カテゴリ:循環器疾患その他( 51 )

2017米国高血圧ガイドラインのまとめ(2):JACC誌より

AHA/ACC高血圧ガイドラインの続きです。


パート1;ジェネラルアプローチ,スクリーニング,フォローアップ

5.:
・新規発症、3剤以上併用しても治療抵抗性高血圧、急性発症、30歳未満、過度な臓器障害(脳血管疾患、網膜症、左室肥大、HFpEF, HFrEF、冠動脈疾患、慢性腎臓病、末梢血管疾患、アルブミン尿)、高齢者の拡張期高血圧発症、原因不明または過度な高カリウム血症では二次性高血圧のスクリーニングが必須。
・スクリーニングには、CKD、腎血管性高血圧、原発性アルドステロン症、閉塞性睡眠時無呼吸症候群。薬剤性高血圧(NSAI、ステロイド/男性ホルモン、点鼻薬、カフェイン、モノアミン酸化酵素阻害薬、アルコールなどが含まれる
・より特異的な臨床的特徴が見られれば、稀な二次性高血圧(褐色細胞腫、クッシング症候群、先天性副腎過形成、甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、大動脈縮窄症)のスクリーニングが必要。
・上記の特徴が認められた場合は、専門医紹介が勧められる。

6:
・非薬物療法は以下の通り:体重減少,健康的ダイエット,塩分制限,カリウムサプリ,構造的プログラムによる運動量増加。
・標準飲酒量は男性で1日2ドリンク以下,女性で1ドリンク以下(1ドリンク=ビール350cc程度:訳者注)。こうしたそぞれのライフスタイルの変化で収縮期4-5mmHg,拡張期2-4mmHg減少が得られる。しかし,低ナトリウムダイエット,飽和脂肪酸や全脂肪ダイエット,果物,野菜は収縮期で薬11mmHg減らす。

7.
・薬物療法による降圧は動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)リスクを減少させる。
・高齢者,冠動脈疾患,糖尿病,脂質異常症,喫煙者,慢性腎臓病では,ASCVDの高リスク患者なので,NNYは低い。
冠動脈疾患二次予防患の降圧薬による目標値は130-80mmHg以下
10年間の推定ACVDリスクが10%以下の一次予防患者では目標値は130-80以下
・冠動脈疾患なしで10年リスク10%未満なら目標値は140−90以下
・女性の高血圧有病率は50代まで男性よりも低いが,その後は高い,
・女性は(SPRINT試験などでも),妊娠中の管理を除くと,RCT(ランダム化比較試験)は乏しい。
・女性は男性に比べ,初回血圧目標値,ゴール,降圧薬の選択,併用薬についてもエビデンスに乏しい。
・明らかな高血圧,既知の冠動脈疾患リスク,10年ASCVDリスク10%以上の患者の目標値は130/80未満

8.フォローアップ:
・elevated BPあるいはステージ1高血圧の低リスク例では,3〜6カ月の非薬物療法ごとに血圧評価
・ステージ1高血圧およびASCVD高リスク(10年リスク10%以上)は非薬物療法および1ヶ月間の降圧薬(血圧測定反復下)で管理すべき。
・ステージ2高稀有圧はシャキ診断から1ヶ月以内にプライマリ・ケア医により評価されるべき。
・ステージ2では,非薬物療法と異なるタイプの2つの降圧薬を組み合わせ,1ヶ月後に再評価
・著明高血圧(160/100以上)では,注意深いモニタリングと適宜用量調節をおこない,迅速な評価と薬物療法が必要。

### 一次予防でややリスクの高い例では130/80以下を目指すと。従来より厳しめの設定となっているようですね。

$$$ そろそろ秋も終わりですね。でもまた春が来ます。
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by dobashinaika | 2017-11-24 01:04 | 循環器疾患その他 | Comments(0)

2017米国高血圧ガイドラインのまとめ(1):JACC誌より

ごぶさたしてすみません。
ACC/AHA/AAPA/ABC/ACPM/AGS/APhA/ASH/ASPC/NMA/PCNA(要するに米国)の高血圧ガイドラインが発表されています。

ACCのメールマガジンによるサマリーを訳しましたのでご参照ください。まずパート1の1−4(1−8のうちの)です。
2017 Guideline for High Blood Pressure in Adults

