カテゴリ:抗凝固療法:全般( 124 )

無症候性心房細動の24時間以上持続は脳卒中リスク増加と関連有り


疑問:無症候性心房細動がどのくらい続いたら脳塞栓リスクが増えるのか

方法:
・ASSERT試験登録患者2580人
・ペースメーカー,ICD,65歳以上の高血圧,心房細動なし
・虚血性脳卒中リスクにおける無症候性心房細動の影響をCoxモデルで評価
・6分以内の心房細動は除外
・追跡期間:2.5年

結果:
1)6分以上6時間以下:18.8%,6−24時間:6.9%,24時間以上10.7%

2)24時間以上持続群が引き続く虚血性脳卒中と有意に関聯あり:ハザード比3.24。95%CI1.51-6.95.p=0.003

3)6−24時間の持続と脳卒中リスクは関聯なし
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結論:無症候性心房細動の24時間以上の持続は脳卒中リスク増加と関聯あり

### ASSERT研究はペースメーカー,ICD患者の無症候性心房細動を追跡評価する研究で,主論文は既に発表されています。
無症候性心房細動はこうした方の約10%に起こり,心房細動がある人はない人の2.5倍の脳梗塞発症率とのことです。

ただし心房細動の持続時間と脳梗塞の頻度を比較したのはこれが初めてでした。
やはり短時間の心房細動であればほとんど脳梗塞は来さないとのことです。
以前発症48時間以内に除細動を施行した場合の脳塞栓率(抗凝固なし)も1%程度あるとの報告を読みましたが,こうした場合おそらく24時間以上続く例なのではないかと思われます。

反対に,数分とか数時間の心房細動であれば,抗凝固薬は必要ないともいえますので,ホルター心電図などで数分,数時間のものなら抗凝固はちょっと保留してもいいかもしれません。ただし無症候性はわからないから無症候性なので,無症候性ながら1回でも心房細動が見つかっている症例で抗凝固をどうしようか迷っている場合は,ホルター心電図を頻回に考える必要があるかもしれません。ループレコーダーなども今はありますが。

$$$ 今週の片手袋。ポスト上もよくあるタイプです。
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by dobashinaika | 2017-03-07 18:17 | 抗凝固療法:全般 | Comments(0)

European Heart Journalの「不整脈この1年」:NOACリアルワールドデータを評価


あけましておめでとうございます。
本年も「心房細動な日々」をよろしくお願い申し上げます。

新年最初はEuropean Heart Journal恒例の「循環器学この1年」です。
このうち「不整脈&植込み型デバイス」の章の中の「脳卒中予防」を紹介します。
要点箇条書きで行きます。

<肥満パラドックス>
・ARISTOTOLEサブ解析

・17913例対象,1.8年追跡

・BMI高値ほど全死亡は少ない;HR = 0.63; 95% CI = 0.54–0.74

・女性では脳卒中リスクにもこのことが当てはまるが男性では適合しない

・脂肪量と出血は無関係

・説明としては,薬物治療や生活スタイルの変容,より良い予備代謝等が挙げられている

The ‘obesity paradox’ in atrial fibrillation: observations from the ARISTOTLE (Apixaban for Reduction in Stroke and Other Thromboembolic Events in Atrial Fibrillation) trial. Eur Heart J 2016;37:2869–2878.

<エドキサバンの追加情報>
・ワルファリンに対する全死亡低下は,エドキサバン30mg(HR = 0.87; 95% CI = 0.79–0.96, P = 0.006) のほうが60mg (HR = 0.92; 95% CI = 0.83–1.01, P = 0.08)よりも大きい

・30mgでは虚血性脳梗塞が増加し(HR = 1.41; 95% CI = 1.19–1.67, P < 0.001),高用量60mgでは不変にも関わらず全死亡は減っている

・大出血が少ないことがその原因

・抗凝固薬への関心が,血栓塞栓症の予防から心血管合併症全般に向かっていることを示唆する

・他のサブ解析ではエドキサバンが高齢,高転倒リスクでとくに効果と安全性が高いことが示されている

Mortality in Patients with Atrial Fibrillation Randomized to Edoxaban or Warfarin: Insights from the ENGAGE AF-TIMI 48 Trial. Am J Med 2016;129:850–857 e2.
Rivaroxaban vs. vitamin K antagonists for cardioversion in atrial fibrillation. Eur Heart J 2014;35:3346–3355.

