カテゴリ:循環器疾患その他( 48 )

初回失神で入院する患者の6人に1人が肺塞栓症:NEJM誌


Prevalence of Pulmonary Embolism among Patients Hospitalized for Syncope
N Engl J Med 2016; 375:1524-1531


疑問:肺塞栓症における失神の頻度やアウトカムは?

方法:
・対象:原因がわからない初回失神患者。イタリアの11病院
・Wellsスコアで検査前確率低値例+Dダイマー陰性例は除く
・他の全例でCTアンジオまたは換気血流シンチ施行

結果:
1)560例,平均76歳

2)330例58.9%は除外

3)肺塞栓症:残り230例中97例42.2%→全体コホート中17.3%(14.2〜20.5)

4)肺動脈主幹部または大葉動脈の塞栓像または両肺の25%以上の灌流欠如所見は61例

5)肺塞栓像:他の原因でも説明可能な355例中45例12.7%。説明不能例では25.4%

結論:肺塞栓症は入院を要する初回失神患者の約6人に1人に認められる。

### 循環器専門にやっていた時代には,失神を主訴とする肺塞栓の方をよく経験しました。一時的に肺動脈の主幹部が詰まって右心拍手が不能となるためと思っていましたが,主幹部塞栓を認めない例もあるようで,診断の限界かもしれません。

ESCの2014年ガイドラインでは肺塞栓症の6%に失神が認められるとされています。

それにしても原因不明と思われる失神患者の6人に1人が肺塞栓とは高率です。対象設定にもよるのでしょうが、やや多い感じです。脳疾患,不整脈,NMSなどが強く疑われない場合は,常に念頭に置く必要はありますね

肺塞栓症についてのブログはこちら
エコノミークラス症候群の診断http://dobashin.exblog.jp/22731483/
肺塞栓診断ベストプラクティスhttp://dobashin.exblog.jp/21698954/
Wells スコアhttp://dobashin.exblog.jp/21629919/
上記ESCガイドラインも復習におすすめ

$$$ 早朝,当院前の通りを一目散で走る若者たち(学ラン下駄履きの学生含む)。S第一高校の強歩大会とのこと。コースを間違ったようです。若さは素晴らしいがそのときはそれに気づかない,それこそが若さ。
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by dobashinaika | 2016-10-20 18:38 | 循環器疾患その他 | Comments(0)

NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)と心血管リスクに関する8つのポイント:JACC誌からのまとめ

Balancing Risks and Benefits: Cardiovascular Safety of NSAIDs
Schmidt M
JACC誌に,NSAIDsの心血管系に対する安全性について総説がでています。
ACCメルマガで例によってまとめてくれていますので紹介します。

元論文は以下です。
Cardiovascular safety of non-aspirin non-steroidal anti-inflammatory drugs: review and position paper by the working group for Cardiovascular Pharmacotherapy of the European Society of Cardiology
Eur Heart J 2016;37:1015-1023


1.cyclooxygenase (COX)には少なくとも2つのアイソフォーム:COX-1,COX-2がある。両者とも不飽和脂肪酸のプロスタグランジンH2への変換を促進する。PGH2はさらに組織特異的イソメラーゼによって生物活性化脂肪(prostanoids)へと変換される。
COX-1はほとんどの組織に常に存在する。また正常な細胞レベルでの変化,例えば血小板凝集や血栓形成を制御する。
C0X-2はほとんどの組織で同定できず,炎症性サイトカインによる誘導の反応として出現する。
血小板はCOX-1のみを含み,アラキドン酸をトロンボキサンA2に変換する。TxA2は血小板凝集の前駆物質でありまた血管収縮タンパクである。

2.内因性COX-2は胃粘膜細胞でのプロスタグランジン生成を調節し,COX-2の抑制は消化管毒性リスクを増加させる。同時にCOX-2選択性NSADISは消化管リスクを増加させることなく抗炎症作用,鎮痛作用,解熱作用を持つことが予想される。

3.Coxibs(選択的COX-2阻害薬)の認可前でさえ,心血管リスクの増加が危惧されていた。選択的COX-2阻害薬が,血管内皮表面のプロトロンビンバランスを変換させ,血栓形成を促進するからである。このCOX-2阻害作用は血管のプロスタサイクリンに由来し,トロンボキサンA2の生成を阻害するCOX-1には影響しない。