パート1;ジェネラルアプローチ,スクリーニング,フォローアップ

1.今回のガイドラインは2003年発表のJNC7のアップデート。高血圧関連心血管疾患リスク,ABPM(自由行動下血圧),HBPM(家庭血圧),降圧薬投与の基準,血圧のゴール,治療,管理改善のストラテジー,その他の重要事項に関する包括的なもの。

2.
・医療提供者は以下の分類をフォローすべき;
正常120/80mmHg未満
elevated 120-129/80未満
ステージ1高血圧 130-139または80-89mmHg
ステージ2高血圧 140以上または90mmHg以上
・分類の前に血圧は2機会以上で2回以上測定すること。
・職場の外での自己血圧測定により診断及び降圧薬の用量を確定すること。
・場所/方法に基づく血圧の基準は:職場/診療所 140/90mmHg。HBPM 135/85,日中ABPM 135/85,夜間ABPM 120/70,24時間ABPM 130/80
・治療前に収縮期>130かつ<160または拡張期>80かつ<100の成人では,白衣高血圧スクリーニングのため日中ABPMまたはHBPMのいずれかの測定が適切である,
・職場血圧がelevated(120-129/<80)で高血圧基準を満たさないときは,仮面高血圧診断のため,日中ABPMまたはHBPMが適切である。

3.
・高血圧のない45歳の成人において,今後40年の高血圧発症確率は93%(アフリカンアメリカン),92%(ヒスパニック),86%(白人),84%(中国人)である。
・2010年においては,高血圧は死亡や障害の残る人生の年月の主たる原因であった。
・高血圧は,女性とアフリカンアメリカンでは,白人よりも予後に大きく寄与する。
・概観すると,収縮期<115から180mmHg,拡張期<75から>105mmHgまでは血圧増加により心血管リスクは指数関数的に増加する。
・収縮期20,拡張期10の血圧上昇はそれぞれ死亡,脳卒中,心疾患,他の血管疾患を2倍に増加させる。
・30歳以上のひとでは,高い血圧は心血管疾患m狭心症,心筋梗塞,心不全,脳卒中,末梢血管疾患,腹部大動脈瘤のリスク増加に関連する。
・収縮期血圧は,一貫して心血管疾患増加に関連するが,拡張期血圧はそうではない。

4.
・高血圧合併心血管疾患患者のスクリーニングと管理で重要なことは以下:喫煙,糖尿病,脂質異常症,過体重,運動不足,不健康なダイエット,精神社会的ストレス,睡眠時無呼吸。
・一次性の高血圧における基本的は検査は;空腹時血糖,血算。血清脂質,基礎的な生化学検査,TSH,尿検査,心電図,可能であれば心エコー,尿酸,尿中アルブミン-クレアチニン比

### 今日のニャンコ。どこにいるかわかりますか?
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by dobashinaika | 2017-11-20 00:24 | 循環器疾患その他 | Comments(2)

定期健康診断での低リスク者への心電図検査は、追加検査や通院を増やすが心イベント率は改善しない:JAMAIM


臨床疑問;プライマリ・ケア外来での、心血管リスクのない人に対する定期的な健康診断において心電図はどの程度の頻度でとれば良いのか?心電図を施行した人としない人とでその後の検査やアウトカムに差があるのか?

方法:
・一般住民対象の後ろ向きコホート研究
・カナダ、オンタリオ州のヘルスケアデータベース
・少なくとも1回は定期健康診断を受けたことのある3,629,859人

結果:
1)定期健診後30日以内に心電図を施行した患者:21.5%

2)心電図施行患者の割合:プライマリーケア施設の1.8-76.1%、プライマリーケア医の1.1-94.9%

3)追加された心臓系の検査、受診、処置数:心電図施行者は非施行者の5.14倍(p<0.001)

4)死亡率 (0.19% vs. 0.16%)、関連入院(0.46% vs. 0.12%),、冠動脈再建術(0.20% vs. 0.04%)は心電図施行者、非施行者とも同様に低率

結論:健診後の心電図はコモンであり、プライマリーケア外来では、施行率に幅があった。ルーチン心電図は追加の心臓系検査や紹介を増やしたが、心イベントは非常に低かった。

### 一般健康診断や低リスク者へのスクリーニングのための定期心電図検査は、USPTFでもグレードD(推奨しない)となっていますね。

ACPのHigh-Value Care Adviceもあります。
その他のエビデンスも以前まとめたことがあります。

今回は、プライマリーケア外来で健康診断を行った際に、主治医が他の情報から心電図を施行した方が良いと判断した患者を対象としているようです。1%しか施行しない医師もいれば95%に施行する医師もいて、心電図スクリーニングに関する姿勢が医師によって相当異なることが示されています。

