カテゴリ:抗凝固療法:リバーロキサバン( 43 )

リバーロキサバンの実臨床登録研究(XANTUS):EHJ誌

XANTUS: a real-world, prospective, observational study of patients treated with rivaroxaban for stroke prevention in atrial fibrillation
A. John Camm et al
Eur Heart J First published online: 1 September 2015


目的:一般臨床でのリバーロキサバンの有効性安全性の評価

方法:
・リバーロキサバンを新規処方した非弁膜症性心房細動例
・3ヶ月後,1年後,中止後30日(中止例)フォロー
・アウトカム:大出血,症候性血栓塞栓症(脳卒中,全身性塞栓,TIA,心筋梗塞),全死亡

結果:
1)6784例,311施設(欧州,イスラエル,カナダ)

2)平均71.5歳(19−99歳),女性41%,中〜高度腎機能低下(CCr<50) 9.4%

3)平均CHADS2スコア2.0点,CHA2DS-VAScスコア3.4点,CHA2DS-VAScスコア0〜1点12.7%

4)平均治療期間329日

5)大出血:128例,2.1%/年

6)死亡:118例,1.9%/年

7)脳卒中:43例,0.7%/年

結論:XANTUSはリバーロキサバン服用中の幅広い患者層を対象とした初の国際,前向き,登録研究。一般臨床において,リバーロキサバン内服中症例の脳卒中発症率,大出血発症率は低い。


### 先日のESCで発表された,リバーロキサバンの海外でのPMSデータです。VKA既投与例が45.5%,VKAナイーブが54.5%です。最終的な服薬のPersisitenceは80%程度。医師の「満足度」は75.1%とのことです。

20mgが5336例,15mが1410例(海外なので20と15)ですが腎機能との関係までは述べられていません。

ROCKET-AFはCHADS2スコア2点以上対象ですが,登録研究なので,RELYやARISTOTLEと同様軽症も含まれています。そうしたことを考えあわせてもイベント数は少ないですね。消化管出血も年1.9%でした。

登録研究なので,それまでの医師の経験からリバーロキサバンに見合った症例に投与しているなど当然のリミテーションはありますが,CHADS2スコアの低い例でのエビデンスがこれまでなかったことを考えると,現在使っている症例への安心感は増すと思われます。

$$$ 今朝散歩していたら,そこはかとなく金木犀の香りが,,もうそんな季節なんですね。
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by dobashinaika | 2015-09-07 18:05 | 抗凝固療法:リバーロキサバン | Comments(0)

リバーロキサバンのモニターにコアグチェックが有効か;Stroke誌

Point-of-Care Testing of Coagulation in Patients Treated With Non–Vitamin K Antagonist Oral Anticoagulants
Matthias Ebner et al
Stroke Published online before print August 13, 2015


目的:コアグチェックでNOACのモニターは可能か

方法:
・虚血性脳卒中で新たにNOACを開始した60例
.6ポイントの採血.コアグチェック測定及び検査室での下記のアッセイ施行;PT,aPTT抗Xa活性,ヘモクロット,直接の血中濃度

結果:
1)356検体

2)コアグチェックの結果はリバーロキサバン血中濃度と強く相関(相関係数0.82.P<0.001)

3)ダビガトラン,アピキサバン血中濃度とは相関なし

4)低濃度のリバーロキサバンを評価する場合,コアグチェックはたとえ鋭敏な試薬を使用した場合で
も正常なPT,aPTTの予測能を上回る

5)コアグチェックの結果が1.0以下のリバーロキサバン血中濃度に対する特異度は.血中濃度32未満は90%,および100ng/mL未満は96%

結論:脳卒中急性期のリバーロキサバン使用時に,もしXa活性が測定できない場合,コアグチェックはおすすめできる

### 興味深いデータです.対象は二次予防の患者さんですが,リバーロキサバンであればとくにコアグチェックが低値なら,血中濃度も低いことが予測できるとのことです.

コアグチェックはPT-INRを測定しますが,PTとあまり相関のないダビガトラン血中濃度や,あっても上下の少ないアピキサバン血中濃度では相関が薄い一方,1日1回でピ−クとトラフのはっきりしているリバーロキサバンであれば,ある程度相関するということかと思われます.