4.2004年のAPPROVe試験は,ロフェコキシブの市場からの撤退を促した。この試験は同薬が血栓イベントを増加させることを示した。ACP試験でもセレコキシブの同様のリスクが示されている。

5.Coxibsと従来からのNSAIDsを比較した138のRCTのメタ解析では,coxibsが心筋梗塞で1.86と高い心血管リスクを示した。(全体のハザード比1.42,ジクロフェナク1.63,イブプロフェン1.51)。一方。高用量ナプロキセンは関係なかった。

6.ナプロキセンの心血管リスクは最も低い。これは心筋梗塞や心不全患者でも同様である。ジクロフェナクのリスクが他のcoxibsと同等であるのも明らかとなっている。

7.NSAID使用と心房細動増加との関連も指摘されている。NSAID治療開始後の心房細動高リスク患者は心不全や慢性腎臓病を多く持つ。

8.リスクとベネフィットのバランス:QOL改善のためには重大な心血管イベントの僅かなリスクは受け入れる患者も存在する。

まとめの図
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### どんなNSAIDsであっても心血管リスクはある,これが正解と思われます,高用量,長期,高リスク患者は特に注意しなければならないことを再確認。

$$$ 医学部構内にあった変な木。
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by dobashinaika | 2016-07-29 21:50 | 循環器疾患その他 | Comments(0)

テレビの長時間視聴は肺塞栓による死亡の大きなリスク因子:日本人86,000人対象のコホート研究(Circ誌)

Watching Television and Risk of Mortality From Pulmonary Embolism Among Japanese Men and Women The JACC Study (Japan Collaborative Cohort)
Circulation. 2016;1
34:355-357, published online before print July 25, 2016

目的:日本人における,テレビ視聴時間と肺塞栓症による死亡リスクとの関係を明らかにする

方法:
・The JACC Study (Japan Collaborative Cohort):1988年〜1990年,日本の45の地域
・110,585人登録,40〜79歳
・がん,脳卒中,心筋梗塞,肺塞栓症の既往患者を除く86,024対象
・テレビ視聴時間を含む患者背景は自己申告アンケートによる
・1日あたりテレビ視聴時間によって3カテゴリー(2.5時間未満,2.5〜4.9時間,5時間以上)に分類
・2009年までの肺塞栓による死亡率を死亡診断書から解析

結果:
1)平均追跡期間19.2年

2)死亡数59人

3)テレビ視聴時間と死亡率は正の相関あり
 死亡率(2.5時間未満試聴に比べ):2.5〜4.9時間1.7倍(95%CI;0.9〜3.0),5時間以上2.5倍(1.2−5.3)
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4)5時間以上視聴者の肺塞栓死亡率:10万人当たり8.2人

5)視聴時間が2時間増加するごとに死亡率は1.4(1.0〜1.8)倍

6)高齢者ほど多い

7)開始5年以内の死亡を除いても結果は同じ

結論:この前向き試験でテレビを長く見ることが肺塞栓による死亡の大きなリスク因子となることが示唆された

### 日本の名古屋大と大阪大からの情報発信です。これまでも家庭内での長時間の座位が肺塞栓に関連ありとするコホート研究はいくつかあるようです。今回は日本人で,それもテレビの視聴時間に関連付けている点が注目されます。

メカニズムとしてはやはり長時間座位による下肢静脈のうっ血と思われますが,肥満,高血圧,糖尿病,喫煙などとの関連は証明されなかったとのことです。

これからは長時間パソコンあるいはゲーム時間と肺塞栓との関連などがテーマになるかもしれません。(既にゲーム時間と学校の成績とかの関連論文が日本人からでているようですが,論文としての質やエビデンスレベルは低いですね)

その点ポケモンGoの所要時間肺塞栓とは少なくとも相関はしないでしょうね。

$$$ あ,ミュウツーかな。。。。とは思いませんね。きょうのニャンコです。
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by dobashinaika | 2016-07-28 21:17 | 循環器疾患その他 | Comments(0)

米国の主要心臓病学会による心不全薬物療法に関するアップデート10項目

米国の主要心臓病学会が心不全に薬物療法に関する最近のアップデートを報告しています。
ACC (American College of Cardiology)のメルマガに、それを10項目にまとめてくれていますので、復習します。