自治体で行われている特定健康診査では、心電図は自治体によってまちまちのようで、ちなみに心電図は全員施行されています。日本の研究はあるのかな。まあこの件に関しては欧米とそれほど差はないように思われますが。

$$$ 今日のニャンコ
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by dobashinaika | 2017-07-31 16:58 | 循環器疾患その他 | Comments(0)

初回失神で入院する患者の6人に1人が肺塞栓症:NEJM誌


Prevalence of Pulmonary Embolism among Patients Hospitalized for Syncope
N Engl J Med 2016; 375:1524-1531


疑問:肺塞栓症における失神の頻度やアウトカムは?

方法:
・対象:原因がわからない初回失神患者。イタリアの11病院
・Wellsスコアで検査前確率低値例+Dダイマー陰性例は除く
・他の全例でCTアンジオまたは換気血流シンチ施行

結果:
1)560例,平均76歳

2)330例58.9%は除外

3)肺塞栓症:残り230例中97例42.2%→全体コホート中17.3%(14.2〜20.5)

4)肺動脈主幹部または大葉動脈の塞栓像または両肺の25%以上の灌流欠如所見は61例

5)肺塞栓像:他の原因でも説明可能な355例中45例12.7%。説明不能例では25.4%

結論:肺塞栓症は入院を要する初回失神患者の約6人に1人に認められる。

### 循環器専門にやっていた時代には,失神を主訴とする肺塞栓の方をよく経験しました。一時的に肺動脈の主幹部が詰まって右心拍手が不能となるためと思っていましたが,主幹部塞栓を認めない例もあるようで,診断の限界かもしれません。

ESCの2014年ガイドラインでは肺塞栓症の6%に失神が認められるとされています。

それにしても原因不明と思われる失神患者の6人に1人が肺塞栓とは高率です。対象設定にもよるのでしょうが、やや多い感じです。脳疾患,不整脈,NMSなどが強く疑われない場合は,常に念頭に置く必要はありますね

肺塞栓症についてのブログはこちら
エコノミークラス症候群の診断http://dobashin.exblog.jp/22731483/
肺塞栓診断ベストプラクティスhttp://dobashin.exblog.jp/21698954/
Wells スコアhttp://dobashin.exblog.jp/21629919/
上記ESCガイドラインも復習におすすめ

$$$ 早朝,当院前の通りを一目散で走る若者たち(学ラン下駄履きの学生含む)。S第一高校の強歩大会とのこと。コースを間違ったようです。若さは素晴らしいがそのときはそれに気づかない,それこそが若さ。
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by dobashinaika | 2016-10-20 18:38 | 循環器疾患その他 | Comments(0)

NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)と心血管リスクに関する8つのポイント:JACC誌からのまとめ

Balancing Risks and Benefits: Cardiovascular Safety of NSAIDs
Schmidt M
JACC誌に,NSAIDsの心血管系に対する安全性について総説がでています。
ACCメルマガで例によってまとめてくれていますので紹介します。

元論文は以下です。
Cardiovascular safety of non-aspirin non-steroidal anti-inflammatory drugs: review and position paper by the working group for Cardiovascular Pharmacotherapy of the European Society of Cardiology
Eur Heart J 2016;37:1015-1023


1.cyclooxygenase (COX)には少なくとも2つのアイソフォーム:COX-1,COX-2がある。両者とも不飽和脂肪酸のプロスタグランジンH2への変換を促進する。PGH2はさらに組織特異的イソメラーゼによって生物活性化脂肪(prostanoids)へと変換される。
COX-1はほとんどの組織に常に存在する。また正常な細胞レベルでの変化,例えば血小板凝集や血栓形成を制御する。
C0X-2はほとんどの組織で同定できず,炎症性サイトカインによる誘導の反応として出現する。
血小板はCOX-1のみを含み,アラキドン酸をトロンボキサンA2に変換する。TxA2は血小板凝集の前駆物質でありまた血管収縮タンパクである。

2.内因性COX-2は胃粘膜細胞でのプロスタグランジン生成を調節し,COX-2の抑制は消化管毒性リスクを増加させる。同時にCOX-2選択性NSADISは消化管リスクを増加させることなく抗炎症作用,鎮痛作用,解熱作用を持つことが予想される。