<除細動周術期でのNOACの効果と安全性>
・エドキサバン60mgは心房細動除細動周術期でも,ワルファリンと同様の効果と安全性を示した(Ensure AF)。

・除細動後30日において,新たな脳卒中,心筋梗塞,末梢塞栓,心血管死はエドキサバン群(1095例)0.5%に対し,ワルファリン群は1.0%(OR 0.46; 95% CI = 0.12–1.43)

・リバーロキサバンで同様報告あり

ENSURE-AF investigators. Edoxaban versus enoxaparin-warfarin in patients undergoing cardioversion of atrial fibrillation (ENSURE-AF): a randomised, open-label, phase 3b trial. Lancet 2016;388:1995–2003.

<多くのNOACに関するリアルワールドデータ>
・リバーロキサバンではワルファリンに比べ大出血,脳卒中ともに低率。
・REVISIT-US研究ではリバーロキサバン(39%),アピキサバン(37%)とも虚血性脳卒中,頭蓋内出血を減らした。
Real-world evidence of stroke prevention in patients with nonvalvular atrial fibrillation in the United States: the REVISIT-US study. Curr Med Res Opin 2016;32:2047–2053.
・(ダビガトランでも同様報告あり)

・OptumLabs Data Warehouseの解析では,アピキサバン,ダビガトラン,リバーロキサバンはワルファリンに比べ虚血性脳梗塞は低率
・大出血リスクは,リバーロキサバンで同等ダビガトラン,アピキサバンではワルファリンに比べ低率
Effectiveness and Safety of Dabigatran, Rivaroxaban, and Apixaban Versus Warfarin in Nonvalvular Atrial Fibrillation. J Am Heart Assoc 2016;5:e003725

・最近のFDAのダビガトランVS.リバーロキサバンのデータでは,血栓塞栓症はダビガトランがリバーロキサバンより低率。頭蓋内出血,頭蓋外出血ともリバーロキサバンがダビガトランより多い。死亡率も多い傾向。
Beneficiaries Treated With Dabigatran or Rivaroxaban for Nonvalvular Atrial Fibrillation. JAMA Intern Med 2016;176:1662–1671.

<まとめ>
・第3相試験とリアルワールドデータとの比較が推奨されているが,統計的なhead-to-headのNOAC間の比較にはがっかりさせられた。

・リアルワールドデータには以下のようなかなりの制約がある:残存交絡因子,短い追跡期間,選択バイアス,アウトカム測定法のばらつき(例:大出血の定義),外部評価の欠如,不完全な追跡

・言えることは,これまでのリアルワールドデータはRCTのアウトカムと同様であるということ。

・それゆえNOACはガイドラインで推奨度クラスI,エビデンスレベルAとなっている。

・一方アスピリンはクラスIIIである。

### 肥満パラドックスを除くと,概ねNOACが各場面,各現実世界でRCTと同等もしくはそれ以上の有効性安全性を示したことが強調されています。「抗凝固薬への関心が,血栓塞栓症の予防から心血管合併症全般に向かっている」これ一番大事と思いました。

$$$ 暮れにこれが届きました。自分への大きなお年玉です(紅白歌合戦のときと同様,知らない人にとってはどうでもいいことなのですけど。。)。
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by dobashinaika | 2017-01-04 22:30 | 抗凝固療法:全般 | Comments(0)

抗凝固薬の服薬アドヒアランスに関する総説-なぜ抗凝固薬は飲めないのか:TH誌


Thromb HaemostにNOACのアドヒアランスに関する総説がでています。

Adherence to oral anticoagulant therapy in patients with atrial fibrillation Focus on non-vitamin K antagonist oral anticoagulants
Thromb Haemost 2017 http://dx.doi.org/10.1160/TH16-10-0757

大雑把にまとめます。

<服薬アドヒアランスに影響する因子>
●患者側要因
・特性:年齢,民族,教育レベル,社会経済的ステータス,要介護度
・医療的状況:合併症,障害度,脆弱性,認知症,薬剤忍容性+副作用,ポリファーマシー
・行動要因:社会的孤立,精神疾患
・医学的知識への理解:薬剤服薬及び中止に関連したリスクとべネフィットへの理解