2016 ACC/AHA/HFSA Focused Update on New Pharmacological Therapy for Heart Failure: An Update of the 2013 ACCF/AHA Guideline for the Management of Heart Failure
J Am Coll Cardiol. 2016;():. doi:10.1016/j.jacc.2016.05.011


【心不全薬物療法アップデート】
1.駆出分画の低下した心不全(HErEF):ACE阻害楽(推奨度クラス I、レベルA)、アンジオテンシン受容体阻害薬 (ARB) (クラスI, レベルA)、アンジオテンシン受容体-ネプリライシン阻害薬(クラスI,ARNI)(レベルB-R),それらにベータ遮断薬、アルドステロン拮抗薬の追加;

2.ARNIはPARADIG試験で心血管死、入院の複合エンドポイントを20%減少。サブ解析でも同様

3.HFrEF (NYHA II/III)で、既存のACEi,ARBで血圧良好な例ではARNIへの切り替え(クラスI)

4.ARNIには低血圧、腎機能低下、血管浮腫(低頻度)がある。将来、適切な容量、忍容性、特に血圧、併用薬、血管浮腫に対するより詳細な知見が提供されるだろう

5.現在米国では3用量のARNIは認められているが、PADIGM試験にないドーズも含まれている

6. 以前あるいは現在症状のあるHFrEFに対する合併症、予後改善目的のACE阻害薬(クラスI、レベルA)、特にARNI不適切例で強く勧める

7. 6の患者でACE阻害薬で咳、血管浮腫など忍容性が低下した場合のARB

8.ARNIは、ACE阻害薬との併用またはACE阻害薬後36時間以内に投与してはいけない(クラスIII、レベルB-R)

9. ARNIは、血管浮腫の既往患者に投与してはいけない(クラスIII、レベルC-EO)

10.NYHAII-III(EF35%以下)のHFrEF、ベータ遮断薬で安静時70回/分以上の人へのイバブラジン(クラスII、レベルB-R)

### まずはACE阻害薬+β遮断薬,それにアルドステロン阻害薬追加。ACEiで咳などが出ればARBというのを,まず再確認です。

それにしても勉強のためになると思って読んでいったら、日本の現場ではまだ使われていないものばかりの情報でした。ARNIはこのレポートで見るとかなり有望のようですね。
今後こうした薬が出てくるのでしょう。
これからもACEiとベータではダメなのか。よくよく考えたいです。

$$$ どこかにまたネコが。。
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by dobashinaika | 2016-05-28 10:46 | 循環器疾患その他 | Comments(0)

インフルエンザは心血管死に影響あり:JAMAC誌

最近,めっきり心房細動関連論文も落ち着きを見せ,これはというのも少なくなりました。段々と,心房細動にかぎらず,循環器疾患をはじめ,プライマリ・ケア医の日常臨床に役立つような論文をぼちぼち取り上げていこうかと思っています。

Seasonal Influenza Infections and Cardiovascular Disease Mortality
JAMA Cardiol. Published online May 04, 2016. doi:10.1001/jamacardio.2016.0433


インフルエンザにかかることが心血管死と関係あるかどうかについての論文を見つけました。

ニューヨークの救急病院を2006年から2012年まで受診した人で,インフルエンザ罹患中に心血管死に至った人を調べています。

65歳以上では,インフルエンザ流行中における心血管死の83%73363人のうち,インフルエンザにかかる人が多い年ほど,はじめの21日間の間に心血管病で亡くなるひとが多いという関係が認められました。(死亡率は2.3〜6.3%の間。虚血性心疾患は2.4〜6.9%の間)

著者らは,インフルエンザにかかることと心血管病で死亡することとに関連があり,インフルエンザが心血管系に何らかの影響をおよぼすことが示されたとしています。

### 65歳以上で心血管病リスクの高い人,例えば高血圧,糖尿病,脂質異常症,喫煙者などではインフルの季節に感冒症状が出たら,早めにかかりつけの医療機関を受診するよう日頃から指導する。また医療者としては,ノイラミニダーゼ阻害薬も考慮した十分な治療とケアに心がけることが大切と感じます。


$$$ 近くの神社の境内。桜の木もすっかり降り注ぐ青葉にみを変えています。
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by dobashinaika | 2016-05-17 22:01 | 循環器疾患その他 | Comments(0)