当院では最近,NOACの患者さんでも,アドヒアランスが不安な患者さんなどに「飲んでいない」ことを探るために3〜4ヶ月に1回,ピークのタイミングで採血することにしています.ダビガトランはaPTT,リバーロキサバン,アピキサバンはPT(試薬:リコンビプラスチン)を測定し全然上昇していない時に,飲んでいないことを疑うということにしていました.

もしコアグチェックが使えるなら簡便でいいですが.追試を期待します.

$$$ 雨上がりの早朝,秋の雰囲気漂う春日神社の境内です.今までこの空気感を味わなかったのはもったいなかった,そう思わせられるほどの清澄さ
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by dobashinaika | 2015-08-18 18:50 | 抗凝固療法:リバーロキサバン | Comments(0)

リバーロキサバンの現実世界での継続性:Europace

Drug persistence with rivaroxaban therapy in atrial fibrillation patients—results from the Dresden non-interventional oral anticoagulation registry
Jan Beyer-Westendorf et al
Europace 2月18日


目的:NOACの登録研究からリバーロキサバンの継続性を評価する

方法:
・2600例以上のNOAC使用患者の登録研究
・投与から最初のイベントまでの時間を解析
・リバーロキサバン中止理由を解析
・2011年10月〜2014年4月

結果:
1)全1204例(平均75歳):ワルファリンからのスイッチ39.3%、新規60.7%

2)リバーロキサバン中止率:223例、18.5%(平均追跡544日)

3)中止率:13.6% (11.8-15.4)/人年

4)中止理由:出血30%、他の副作用24.2%、安定した洞調律9.9%

5)心不全の既往 (HR1.43)、糖尿病 (1.39)が中止理由の独立危険因子

6)中止後:抗血小板薬31.8%、ワルファリン24.3%、他のNOAC18.4%、ヘパリン9.9%、なし15.7%

結論:我々のデータではリバーロキサバン全体としての継続性は高い。初年の中止率は15未満で追加の中止も少ない。

### このレジストリーの結果(大出血)は既にでていますね(ブログにはしませんでした)。
http://www.bloodjournal.org/content/124/6/955?ijkey=77f918c0eb5fe715be8f3f6ad38effa309f53431&keytype2=tf_ipsecsha&sso-checked=true

リバーロキサバンでは他に以下のリアル・ワールドデータも有ります。
http://dobashin.exblog.jp/19930247/

先日のFDAからの肝障害が気になったのですが、この報告では肝逸脱酵素上昇は2例で0.9%のみとのことです。
http://dobashin.exblog.jp/i32

継続率80%以上は抗凝固薬としては高い方かもしれませんが、やはり年間10%以上は続けられないのです。一度大出血をきたすと、特に高齢者ではやはりアスピリンか何も出さないということになってしまうのかもしれません。出血したあとの抗凝固をどうするか。こればかりは本当に個別の文脈に依存すると思います。

$$$ 伊達政宗の命で作られた四ツ谷用水。当院のすぐ裏を流れているのですが、医学部の裏手を通っていたのですね、最近知りました^^
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by dobashinaika | 2015-02-19 23:34 | 抗凝固療法:リバーロキサバン | Comments(0)

日本の脳卒中患者の血中リバーロキサバン濃度は低い:ProsOne誌

Anticoagulation Intensity of Rivaroxaban for Stroke Patients at a Special Low Dosage in Japan
Takuya Okata et al
PLoS One. 2014; 9(11):e113641.


疑問:日本人の脳卒中患者においてリバーロキサバンの抗凝固能とその規定因子はなにか?