3.Coxibs(選択的COX-2阻害薬)の認可前でさえ,心血管リスクの増加が危惧されていた。選択的COX-2阻害薬が,血管内皮表面のプロトロンビンバランスを変換させ,血栓形成を促進するからである。このCOX-2阻害作用は血管のプロスタサイクリンに由来し,トロンボキサンA2の生成を阻害するCOX-1には影響しない。

4.2004年のAPPROVe試験は,ロフェコキシブの市場からの撤退を促した。この試験は同薬が血栓イベントを増加させることを示した。ACP試験でもセレコキシブの同様のリスクが示されている。

5.Coxibsと従来からのNSAIDsを比較した138のRCTのメタ解析では,coxibsが心筋梗塞で1.86と高い心血管リスクを示した。(全体のハザード比1.42,ジクロフェナク1.63,イブプロフェン1.51)。一方。高用量ナプロキセンは関係なかった。

6.ナプロキセンの心血管リスクは最も低い。これは心筋梗塞や心不全患者でも同様である。ジクロフェナクのリスクが他のcoxibsと同等であるのも明らかとなっている。

7.NSAID使用と心房細動増加との関連も指摘されている。NSAID治療開始後の心房細動高リスク患者は心不全や慢性腎臓病を多く持つ。

8.リスクとベネフィットのバランス:QOL改善のためには重大な心血管イベントの僅かなリスクは受け入れる患者も存在する。

まとめの図
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### どんなNSAIDsであっても心血管リスクはある,これが正解と思われます,高用量,長期,高リスク患者は特に注意しなければならないことを再確認。

$$$ 医学部構内にあった変な木。
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by dobashinaika | 2016-07-29 21:50 | 循環器疾患その他 | Comments(0)

テレビの長時間視聴は肺塞栓による死亡の大きなリスク因子:日本人86,000人対象のコホート研究(Circ誌)

Watching Television and Risk of Mortality From Pulmonary Embolism Among Japanese Men and Women The JACC Study (Japan Collaborative Cohort)
Circulation. 2016;1
34:355-357, published online before print July 25, 2016

目的:日本人における,テレビ視聴時間と肺塞栓症による死亡リスクとの関係を明らかにする

方法:
・The JACC Study (Japan Collaborative Cohort):1988年〜1990年,日本の45の地域
・110,585人登録,40〜79歳
・がん,脳卒中,心筋梗塞,肺塞栓症の既往患者を除く86,024対象
・テレビ視聴時間を含む患者背景は自己申告アンケートによる
・1日あたりテレビ視聴時間によって3カテゴリー(2.5時間未満,2.5〜4.9時間,5時間以上)に分類
・2009年までの肺塞栓による死亡率を死亡診断書から解析

結果:
1)平均追跡期間19.2年

2)死亡数59人

3)テレビ視聴時間と死亡率は正の相関あり
 死亡率(2.5時間未満試聴に比べ):2.5〜4.9時間1.7倍(95%CI;0.9〜3.0),5時間以上2.5倍(1.2−5.3)
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4)5時間以上視聴者の肺塞栓死亡率:10万人当たり8.2人

5)視聴時間が2時間増加するごとに死亡率は1.4(1.0〜1.8)倍

6)高齢者ほど多い

7)開始5年以内の死亡を除いても結果は同じ

結論:この前向き試験でテレビを長く見ることが肺塞栓による死亡の大きなリスク因子となることが示唆された

### 日本の名古屋大と大阪大からの情報発信です。これまでも家庭内での長時間の座位が肺塞栓に関連ありとするコホート研究はいくつかあるようです。今回は日本人で,それもテレビの視聴時間に関連付けている点が注目されます。

メカニズムとしてはやはり長時間座位による下肢静脈のうっ血と思われますが,肥満,高血圧,糖尿病,喫煙などとの関連は証明されなかったとのことです。

これからは長時間パソコンあるいはゲーム時間と肺塞栓との関連などがテーマになるかもしれません。(既にゲーム時間と学校の成績とかの関連論文が日本人からでているようですが,論文としての質やエビデンスレベルは低いですね)

その点ポケモンGoの所要時間肺塞栓とは少なくとも相関はしないでしょうね。

$$$ あ,ミュウツーかな。。。。とは思いませんね。きょうのニャンコです。
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by dobashinaika | 2016-07-28 21:17 | 循環器疾患その他 | Comments(0)

米国の主要心臓病学会による心不全薬物療法に関するアップデート10項目

米国の主要心臓病学会が心不全に薬物療法に関する最近のアップデートを報告しています。
ACC (American College of Cardiology)のメルマガに、それを10項目にまとめてくれていますので、復習します。