エコノミークラス症候群(深部静脈血栓症/肺塞栓症)の予防についての患者さん向け説明:JAMA誌

同じく,以前ブログでご紹介した,JAMA誌の「いわゆるエコノミークラス症候群(深部静脈血栓症/肺塞栓症)の予防についての患者さん向け説明」も再掲いたします。
http://dobashin.exblog.jp/21403207/

<いわゆるエコノミークラス症候群(深部静脈血栓症/肺塞栓症)とは?>
* 深部静脈血栓症は足の深いところの静脈に血栓(血液の塊)ができ、心臓に血液が戻る途中で流れが滞る病気です。

* この病気が起こると、足が腫れ、ふくらはぎが痛くなります。ただし症状がないこともしばしばあります。

* 肺塞栓症は、血栓が大きくなり足の血管から離れて、右心房、右心室を通り、肺に行く血管(肺動脈)の大小の枝に詰まる病気です。

* この病気は、胸の痛み、呼吸困難、血痰などをきたします。

* 重症になると、ショックや死に至ります。

* 長時間の飛行機旅行や、短時間の飛行機旅行の連続が、深部静脈血栓症や肺塞栓症に関係します。

* あまり足を動かすことなく、長時間膝を曲げていると、血液の流れが低下し、血栓のリスクが増えます。

* 最近外科手術を受けたひと、避妊薬を飲んでいるひと、ホルモン療法を受けているひと、妊娠、がん、心臓病、高齢者などではこの病気のリスクが増えます。

* 先天的な遺伝的因子もこの病気に関係します。

<予防するには?>
* よくフィットしたストッキング(弾性ストッキング)は有効

* 以前血栓症を起こしたひとのような高リスクの人には、低分子ヘパリンがプライマリ・ケア医から処方され、飛行機搭乗前に自分で皮膚の下に注射することができる(日本の場合は不可)

* 頻繁に立ち上がったり、飛行機の通路を歩いたりすることは血液の流れを増やし、血栓を減らすかもしれない。ただしいつも出来るとは限らないし安全とは言い切れない。

* 簡単な予防策としては、座りながら頻繁に「足をポンプのように動かす」ことである。または、つま先を挙げ、そのつぎにかかとを上げて、ふくらはぎの静脈の血流を増やすことができる。これにより血栓を減らすことができる
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左:飛行機内での足の運動;つま先を挙げ、次にかかとを上げる
中:座っている時:ふくらはぎはぎの筋肉を通る静脈の中で、血液の流れは遅くなり、滞る
右:足のポンプ体操:筋肉の収縮(伸び縮み)が静脈にあるバルブ(弁)を介して、血液を押し返す

なるほど「足をポンプと思って動かす」というのは参考になります。
高リスクの方は,低分子ヘパリン皮下注射が海外では認められているようです。日本でもできないのでしょうか?
by dobashinaika | 2016-04-19 21:56 | 循環器疾患その他 | Comments(0)

急性肺塞栓症(いわゆるエコノミークラス症候群)の診断基準

急性肺塞栓症(ロングフライト症候群,いわゆるエコノミークラス症候群)の診断基準について,以前にブログで取り上げましたが改めてご紹介いたします。

Pulmonary Embolism Rule-Out クライテリア(PERC)は次の通り
http://dobashin.exblog.jp/21698954/

1)50歳未満
2)心拍数100未満
3)酸素飽和度94%未満95%以上(2016年1月6日訂正)
4)両側下腿浮腫なし
5)血痰なし
6)4週以内の手術/外傷なし
7)静脈血栓塞栓症の既往なし
8)エストロゲン使用無し

(全部当てはまれば検査前確率は1%未満)

古典的なWellsスコアは次の通り
http://dobashin.exblog.jp/21629919/

1)DVT(深部静脈血栓症)の症状・身体所見(3点)
2)肺塞栓以外の可能性低い(3点)
3)心拍数>100(1.5点)
4)3日以上の臥床または4週以内の手術歴(1.5点)
5)肺塞栓またはDVTの既往(1.5点)
6)喀血(1点)
7)悪性腫瘍(1点)

(Simpledは7点以上で高確率,2〜6点で中等度,1点以下で低確率とする評価法で,Modifiedは5点以上で「らしい」4点以下で「らしくない」とする)

高齢,長期臥床,女性ホルモン剤使用などは注意が必要です。

### 早朝の悠然たる散歩ネコ
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by dobashinaika | 2016-04-19 21:42 | 循環器疾患その他 | Comments(0)