●医師/ヘルスシステム側要因
・知識:ガイドライン遵守度,推奨やリスク対処への気づき
・職場環境:専門施設,ヘルスシステムの構築,医師患者間の良好な関係,多職種アプローチ
・コスト:アクセシィビリテイ(公的,私的サービス),経済的要因

<NOACのアドヒアランス,パーシステンス>
・半減期が短いだけNOACはワルファリンよりアドヒアランス不良は許されない
・英国のGPデータベースでは,ワルファリンのアドヒアランスは1年目で70%,2年目で50%
・NOACの第3相試験では,18〜35%の非継続率。このうち副作用による中止はわずか。リアルワールドより厳格の管理での数値
・NOACのリアルワールドデータでは,38.0〜99.7%と極めて幅広い。80%を良好とする研究が多い
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<NOACのアドヒアランス/パーシステンスに関する考え方>
・一般的には1日2回のほうが,1日1回より血中濃度が良好に継続しやすい
・どのNAOCが最もネットクリニカルベネフットが良いかについては不明
・モデルデータからは,1日2回薬で1〜2錠/日飲まないよりも,1日1回で全然飲まなかったほうが血中濃度減少が大きいい
・臨床上有効な抗凝固モニターがない以上,しっかり飲んだかどうかの確認が重要
・現在,ピーク濃度が出血を規定するとされている。特に1日1回に比べ1日2回ではピークが低い
・このことは安全性を示唆するが,エドキサバンの第2相試験では同用量で1日2回よりも1回のほうが出血が少ないことが示されている

<NOACでのアドヒアランス向上策>
・ワルファリンではINRに基づく管理ができる。70%を概ね良好とする
・SAMe-TT2R2スコア(女性,60歳未満,既往歴,影響薬剤,喫煙,非白人)はアドヒアランス良好の可否を予測する因子
・同スコア2点以上では積極的に患者教育
・定期的なコンタクト,多職種からのアプローチ
・ヘルスプロバイダー間のエビデンス共有のアップデート:各種ソフト,e-サポート
・中心的な抗凝固クリニックにより運営される長期の管理
・患者教育により,抗凝固薬による脳卒中予防の重要性と実際の薬剤服用法の認識の定着 etc.

### 超厳格アドヒアランス管理のRCTでさえ最高で34.4%ものひとが服薬中途で脱落します。なぜこれほど抗凝固薬が飲めないのか。私は背景に抗凝固薬のもつ2つの宿命があると考えます。

1つは「退屈な薬である」ということ。ワルファリンはINRがありました。それとて血圧などに比べてなんとなく実感がわかない,むしろ出血の不安を掻き立てることさえある指標でした。ましてやNOAC。効いているのかどうか,危ないのかどうか全く実感することができません。飲んでいて喜びもヤバさ加減も湧かない薬,それがNOACです。

もう1つは「不条理な薬」であるということです。上記のように効いている実感がわかない上に,更に出血という重い有害事象がつきまとうし,実際皮下出血などはよく経験する。なんと割に合わない,不条理な薬なのでしょうか。

退屈で不条理と来ては70%程度の服薬率も頷けるかもしれません。ワタシ的には定期的に腎機能や貧血,aPTT,PTなどを採血し,飲まないことの脳梗塞リスクの重大性を薬剤師,看護師なども交えて確認,教育。認知症早期評価に傾注と言った当たり前の作戦しか思い浮かびません。

同様の総説は以下です。
http://dobashin.exblog.jp/20382624/

### ワルファリンは永遠に不滅です,なんて書いてワルファリン礼賛者のように感じられたかもしれないので,ワタシの基本的スタンスを確認。

以下のブログで示しているように「時と場合により使い分ける」です。大切なことはワルファリンかNOACかの2項対立ではなく,各薬剤の長所欠点を熟知して使うということです。殺鼠剤だったワルファリンだって時と場合によってはこれしかない場合もある。自分がAFのときだって時にはワルファリンのほうがいいこともあればNOACのほうがいい状況になることもある。こっちのほう絶対推し,だけはしないようにしたいということです。それこそがscientificな態度だと思うわけです。
http://dobashin.exblog.jp/21745479/

$$$ 昨日観ました。「真田丸」「シン・ゴジラ」とお気に入り豊作だったことしの白眉とも言うべき。非日常とは日常にこそ潜む,そして日常は非日常の下で連綿と息づく,そう感じます。
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by dobashinaika | 2016-12-05 23:52 | 抗凝固療法:全般 | Comments(0)