方法:
・2012年1月〜2013年12月までに非弁膜症性心房細動をゆうする脳卒中入院患者連続例
・PT, aPTT, 血漿リバ−ロキサバン濃度:服薬前、4時間後、9時間後に測定

結果:
1)110例(女性37人、平均75歳);15mg59例、10mg51例

2)血漿リバーロキサバン濃度(服薬4時間後):15mg=186ng/mL、10mg=147ng/mL

3)PT,aPTTとも血中濃度と相関

4)粉砕調剤の15例場合の4時間後血中濃度はそうでない場合の72%

5)粉剤調剤は、多変量解析後、血中濃度低下と明らかに相関
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TC: 粉砕調剤

結論:非弁膜症性心房細動患者の脳梗塞急性期におけるリバーロキサバンの抗凝固能は、ROCKET AF, J-ROCKET AFの時に比べで相対的に低い。経口摂取不可能患者でよくある、粉砕調剤は血中濃度を低める。

### 国立循環器病研究センターからの報告です。日本人のリバーロキサバンに関するリアル・ワールドデータとして大変興味深いです。

参考までにJ-ROCKRT AFの15mgでの最大血中濃度は249 ng/mLで、これはROCKET AFの20mgにおける最大血中濃度249 ng/mLと全く同じ。

日本人(J ROCKET)の10mgでの最大血中濃度は168 ng/mLで非日本人(ROCKET AF)の15mgにおける最大血中濃度229ng/mLより低めです。

本論文の血中濃度は15mgで197,10mgで163であり、これはJ ROCKETでの同用量時のデータより低めです。

理由としては、15例で胃管からの粉砕投与が挙げられています。胃管から粉砕投与すると最大濃度が18%減ることがこれまでも報告されています。また4時間でちょうど最大にならない例もあることも一因としています。

非常に貴重なデータですね。リバーロキサバンは1日1回で粉砕できるので、胃管を使うケースなおではよく使われると思いますが、注意が必要かもしれません。

この論文を読んでいたら、エドキサバンの60mg半量投与はどうなのか、ちょっと気になりました。用手的に半切したりすると、少しのかけらでも影響しそうな気がします(そういう使い方が良いかどうかは別として)。あまりこの論文とは関係ありませんが。

$$$ 手袋の落としもの。落としたあと寒かったでしょうね。
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by dobashinaika | 2014-12-10 22:15 | 抗凝固療法:リバーロキサバン | Comments(2)

やっぱり新規抗凝固薬でもモニターできた方がいい:リバーロキサバンのマーカー;JC誌

日本心臓病学会雑誌にリバーロキサバンのモニターに関する論文が2つ報告されているので紹介します。

Clinical usefulness of measuring prothrombin time and soluble fibrin levels in Japanese patients with atrial fibrillation receiving rivaroxaban
Journal of Cardiologyオンライン
Yoshihisa Nakano et al


・平均74.5歳
・CHADS2スコア1.8点

・服薬直後計測(48人)PT:17.1 ± 3.6秒、plasma soluble fibrin1.46 μg/mL
・PTピーク値の延長因子(多変量解析):女性、BNP高値 ,高用量
・ピーク値20以上の例は明らかに出血多い:62.5% vs 22.7%
・新たにリバーロキサバンを投与された46例中29例でピークとトラフを比較
・ピークPTはベースライン及びトラフPTより明らかに延長
・ベースラインPTはトラフ値と同等
・血症SFはピーク値トラフ値とも、ベースラインより明らかに減少

結論:PT値ピーク20秒以上は出血上昇を認めた。SFはベースラインよりピーク、トラフとも減少した。抗凝固療法の既往にかかわらず、PTとSFの両方は測定価値あり

もう一つ
Impact of rivaroxaban compared with warfarin on the coagulation status in Japanese patients with non-valvular atrial fibrillation: A preliminary analysis of the prothrombin fragment 1 + 2 levels
Journal of Cardiologyオンライン
Kazuko Tajiri et al


・連続85例:リバーロキサバン33例、ワルファリン52例

・PTは両群で差なし
・トロンビン生成のマーカーであるF1+2はリバーロキサバン群で有意に大 (202 ± 88 pmol/l vs. 114 ± 79 pmol/l, p < 0.001).
・リバーロキサバン内服3時間毎15時間後では3時間後のPTが15時間後より有意に延長
・F1+2は同等