ケアネット連載「生活のシンプルセブンは心臓病・認知症等のリスク低下に関連」:更新いたしました

ケアネット連載 〜Dr. 小田倉の心房細動な日々~ダイジェスト版~更新いたしました。

今回は「第54回 生活のシンプルセブンは心不全・狭心症・脳卒中・認知症等のリスク低下に関連」です。
(要無料登録)
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シンプルセブンとは喫煙,喫煙,運動など当たり前とも思える7つの生活習慣ですが,それをスコア(点数)化して心臓業や認知症のリスクを測定するというものです。

参考にしてください

$$$ 昨日の仙台。なんと午後に雪が!舞いました(写真では見えないかな)。土曜日は半袖で歩けたというのに。
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by dobashinaika | 2016-04-12 21:32 | 循環器疾患その他 | Comments(0)

失神で救急受診したことのある人の自動車事故はない人の2倍:デンマークのコホート研究:JAMAIM誌

Left Ventricular Endocardial Pacing for Heart Failure
JAMA Intern Med. Published online February 29, 2016.


疑問:失神を持つ患者は一般に比べて自動車事故が多いのか?

方法:
・18歳以上のデンマークの全国登録データベースのリンク
・4,265,301人一般住民のうち、救急外来で初めて失神と診断された41,309人

結果:
1)平均66歳、35%に心血管疾患の既往

2)失神既往者の自動車事故:1791人、追跡期間2.0年

3)失神既往者の自動車事故は既往のない人の2倍:20.6/1000人年vs. 12.1.1000人年

4)各種補正後の失神既往患者の自動車事故は83%増(対既往者)

5)5年間リスク:失神既往者8.2% vs. 非既往者5.1%

6)追跡期間を通じてリスク増は変わらず

結論:失神の入院歴のある患者は自動車事故のリスクが高い。この研究は、失神を運転の適正評価の1つとして考慮することを示唆される。

### 心血管疾患と自動車運転。昨今話題になっていますが、この論文は失神で入院したことのある人は、失神したことのない人に比べ2倍くらい自動車事故のリスクが多いと言う趣旨です。

日本循環器学会の「失神の診断・治療ガイドライン」では、自家用運転者では「血管迷走神経性失神・頸動脈洞症候群・状況失神のいずれも軽症な場合には運転は制限しないが,重症者では症状のコントロールがつくまで制限する」とされており、職業運転者については、「危険を伴わない軽症の場合には制限しないが,重症の場合には治療の有効性が認められるまでは制限する.」と記載されています、米国では多くの州で、法律で6ヶ月間の運転禁止されているとのことです。
http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2012_inoue_d.pdf

この論文では、失神の原因に関するの言及がないようですが、やはり心室頻拍、洞不全症候群、高度房室ブロックなどの重症不整脈がメインと思われ、背景に心筋虚血、肺塞栓などがあれば失神リスクは高まることが予想されます。単なる迷走神経失神だけでも運転中に失神を繰り返すのか、データが欲しいところでした。

なお同じく上記ガイドラインによれば、急性大動脈解離による失神は9〜13%みられ、その92%がStanford A型(上行大動脈を含む)となっています。原因は心タンポナーデのほか、様々あがっています。

$$$仙台でもようやく梅です。
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by dobashinaika | 2016-03-04 08:40 | 循環器疾患その他 | Comments(0)

ケアネット「複数の合併症を持つ高齢者にガイドライン通り処方しても効果のある薬剤とは」更新いたしました

だいぶご紹介が遅れましたがケアネット連載 〜Dr. 小田倉の心房細動な日々~ダイジェスト版~更新いたしました。

今回は「第49回 複数の合併症を持つ高齢者にガイドライン通り処方しても効果のある薬剤とは」です。

ほとんどのガイドラインは単一疾患またはその類似疾患についてのエビデンスにのみに基づいて作成されていますが,複数の合併症,いわゆるmultimorbidityを抱えるひとがガイドライン通りに処方された場合のアウトカムに関する検討はなされていないのが実情と思われます。

その辺をあつかった研究で興味深いです。

http://www.carenet.com/series/afjournal/cg001089_0049.html?keiro=index
(要無料登録)
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by dobashinaika | 2016-01-28 21:00 | 循環器疾患その他 | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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