2016 ACC/AHA/HFSA Focused Update on New Pharmacological Therapy for Heart Failure: An Update of the 2013 ACCF/AHA Guideline for the Management of Heart Failure
J Am Coll Cardiol. 2016;():. doi:10.1016/j.jacc.2016.05.011


【心不全薬物療法アップデート】
1.駆出分画の低下した心不全(HErEF):ACE阻害楽(推奨度クラス I、レベルA)、アンジオテンシン受容体阻害薬 (ARB) (クラスI, レベルA)、アンジオテンシン受容体-ネプリライシン阻害薬(クラスI,ARNI)(レベルB-R),それらにベータ遮断薬、アルドステロン拮抗薬の追加;

2.ARNIはPARADIG試験で心血管死、入院の複合エンドポイントを20%減少。サブ解析でも同様

3.HFrEF (NYHA II/III)で、既存のACEi,ARBで血圧良好な例ではARNIへの切り替え(クラスI)

4.ARNIには低血圧、腎機能低下、血管浮腫(低頻度)がある。将来、適切な容量、忍容性、特に血圧、併用薬、血管浮腫に対するより詳細な知見が提供されるだろう

5.現在米国では3用量のARNIは認められているが、PADIGM試験にないドーズも含まれている

6. 以前あるいは現在症状のあるHFrEFに対する合併症、予後改善目的のACE阻害薬(クラスI、レベルA)、特にARNI不適切例で強く勧める

7. 6の患者でACE阻害薬で咳、血管浮腫など忍容性が低下した場合のARB

8.ARNIは、ACE阻害薬との併用またはACE阻害薬後36時間以内に投与してはいけない(クラスIII、レベルB-R)

9. ARNIは、血管浮腫の既往患者に投与してはいけない(クラスIII、レベルC-EO)

10.NYHAII-III(EF35%以下)のHFrEF、ベータ遮断薬で安静時70回/分以上の人へのイバブラジン(クラスII、レベルB-R)

### まずはACE阻害薬+β遮断薬,それにアルドステロン阻害薬追加。ACEiで咳などが出ればARBというのを,まず再確認です。

それにしても勉強のためになると思って読んでいったら、日本の現場ではまだ使われていないものばかりの情報でした。ARNIはこのレポートで見るとかなり有望のようですね。
今後こうした薬が出てくるのでしょう。
これからもACEiとベータではダメなのか。よくよく考えたいです。

$$$ どこかにまたネコが。。
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by dobashinaika | 2016-05-28 10:46 | 循環器疾患その他 | Comments(0)

インフルエンザは心血管死に影響あり:JAMAC誌

最近,めっきり心房細動関連論文も落ち着きを見せ,これはというのも少なくなりました。段々と,心房細動にかぎらず,循環器疾患をはじめ,プライマリ・ケア医の日常臨床に役立つような論文をぼちぼち取り上げていこうかと思っています。

Seasonal Influenza Infections and Cardiovascular Disease Mortality
JAMA Cardiol. Published online May 04, 2016. doi:10.1001/jamacardio.2016.0433


インフルエンザにかかることが心血管死と関係あるかどうかについての論文を見つけました。

ニューヨークの救急病院を2006年から2012年まで受診した人で,インフルエンザ罹患中に心血管死に至った人を調べています。

65歳以上では,インフルエンザ流行中における心血管死の83%73363人のうち,インフルエンザにかかる人が多い年ほど,はじめの21日間の間に心血管病で亡くなるひとが多いという関係が認められました。(死亡率は2.3〜6.3%の間。虚血性心疾患は2.4〜6.9%の間)

著者らは,インフルエンザにかかることと心血管病で死亡することとに関連があり,インフルエンザが心血管系に何らかの影響をおよぼすことが示されたとしています。

### 65歳以上で心血管病リスクの高い人,例えば高血圧,糖尿病,脂質異常症,喫煙者などではインフルの季節に感冒症状が出たら,早めにかかりつけの医療機関を受診するよう日頃から指導する。また医療者としては,ノイラミニダーゼ阻害薬も考慮した十分な治療とケアに心がけることが大切と感じます。


$$$ 近くの神社の境内。桜の木もすっかり降り注ぐ青葉にみを変えています。
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by dobashinaika | 2016-05-17 22:01 | 循環器疾患その他 | Comments(0)