結論:トロンビン生成レベルはリバーロキサバン内服時間にかからわない。ワルファリンはリバーロキサバンよりアグレッシブにトロンビン生成を抑制するかもしれない

### PTが主に出血のマーカーなのに対しSFとF1+2は凝固活性のマーカーですね。金沢大学のサイトが勉強になります。
http://www.3nai.jp/weblog/entry/28676.html

凝固活性も測ったほうがより精度が高いのはそうなのでしょうが、実用化の点でどうなのでしょう。

前半の論文で、ピークのPT20秒以上は注意というお持ち帰りメッセージは、使えそうな気がします。ピークをどの時点で取るか、試薬の問題もあり、またROC曲線を本当は書きたいわけですが、そうしたデータが積まれるまで大雑把でも20秒を頭の隅に置いておきます。ちなみに当院では、試薬はあまり感度の高いものではないですが、いちおうリバーロキサバンでは、飲み始めにピークとトラフの両方を測っていますが、20秒を超えた例は2例ありましたがで出血はありませんでした。

T/H誌6月号にも、米国からのリバーロキサバンモニターの横断研究がでていましたが(ブログには書かないでいた)、その総説的な表では、PT, ACTはオーバードーズ、コンプライアンス、出血イベント予測にはよく、血栓イベント、薬剤相互作用のチェックにはダメ。何の予測にも良いのは抗Xa活性とのことです。
http://th.schattauer.de/en/contents/archive/issue/1870/manuscript/20707/show.html

「NOACは、治療域が広く、モニターなしのRCTでもアウトカムは良好だったから、モニターの必要はない」とう言うのはウソで、たとえばROCKET AF試験では大出血はワルファリンと同等で、消化管出血はワルファリンより多かったわけです。

やはりどういう例で出血するのかを予測できたほうが絶対いいに決まっているわけです。たぶん、出血をきたす例の中には先天的になんらかの凝固系異常がある例が含まれていると思われますので、そうした例を投与初期に篩い分けるためにモニターが必要なのだと思われます。

ワルファリンのように食品や併用薬剤でかなり変動するわけではないでの、慢性期にモニターする必要性は少ない、しかし投与初期の必要性は高い、と思われます。

投与初期のワンポイントだけの測定が有用、といった知見が出ればいいのですが。
血中濃度または抗Xa活性が測れれれば一番いいわけですが、実用化はどうなのでしょう?

Circulation J誌に。今度はアピキサバンのモニターについても日本からの報告がありますが、後日紹介します。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/circj/advpub/0/advpub_CJ-14-0512/_article
by dobashinaika | 2014-10-02 22:03 | 抗凝固療法:リバーロキサバン | Comments(0)

リバーロキサバン市販後調査(日本)の論文化:JSCD誌

リバーロキサバンの市販後調査がでています。

Present Profiles of Novel Anticoagulant Use in Japanese Patients with Atrial Fibrillation: Insights from the Rivaroxaban Postmarketing Surveillance RegistryJournal of Stroke & Cerebrovascular Diseases

・10038例
・2012年4月〜2013年6月

・48.9%が75歳以上
・CHADS2スコア平均2点(1〜3点)
・54.5%は他の抗凝固薬、、抗血小板薬からの切り替え
・45.3&%が抗凝固薬ナイーブ
・1039例で6ヶ月追跡完了
・本来高容量(15mg)を投与すべきにもかかわらず、1/4の例で低用量(10mg)が投与された
腎機能に加え、年齢、出血リスクのため

・大出血及び臨床上問題となる出血:36/1035
・16人中5人が抗血小板薬2剤以上併用で出血
・75歳以上あるいは50kg以下の158例のうち8例で出血
・複合エンドポント(脳卒中/全身性塞栓症、心筋梗塞):6/1034

・この登録はリアルワールドの有効性安全性を提供する

### RCTであるJ-ROCKTより平均年齢が2歳高い、腎機能は同じくらいです。最も大きなプロフィールの違いはCHADS2スコアで、こちらは0〜1点が3割程度です。

以前から指摘されているように、全くエビデンスのない「腎機能良好ながら10mgを使っているひと」がだいぶいますね。
J-ROCKETでは22.1%が10mgで140人位のデータしかないわけです。しかも全例CCr50未満です。そもそも腎機能が良好なひとで10mgで脳梗塞がどのくらいあるのか、これまで世の中に全くデータがないわけですね。

