カテゴリ:心房細動:アブレーション( 83 )

カテーテルアブレーション時,ダビガトラン継続下での出血はワルファリンに比べて少ない:NEJM誌


疑問:NOACを中止することなくアブレーションを施行できるか?

方法:
・ランダム化、オープンラベル、多施設、解析者は盲検化
・発作性心房細動あるいは持続心房細動のカテーテルアブレーション時、ダビガトラン150mgx2 vs.ワルファリン(INR2-3)
・抗凝固薬4-8週中止せず継続後アブレーション施行。アブ後8週間抗凝固薬施行
・一次エンドポイント:アブレーション中または8週後までの大出血
・二次エンドポイント:血栓塞栓症、他の出血イベント

結果:
1)登録704人、104施設、635人施行、ベースラインリスク同等

2)大出血:ダビガトラン5人(1.6%)vs. ワルファリン22人(6.9%):絶対リスク差-5.3(95%CI -8.4–2.2; P<0.001)

3)ダビガトランは心タンポナーデ、血腫の増大がワルファリンより多い少ない。(2017.3.31訂正)

4)小出血は同等。血栓塞栓症はワルファリン群で1例
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結論:アブレーション時、ダビガトラン(中断なし)の方がワルファリン(中断なし)よりも出血合併症が少ない。

スポンサー:Supported by Boehringer Ingelheim.

### これまでアブレーション時のNOACとワルファリンの比較は,観察研究が多く,リバーロキサバンでランダマイズドトライアルはありましたが,イベント数が少なく何とも言えない感じでした。

日本でのリバーロキサバンのデータもありますが,イベント発症率には差はなかったようです。こちらは登録研究で無作為化ではありません。

特に心タンポナーデと血腫が少なかったことについて,筆者らはトロンビンの直接阻害のため,あるいは半減期が短いことなどからVII因子が保たれ安定した抗凝固効果が得られる方としています。また中和薬があるのも利点としていますが,この試験では1例も使われなかったようです。

現時点ではNOAC継続でアブレーションをする現場が多いでしょうから,エビデンス的裏付けになると思われます。直接トロンビン阻害薬は消化管でなければ局所の出血は少ないでしょうか。Xa阻害薬ではどうか。

$$$ 最近はこればかり。ゴジラは多分速効性のあるNOACを欲しがるでしょう。 値段はさておき。
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by dobashinaika | 2017-03-28 23:43 | 心房細動:アブレーション | Comments(0)

心房細動アブレーション後は抗凝固薬はいらなくなるのか?:JAMAC誌


Assessment of Use vs Discontinuation of Oral Anticoagulation After Pulmonary Vein Isolation in Patients With Atrial Fibrillation
JAMA Cardiol. Published online November 23, 2016. doi:10.1001/jamacardio.2016.4179


疑問:肺静脈アブレーション後も抗凝固療法は必要か?

P:肺静脈隔離術を施行した患者。スウェーデン国内登録。1585例
10のアブレーション専門施設で全体の94%

I:アブレーション後ワルファリン継続

C:ワルファリン中止

O:虚血性脳卒中,頭蓋内出血,死亡

結果:
1)平均年齢59.0歳。CHA2DS-VAScスコア1.5点。

2)1年以内ワルファリン中止患者360例30.6.%

3)虚血性脳卒中:CHA2DS-VAScスコア2点以上において,ワルファリン群で高率(年間1.6%vs. 0.3%,
P=0.046)
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4)CHA2DS-VAScスコア2点以上または脳卒中の既往は特に高率(前者ハザード比4.6;95%CI1.2-17.2;
P=0.02,後者ハザード比13.7,2.0−91.9;P=0.007)

(論文の結論):高リスク例,特に虚血性脳卒中既往例で肺静脈隔離術後にワルファリンを止めることは安全ではない。

Critical Appraisal
・研究デザイン:後ろ向きコホート研究
・研究目的:予後
・追跡期間:平均2.6年:概ね十分

### PVアブレーション後,抗凝固薬をやめられればアブレーションのベネフィットは絶大です。理論的にはアブレーションで心房細動が完全になくなれば抗凝固薬はいらなくなるように思います。実際には無症候性に再発していることがあるため,高リスク例では抗凝固薬を継続するというのがこれまでのガイドライン等でのrecommendationだったかと思います。

今回は多数例で後ろ向きに検討したものですが,高リスク例,特の脳卒中の既往のある例ではワルファリンをやめると虚血性脳卒中が増えるというものでした。CHA2DS2-VAScスコアの元論文では,アブレーションに関係なくCHA2DS2-VAScスコア別の年間脳梗塞発症率は2点で2.2%,3点で3.2%,4点で4.0%であり,今回の1.6%はこれまでよりも低いものです。やはりアブだけでもすこし脳梗塞は減るようです。ただ,ワルファリンを追加すれば年間0.3%と,もうほとんどゼロに近い数値となっています。