シン・ボウサイドウな日々


調子に乗って作ってみました。
(期間限定かも)
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by dobashinaika | 2016-11-25 22:12 | 抗凝固療法:全般 | Comments(0)

妊娠中の抗凝固療法9つのポイント:JACC誌


JACCより妊娠中の抗凝固療法に関する総説です。
ACCのメルマガによる9ポイントのまとめでおさらいします。

Anticoagulation During Pregnancy: Evolving Strategies With a Focus on Mechanical Valves. J Am Coll Cardiol 2016;68:1804-1813

1.妊娠は凝固過剰状態である。妊娠時から出産12週後までの静脈血栓塞栓症(VTE)の頻度は通常の5倍。VII,VIII,X,vW因子,フィブリノーゲンレベルの増加とプロテインSの低下による

2.妊娠中の抗凝固療法選択は母子双方のリスクベネフィットバランスによる

3.分娩時(局所麻酔,帝王切開含む)が最も出血リスクの高まるときである。ワルファリンは腰椎麻酔の12〜24時間前に止められ,低分子ヘパリンに変える。INR1.5以下が目標

4.ビタミンKは胎盤を通過し用量依存性の有害事象(流産,死産,胎児期障害)を生む。通常1日5mg以上で起こる。

5.人工弁患者は,ワルファリン継続(特に5mg/日以下あるいはINR5以下)または低分子ヘパリン1日2回を使用。NOACは使ってはいけない

6.抗凝固療法下での血栓傾向やVTEの既往がある例では,妊娠中や後も継続

7.血栓傾向がありVTE歴がない場合は,低分子へパリンのサーベイランスまたは予防投与を受けるべきだが,分娩後はフルドーズを強く考えるべき

8.体重あたりの低分子ヘパリン量は,投与後4〜6時間の血中濃度1.0〜1.2U/mlを目指して投与する

9.ワルファリンは妊娠中はカテゴリーDに位置づけされる。胎盤を通過するが母乳には含まれない。低分子へパリンはカテゴリーB。胎盤を通過せず,母乳にも認められない
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### 年齢的にみても,あまり遭遇することは少ないですが,妊娠が過凝固状態であることは常に考えておくべきと痛感しました。

$$$ 
昨日の早朝,近所の神社,澄み切った空気に小鳥のさえずり,時折さす木漏れ日。やや寒いくらいでしたが,こういう場に遭遇できるのっていいですよ,とっても。
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by dobashinaika | 2016-10-17 23:17 | 抗凝固療法:全般 | Comments(0)

「新規抗凝固薬は本当に広まっているのでしょうか?」:メディカル朝日7月号

メディカル朝日(朝日新聞出版)7月号の特集「もうはじまっている! 心房細動治療の新時代」という企画に,「新規抗凝固薬は本当に広まっているのでしょうか?」というお題で寄稿させていただいております。

NOAC(DOAC)が上梓されて5年。一時の「祭り状態」は落ち着きを見せ,それなりに新規抗凝固薬は普及しているように見えますが,数字で見た場合の実態はどうなのか。また果たして適切な症例に処方されているのか?更に,現実に心原性脳塞栓,脳塞栓死は減少しているのか?

NOAC(DOAC)時代が”成熟期”に差し掛かる現在,本当に知りたいところを独断と私見から考えてみました。

もしご興味ある方は,購入の上(恐縮です)ご笑覧ください。

http://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=18195

$$$ きょうのニャンコ。どこにいるか。
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by dobashinaika | 2016-07-04 08:14 | 抗凝固療法:全般 | Comments(0)

脳塞栓にならないためにはいくらまで支払えるか:患者と医師との価値観の違い:V/H誌

Physician and Patient Preferences for Nonvalvular Atrial Fibrillation Therapies
Value Health. 2016 Jun; 19(4):451-9.