まだ有効性のアウトカムを言うだけのデータは出ていませんが、今後脳塞栓症の中にこの不適切投与例がどのくらい出るのか、注意したいところです。

先の心臓病学会で現在進行中の別の大規模登録研究(EXPAND)でも10mg投与が少なくなかったと報告されているようですね。

その他日本を代表する循環器専門施設でもかなり多いと聞いたこともあります。

これ出血リスクの過大評価の典型例ですが、降圧薬とかスタチンみたいに低用量からという発想はきっぱり捨てないといけないです。
by dobashinaika | 2014-09-30 23:05 | 抗凝固療法:リバーロキサバン | Comments(0)

本当に心房細動は発作性と持続性で塞栓リスクは同じなのか:ROCKET AF後付解析:EHJ誌

Eur Heart J 9月10日オンライン
Higher risk of death and stroke in patients with persistent vs. paroxysmal atrial fibrillation: results from the ROCKET-AF TrialBenjamin
A. Steinberg et al

疑問:抗凝固療法を受けている心房細動はのアウトカムは発作性と持続性で差があるのか?

方法:
・ROCET AF試験登録患者を発作性と持続性で比較
・高リスク群において多変量解析施行
・血栓塞栓症、出血、死亡を比較

結果;
1)全14062例:持続性82%、発作性18%

2)持続性のほうが若干、高齢、女性少ない、以前のビタミンK阻害薬の服薬歴あり多し

3)ワーファリン群のTTR;同様=58vs59%

4)脳卒中/全身性塞栓症:持続性2.18/人年 vs. 発作性1.73:P=0.048

5)全死亡:持続性4.78/人年 vs. 発作性3.52:P=0.006
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6)大出血:持続性3.55/人年 vs. 発作性3.31:P=0.77

7)脳卒中/全身性塞栓症の結果はリバーロ群、ワルファリン軍で変わらず

結果:中〜高リスク心房細動の抗凝固療法施行例では、持続性のほうが発作性より血栓塞栓症イベントおよび予後は高リスク。

### 発作性は7日以内の持続、持続性は7日を超えた持続と定義されています。登録時新規発症は入っていません。

Discussionにあるように、これまで発作性と持続性で予後は同じとの報告が多いのですが、例えばGISSI AFでは発作性の抗凝固療法率が76%で、持続性の96%より少なくCHADS2スコアも1.4点で低かったのです。よく引用されるACTIVE WでもCHADS2スコアは1.8〜2.0で発作性の抗凝固療法率は65%でやはり低いものでした。Euro Heart Surveyでの抗凝固療法率は発作性45%に対し持続性79%と明らかな差がありました。

過去のこうした試験と比べると、抗凝固療法に関しては平等で、CHADS2スコアは高めであることがこの論文の対象の特徴です。
この点はしっかりしているのが、既存の試験と違う点とされています。

一番の限界は、やはり後付け解析であること。それとこういう試験につきものの、特に発作性の定義が難しいことです。

以前から、私自身はやはり発作性でも発作回数が少なく、持続時間も短い集団が多ければ、それは持続性より予後はいいだろうとじつは密かに思っていました。今までの試験はそうした例も、割と発作が頻繁な例も発作性群に入れているのがちょっとひっかります。

これまでの説明は発作性でも無症候性が結構多いとか、発作のあとの心房リカバーの時に塞栓がとぶとかでしたが、では実際AFがどのくらい持続して身体に負担となっているのかという、"AF burden"を測定することは、本来困難なんですね。

それと今まで、発作性、持続性のアームに分けたRCTがないのも、言われてみればそうなんですね。

まだまだ本当はわからないことが多いのです。
by dobashinaika | 2014-09-16 21:38 | 抗凝固療法:リバーロキサバン | Comments(0)

心房細動除細動時のリバーロキサバン投与の有効性安全性:EHJ誌

Rivaroxaban vs. vitamin K antagonists for cardioversion in atrial fibrillation
Riccardo Cappato et al
Eur Heart J (2014) doi: 10.1093/eurheartj/ehu367

疑問:心房細動除細動時、リバーロキサバンは使えるのか?

