR低値管理下の実情だとどうなのかも十分考えなければなりません。

他のNOACの医療経済に関する文献はこちら
http://dobashin.exblog.jp/12662617/
by dobashinaika | 2014-08-22 09:48 | 抗凝固療法:アピキサバン | Comments(0)

アピキサバン投与中の大出血の特徴

JACC オンライン版

Major Bleeding in Patients With Atrial Fibrillation Receiving Apixaban or Warfarin in the ARISTOTLE Trial: Predictors, Characteristics, and Clinical OutcomesHylek EH, Held C, Alexander JH, et al.
J Am Coll Cardiol 2014;Mar 19:[Epub ahead of print]


【疑問】アピキサバン投与中に大出血を生じた患者の特徴は何か?

【方法】
・ARISTOTLE試験で大出血を生じた患者の特徴が何の因子と関連あるかをポストホック解析

【結果】
1)大出血789人4.3%:アピ群2.13%vs. ワル群3.09%:ハザード比0.69,p<0.001

2)出血後30日以内死亡例はアピ群でワル群より少ない:ハザード比0.5.p<0.001

3)大出血患者:非大出血患者に比べて高齢、心筋梗塞の既往、出血の既往、腎障害、転倒が多い

4)大出血:1位消化管出血31%、2位頭蓋内22%、3位軟部組織10%

5)アピキサバンはワル群に比べ:頭蓋内出血、外傷関連出血、軟部組織出血が少ない

【結論】アピキサバンはワルファリンに比べて、大出血、致死的出血を明らかに減らした

### 出血後に死亡する例がアピキサバンはワルファリンの半分だったという所見にます目が行きます。おそらく致死的出血のほとんどは頭蓋内出血でしょう。頭蓋内出血はARISTOTLEですでにワルファリン群年間0.8%に対し、アピキサバン群0.33%と半分以下であるという結果が出ていますので。

ワルファリンと比べると、中和薬もモニターもないところで、ワルファリンより致死的出血が少なかったことは知っておいていいかもしれません。

post hoc解析であることには注意。

なお、今回は配信サイトCardiosourceから読みました。
by dobashinaika | 2014-05-20 15:41 | 抗凝固療法:アピキサバン | Comments(0)

ケアネット連載:年齢別に見たアピキサバンの対ワルファリンの有効性と安全性はどうか?

ケアネットの「心房細動な日々〜ダイジェスト版〜更新いたしましいた。

第2回は「年齢別に見たアピキサバンの対ワルファリンの有効性と安全性はどうか?」
というタイトルで、EHJに先日発表されました、アリストテレス試験のサブ解析を紹介しています。

http://www.carenet.com/series/afjournal/cg001089_0002.html
(無料登録必要)

NOACのサブ解析について、以前のブログでも述べたことをまとめましたのでご参照いただければ幸に存じます。
http://dobashin.exblog.jp/19492060/

明後日から、日本循環器学会ですね。

私、今年は2日目午後に発表する機会をいただきました。
なかなか大きなテーマでまだスライド完成していません(笑)。

例年、見聞記をブログに書いておりますが、今年も面白かったものをここで紹介できればと思っています。
by dobashinaika | 2014-03-19 19:03 | 抗凝固療法:アピキサバン | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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治療 2015年 04 月号 [雑誌]

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