目的:非弁膜症性心房細動の抗凝固両方に関する患者と医師との価値観の違いを明らかにする

方法:
・非弁膜症性心房細動と診断された患者及びその主治医に12の質問
・脳塞栓リスク,大出血リスク,便利さ(採血/食事),服薬回数,コストの5カテゴリーを比較
・willingness-to-pay (WTP):支払い意志額=そのアウトカムを得るのに支払っても良いと考える金額を各カテゴリーにつき評価

結果:

1)1%脳塞栓症を減らすためのWTP(医師200人):$38(95%CI:$22〜$54)

2)1%大出血を減らすためのWTP(医師200人):$14(95%CI:$8〜$21)

3)より便利になることに関するWTP(医師):$30($18〜$42)

4)1%脳塞栓症を減らすためのWTP(患者201人):$30(95%CI:$18〜$42)

5)1%大出血を減らすためのWTP(患者201人):$16 (95%CI:$9〜$24)

6)より便利になることに関するWTP(患者):-$52(-$96〜-$6)

7)より便利になることに関するWTP:ワルファリン服用者は$9に対し非服用者は-$90

8)1日の服薬回数に関するWTP:患者,医師ともにほぼゼロ

9)85%の医師はワルファリンよりNOACを好む

10)ワルファリン服用中の患者の73&%はNOACを好む

11)ワルファリン非服用者の78.2%はワルファリンを好む

12)NOACの中では,患者,医師ともにアピキサバンを好む

COI:Bristol-Myers Squibb (BMS) and Pfizer

結論:医師,患者ともワルファリンを使用している場合でも,NOACの方をワルファリンより好んだ。ワルファリンを使用していない患者では,定期的な検査や食事制限ゆえにNOACよりワルファリンを好んだ。

###最後のワルファリンをより好む理由がわかりません。検査があったほうが信頼できるのはわかりましが,食事制限されたほうが良いような書き方でした(本文を読んでみないとわからないかも)。

それにしても興味本位で読んではみましたが,こうした解析はどれだけ意味があるか。確かに医師のほうが,患者さんよりも脳塞栓に関しては高いお金を払っても良く,大出血は安くても良いような傾向かもしれませんが,あまり大差無いように見えます。

そもそも脳塞栓にならないため,にどれだけのコストが支払えるかという発想自体違和感を感じます。お金に変えられない!と思いますよね。

最後にCOIを見たのがいけませんでした。こんな論文もあると思って読んでください。

$$$ 古い神社にネコ一匹
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by dobashinaika | 2016-06-22 18:43 | 抗凝固療法:全般 | Comments(0)

抗凝固薬を中止すると血栓塞栓症リスクは20倍に増加:PLOSone誌

Risk of Thromboembolic Events in Patients with Non-Valvular Atrial Fibrillation After Dabigatran or Rivaroxaban Discontinuation –Data from the Ljubljana Registry
PLOS ONE | DOI:10.1371/journal.pone.0156943 June 9, 2016


疑問:NOACを中止すると血栓塞栓症は増えるのか?

方法:
・非弁膜症性心房細動866例。平均74.3歳。平均CHADS2スコア2.1点
・ダビガトランまたはリバーロキサバン内服開始例
・中断または中止例vs.継続例
・アウトカム:血栓塞栓症イベント,死亡

結果:
1)全866例:継続群705例,一時的中断群84例(待機的侵襲手技69例,出血10例,他5例),中止群77例

2)血栓塞栓症イベント:継続群1.0(0.4〜2。1)/100人年 vs. 中断中止群21.6(10.3〜45.2)/100人年;p<0.001

3)血栓塞栓症イベントは中止後最初の1週間に明らかに多く,平均では中止後14(1〜37)日
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結論:ダビガトラン,リバーロキサバンは継続している間は,血栓塞栓症の良い予防薬だが,中止すると短期の血栓塞栓症イベントは20倍増加する。

### 中止例の平均中止日数は7日とのことです。やはり7日も止めては危険なんですね。さらに中止後1日でイベントを起こすひともいます。血栓塞栓症リスクの高い人では短期の中止でも要注意かと思われます。貴重なデータです。

$$$ 立葵。かなり大きくなります。
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by dobashinaika | 2016-06-18 21:31 | 抗凝固療法:全般 | Comments(0)

心房細動発症48時間以内の除細動時,抗凝固薬は必要か:JACCEP誌

Incidence of Thromboembolic Complications Within 30 Days of Electrical Cardioversion Performed Within 48 Hours of Atrial Fibrillation Onset
JACCCEP. 2016;():. doi:10.1016/j.jacep.2016.01.018

疑問:ガイドラインでは心房細動発症48時間以内の除細動時に抗凝固療法は推奨されていないが,実際血栓塞栓症リスクはどうなのか?