エコノミークラス症候群(深部静脈血栓症/肺塞栓症)の予防についての患者さん向け説明:JAMA誌

同じく,以前ブログでご紹介した,JAMA誌の「いわゆるエコノミークラス症候群(深部静脈血栓症/肺塞栓症)の予防についての患者さん向け説明」も再掲いたします。
http://dobashin.exblog.jp/21403207/

<いわゆるエコノミークラス症候群(深部静脈血栓症/肺塞栓症)とは?>
* 深部静脈血栓症は足の深いところの静脈に血栓(血液の塊)ができ、心臓に血液が戻る途中で流れが滞る病気です。

* この病気が起こると、足が腫れ、ふくらはぎが痛くなります。ただし症状がないこともしばしばあります。

* 肺塞栓症は、血栓が大きくなり足の血管から離れて、右心房、右心室を通り、肺に行く血管(肺動脈)の大小の枝に詰まる病気です。

* この病気は、胸の痛み、呼吸困難、血痰などをきたします。

* 重症になると、ショックや死に至ります。

* 長時間の飛行機旅行や、短時間の飛行機旅行の連続が、深部静脈血栓症や肺塞栓症に関係します。

* あまり足を動かすことなく、長時間膝を曲げていると、血液の流れが低下し、血栓のリスクが増えます。

* 最近外科手術を受けたひと、避妊薬を飲んでいるひと、ホルモン療法を受けているひと、妊娠、がん、心臓病、高齢者などではこの病気のリスクが増えます。

* 先天的な遺伝的因子もこの病気に関係します。

<予防するには?>
* よくフィットしたストッキング(弾性ストッキング)は有効

* 以前血栓症を起こしたひとのような高リスクの人には、低分子ヘパリンがプライマリ・ケア医から処方され、飛行機搭乗前に自分で皮膚の下に注射することができる(日本の場合は不可)

* 頻繁に立ち上がったり、飛行機の通路を歩いたりすることは血液の流れを増やし、血栓を減らすかもしれない。ただしいつも出来るとは限らないし安全とは言い切れない。

* 簡単な予防策としては、座りながら頻繁に「足をポンプのように動かす」ことである。または、つま先を挙げ、そのつぎにかかとを上げて、ふくらはぎの静脈の血流を増やすことができる。これにより血栓を減らすことができる
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左:飛行機内での足の運動;つま先を挙げ、次にかかとを上げる
中:座っている時:ふくらはぎはぎの筋肉を通る静脈の中で、血液の流れは遅くなり、滞る
右:足のポンプ体操:筋肉の収縮(伸び縮み)が静脈にあるバルブ(弁)を介して、血液を押し返す

なるほど「足をポンプと思って動かす」というのは参考になります。
高リスクの方は,低分子ヘパリン皮下注射が海外では認められているようです。日本でもできないのでしょうか?
by dobashinaika | 2016-04-19 21:56 | 循環器疾患その他 | Comments(0)

急性肺塞栓症(いわゆるエコノミークラス症候群)の診断基準

急性肺塞栓症(ロングフライト症候群,いわゆるエコノミークラス症候群)の診断基準について,以前にブログで取り上げましたが改めてご紹介いたします。

Pulmonary Embolism Rule-Out クライテリア(PERC)は次の通り
http://dobashin.exblog.jp/21698954/

1)50歳未満
2)心拍数100未満
3)酸素飽和度94%未満95%以上(2016年1月6日訂正)
4)両側下腿浮腫なし
5)血痰なし
6)4週以内の手術/外傷なし
7)静脈血栓塞栓症の既往なし
8)エストロゲン使用無し

(全部当てはまれば検査前確率は1%未満)

古典的なWellsスコアは次の通り
http://dobashin.exblog.jp/21629919/

1)DVT(深部静脈血栓症)の症状・身体所見(3点)
2)肺塞栓以外の可能性低い(3点)
3)心拍数>100(1.5点)
4)3日以上の臥床または4週以内の手術歴(1.5点)
5)肺塞栓またはDVTの既往(1.5点)
6)喀血(1点)
7)悪性腫瘍(1点)

(Simpledは7点以上で高確率,2〜6点で中等度,1点以下で低確率とする評価法で,Modifiedは5点以上で「らしい」4点以下で「らしくない」とする)

高齢,長期臥床,女性ホルモン剤使用などは注意が必要です。

### 早朝の悠然たる散歩ネコ
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by dobashinaika | 2016-04-19 21:42 | 循環器疾患その他 | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


by dobashinaika

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