P:48時間を超えて続く非弁膜症性心房細動で、除細動予定の患者

E:リバーロキサバン20mg(CrCl30-49では15mg)1002例
早期例:登録後1〜5日後除細動
待機例:21日以内(最高〜56日)

C:ビタミンK阻害薬(VKA)502例:PT-INR2〜3
早期、待機は同じ

O:主要有効評価項目=脳卒中/TIA、末梢塞栓症、心筋梗塞、心血管死(坐忘内血栓例などをのぞいたmodified ITT解析)
主要安全評価項目=大出血 (On Treatment解析)

T;無作為化比較試験

結果;
1)有効評価項目:リバーロ群5/978 (0.51% ) vs. VKA群 5/492 (1.02%):(リスク比 0.50; 95% CI 0.15–1.73).:
早期例:リバーロ群0.71%、VKA群1.08%
   待機例:リバーロ群0.24%、VKA群0.93%

2)リバーロ群は除細動までの時間がVKAより有意に短い (p<0.001)

3)大出血:リバーロ群 0.6% vs. VKA群 0.8%:(リスク比 0.76; 95% CI 0.21–2.67).

結論:リバーロキサバンは有効性、安全性から見てVKAの代替となり得る。また除細動までの時間を短くする可能性あり。

### これまで、ダビガトランではRE-LY試験のサブ解析で除細動時のVKAに比べての評価が出ており、同等とのことでした。
しかしこの時はダビガトラン例でも30日後の除細動でした。
http://circ.ahajournals.org/content/123/2/131.long

我々が知りたいのはNOACだとすぐに効くので、ガイドラインどおり3週間のローディングがいらないのではないかということです。
今回は、各種大規模試験後で除細動対象としては初の前向き無作為化試験であり、この点も検討されてます。

ちなみに全体の58%が早期施行例です。

興味深いのは、待機例において、リバーロの方は平均25日投与したのに対し、VKAは34日かかっており、またリバーロでは21日内に77.0%がVKAでは除細動したのに対し、VKAではINRが不適切のため36.3%の人しか除細動できていなかったということです。まあリバーロのほうはマーカーがないからと言ってしまえばそれまでですが、アウトカムに差はなかったことから見ても、従来の方法に取って代わる可能性はあると思われます。

早期例でも、VKAで脳塞栓はNOACと同等程度だったようですが、イベント発生数自体非常に少ないので、なんとも言えません。
少なくとも3週を念頭に入れれば、ワルファリンより短期にできることは利点と言えそうです。1〜5日でOKかどうかはこの試験だけではどうでしょうか。可能性は見えるかと思われます。
by dobashinaika | 2014-09-03 21:12 | 抗凝固療法:リバーロキサバン | Comments(0)

弁膜症症例(MS,人工弁以外)でのリバーロキサバンの有効性安全性:EHJ誌

Eur Heart J (2014)doi: 10.1093/eurheartj/ehu305
Clinical characteristics and outcomes with rivaroxaban vs. warfarin in patients with non-valvular atrial fibrillation but underlying native mitral and aortic valve disease participating in the ROCKET AF trial
Günter Breithardt et al


疑問:僧帽弁狭窄症や人工弁以外の弁膜症でのNOACの有効性安全性はどうか?

P:ROCKET AF試験対象患者のうち、僧帽弁狭窄症および人工弁症例以外の明らかな弁膜症患者2003名14.1%

E:リバーロキサバン

C:ワルファリン

O:脳卒中/全身性塞栓症、大出血、、臨床的に有意義な小出血、頭蓋内出血

T:RCTのpost hoc 解析。弁膜症の有無ごとに解析

結果:
1)弁膜症症例は非弁膜症例より高齢かつ合併症多し

2)脳卒中/全身性塞栓症:
弁膜症症例:同等(2.01 vs. 2.43%; ハザード比0.83(0.55–1.27))
非弁膜症:同等 (1.96 vs. 2.22%; ハザード比 0.89, (0.75–1.07))
交互作用なし

3)大出血および臨床的に有意な小出血
弁膜症症例:リバーロ群で多い (19.8% rivaroxaban vs. 16.8% warfarin; HR 1.25 (1.05–1.49))
非弁膜症:同等 (14.2% rivaroxaban vs. 14.1% warfarin; HR 1.01 (0.94–1.10))
交互作用あり:P=0.034