方法:
・発症48時間以内に除細動を施行した患者
・アウトカム:抗凝固薬使用の有無と除細動30日以内の血栓塞栓症イベントの関係

結果:
1)567除細動件数中抗凝固薬なし(アスピリンのみ)484例(CHA2DS2-VAScスコア平均2.3点):神経学的イベント6例1.06%

2)898例中抗凝固薬あり709例(CHA2DS2-VAScスコア2.6点):神経学的イベント2例0.22%,p=0.03。2例とも抗凝固薬をオフにした際に発症

3)CHA2DS2-VAScスコア2点未満または術後心房細動にはイベント無し

結論:急性発症心房細動における血栓塞栓症合併症は抗凝固療法なしの例では,ある例の5倍。ただし術後心房細動,CHA2DS2-VAScスコア2点未満ではイベント無し。どういう例が抗凝固薬が必要かを示唆する所見。

Perspectives:ガイドラインでは発症48時間以内の場合,抗凝固は推奨されていないが,CHA2DS2-VAScスコア2点以上例での注意を促すデータである。左房血栓は除細動後すぐに形成される。経食道エコーにより除細動直後の左心耳血流の停滞が明らかにされている。血中濃度上昇の速い抗凝固薬の時代では除細動前48時間以内の服薬は良いかもしれない。さらなる検討必要。

### これは知りたかったことです。経食道エコーでは発症数時間で左心耳血栓ができうるといった論文もあり,本当に48時間でいいのかとは誰しも思うところかと思います。やはりCHA2DS2-VAScスコアが目安になるみたいですね。もともと血栓リスクの少ない人だと抗凝固しなくて良いとのこと。48時間を超えた症例はこれまでワルファリン3週間ローディングなどが推奨されていますが,NOAC半日投与などもオプションとして考えられるかもしれません。

$$$ 仙台和菓子の老舗「熊谷屋」さんの恒例和菓子。今回は「こいのぼり」「ふじ」「あやめ」です。
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by dobashinaika | 2016-05-04 17:38 | 抗凝固療法:全般 | Comments(0)

左心耳血栓の頻度はNOACとワルファリンで同等:JACCCE誌より

Prevalence of Left Atrial Thrombus Detection by Transesophageal EchocardiographyA Comparison of Continuous Non–Vitamin K Antagonist Oral Anticoagulant Versus Warfarin Therapy in Patients Undergoing Catheter Ablation for Atrial Fibrillation
JACCCEP. 2016;():. doi:10.1016/j.jacep.2016.01.004

疑問:左心耳血栓の頻度は,ワルファリンより NOAC服用時のほうが少ないのか?

方法:
・後ろ向き:心房細動388人。平均65歳。CHA2DS2-VAScスコア2点以下62%
・アブレーション後3日以内に経食道エコー施行
・NOAC服用群とワルファリン群で左心耳血栓の有無を比較

結果:

1)服用期間:ワルファリン群の方長い

2)CHA2DS2-VAScスコア:ワルファリンのほうが高い

3)左心耳血栓:NOAC4.4% vs.ワルファリン2.9%(p = 0.45)

4)NOAC別左心耳血栓:ダビガトラン5.4%,リバーロキサバン4.8%,アピキサバン0%

5)心不全,持続性心房細動は左心耳血栓と関連あり

6)左心耳血栓を持つ人の抗凝固療法レジメンは変更があった

7)多数例で,経食道エコーにより血栓の消失が確認された。
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結論:左心耳血栓の頻度はNOACとワルファリンで同等。抗凝固薬にかかわらず,経食道エコーによる血栓の確認(除外)は必要

### 対象はアブレーション施行者,比較的低リスクの症例対象です。それでも3〜4%で左心耳血栓は見られるのですね。

左心耳血栓はいつから形成されているのかは定かではありませんが,少なくとも左心耳血栓という「現象」とNOACかワルファリンかの「選択」が関連するとはこの研究からはい言えない。NOACのほうが左心耳血栓の少ないとは,この研究からは言えないということです。

$$$ 今朝の広瀬川
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by dobashinaika | 2016-04-24 10:21 | 抗凝固療法:全般 | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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