4)頭蓋内出血:弁膜症有る無しに関わらずリバーロ群で低い。交互作用なし。

結論:いわゆる(大規模比較試験上の)”非弁膜症性心房細動”例は、多くの弁膜症を有する。脳卒中リスクは弁膜症の有無に関係なし。有効性については、弁膜症の有無にかかわらず両群とも同等。出血については、弁膜症群でリバーロキサバンの方がワルファリン群より多い。非弁膜症群では同等。心房細動患者は弁膜症の有無にかかわらず、抗凝固療法の恩恵を同様に受ける

### 弁膜症のタイプとしては僧帽弁閉鎖不全症89.6%、大動脈弁閉鎖不全症24.8%、大動脈弁狭窄症11.0%です。また弁輪形成術後が60.4%とのことです。

患者背景は、高齢、持続性、罹患期間、脳卒中既往、心不全、高血圧、糖尿病、心筋梗塞、事前のワルファリン使用等等、多くの合併症が弁膜症例で多く認められています。

おおむね、本試験と同じ結果ですが、出血については大出血のみも含めて、弁膜症症例のみにおいて、リバーロキサバンで有意に多いと言うのが、本試験と唯一違う点です。論文ではこの理由の考察はなく「後付け解析のなせる業」みたいに言っています。

保険審査のとき「僧帽弁閉鎖不全症」と書くと場合によっては保険者から査定される場合がありますが、(今は日本のガイドラインで定義が出ていますので、少ないと思われますが)、一応こういうスタディがあると言うことで、「第III相試験の中には僧帽弁狭窄症と人工弁以外の弁膜症は入っていますよ」という根拠
にはなるかもしれません。

それにしても保険審査のとき「非弁膜症性心房細動」という添付文書の記載は本当に紛らわしいですね。
by dobashinaika | 2014-08-26 15:06 | 抗凝固療法:リバーロキサバン | Comments(0)

リバーロキサバン内服下とワルファリン内服下での脳出血アウトカム比較:Stroke誌

Stroke 7月31日 doi: 10.1161/STROKEAHA.114.006661

Characteristics of Intracerebral Hemorrhage During Rivaroxaban Treatment Comparison With Those During Warfarin
Joji Hagii et al


疑問:リバーロキサバン内服中の脳出血は、ワルファリン内服者に比べてどうなのか?

P:2011年4月から2013年10月まで弘前大学に脳内出血で入院した585人中、リバーロキサバンまたはワルファリン服用者

E:リバーロキサバン内服例:5例1%

C:ワルファリン内服者56例10%

O:患者背景、神経学的所見、機能評価

結果:
1)リバーロ群は全例HAS-BLEDスコア3点で、脳出血の既往あり

2)多発性微小出血(4箇所以上);リバーロ群>ワルファリン群(80%vs.29%;P=0.04)

3)血腫用量:リバーロ群<ワルファリン群(4ml vs. 11 ml:P=0..03)

4)リバーロ群で血腫の拡大や外科手術に至ったものなし

5)リバーロ群は退院時のmRankinスケールがワルファリン群より低い。

6)リバーロ群は入院時と退院時のmRankinスケールの差がワルファリン群より小さい(中央値3vs.1:P=0.047)

7)入院中死亡:リバーロ群なし。ワルファリン群10例18%

結論:
リバーロキサバン関連脳出血例は大出血の高リスク例であった。しかしワルファリン関連脳出血よりも血腫が小さく、血腫拡大もなく、機能的かつ生命予後的アウトカムも良い傾向にあった。

### 弘前大学の奥村先生の教室からの論文です。
Nは少ないながら、従来から言われていたことがきちんと実証されている感があります。

ダビガトランでも同様報告が、日本の矢坂先生のグループからあります。
http://dobashin.exblog.jp/19645660/

やはり第VII因子を抑えないところの強みだろうと思うのですが、ダビガトランでは出血を起こしてしまった人の予後は同じともデータも有り、これに関する理解が難しいところではあります。
http://dobashin.exblog.jp/19965528/

この論文はダビガトランでも出血した人の20%が死亡しており、とても今回のように死亡ゼロという世界とは違っています。
海外では、NOAC内服でも、その後のケアが手薄なのかと思ってしまいたくなるような差かと思います。

より症例数が増せば、もっとわかってくるかと思います。
by dobashinaika | 2014-08-01 22:55 | 抗凝固療法:リバーロキサバン | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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