一番のLimitationはワルファリンをやめた理由があまり明らかに記載されていないことです。おそらく主治医判断でその理由は恣意的であろうかと思われます。アブが非常にうまく言って再発の可能性が低いと主治医が思ったとか,低リスクなので中止したとか。

とは言え,先行研究ともアウトカムは合致しており,高リスク特に脳卒中既往例では抗凝固継続というのは臨床で使うべきメッセージと思われます。
こうしたデータはまだNOACではまとまって出せないでしょう。NOACでも同等の成績が考えられますが,これだけ発症数が少なければNOACでなくてもいい気もします。

$$$ 師走ですね
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by dobashinaika | 2016-12-02 23:56 | 心房細動:アブレーション | Comments(0)

リバーロキサバン投与中の心房細動アブレーション周術期のイベント率はワルファリンと同じ(日本発):CJ誌

Efficacy and Safety of Rivaroxaban and Warfarin in the Perioperative Period of Catheter Ablation for Atrial Fibrillation – Outcome Analysis From a Prospective Multicenter Registry Study in Japan –
Circa J 2016; 80: 2296-2301


疑問:心房細動アブレーション周術期においてNOACはワルファリンより優れているのか

方法:
・日本の医療施設で,リバーロキサバンあるいはワルファリンを投与中に心房細動のカテーテルアブレーションを予定された2つの前向き登録を比較
・主要評価項目:アブレーション後30日以内の血栓塞栓症および大出血

結果:
1)リバーロキサバン1118例(平均65歳),ワルファリン204例(69歳):各42, 22施設

2)リバーロキサバン群:
・主要イベント数:7例0.6%(血栓塞栓症2,大出血5)
・小出血:27例2.4%
・非ヘパリンブリッジ時のイベント数はヘパリンブリッジ時より明らかに低い

3)ワルファリン群:
・主要イベント数3例1.5%(全例大出血)

4)両群間:補正後イベント率に有意差なし

結論:日本における心房細動アブレーション周術期の血栓塞栓症及び大出血率は,リバーロキサバン投与時とワルファリンとで同じである。

### 異なる登録研究を比較しているため,患者背景が異なります。ワルファリン群のほうが高齢,低体重,合併疾患多い,慢性多い,CHADS2スコアCHA2DS-VAScスコア高値となっています。補正後データが有るとはいえ,この点は注意。

イベント数が両群とも極小なので,主要評価項目の差はつかないと思われますが,少なくとも同じとなると,オンオフが簡単なNOACが良いようにも思われます。

ただ,オンオフ事にリスクがあると思われるワルファリンはリバーロキサバンと大差なかったということで,よりハイリスク例に投与されていることも考えると,逆にいえばやりワルファリン偉いということにもなるかもしれません(笑)。

ヘパリンブリッジの結果は興味深いです。非ブリッジ時のほうがイベントが少ないとのことですが,ほとんどが小出血で,ヘパリンブリッジをしなくても血栓塞栓症は1例しかありませんでした。筆者らも「心房細動アブレーション前のヘパリンブリッジは血栓塞栓症ハイリスク例以外は避けるべき」としています。

$$$ 毎朝散歩していますと,冬手袋が片方だけ(時に両方)落ちているのに遭遇します。名付けて「片手落ち」(放送禁止用語だったらごめんなさい)。今シーズン最初の片手落ちです。
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by dobashinaika | 2016-10-28 18:57 | 心房細動:アブレーション | Comments(0)

心房細動に対するクライオ(冷凍凝固)アブレーション:日本初のマルチセンター登録研究

Safety and Efficacy of Cryoballoon Ablation for Paroxysmal Atrial Fibrillation in Japan – Results From the Japanese Prospective Post-Market Surveillance Study –
Circ J 2016; 80: 1744–1749

目的:日本における発作性心房細動がに対するクライオアブレーションの市販後成績を明らかにする

方法;
・市販後6ヶ月時点
・616人,平均年齢63歳,日本の33医療施設
・発作性心房細動の607例につき解析,特に328例では6ヶ月間の一次有効率を解析

結果;
1)肺静脈隔離成功:99.8%,ブランキング時期の再アブレーション:0.3%

2)6ヶ月間イベントフリー率:91.6%

3)有害事象
     横隔膜神経麻痺:9例1.5%。6例は6ヶ月以内に回復
     心嚢液:5例0.8%
     心タンポナーデ:4例0.6%
     死亡:1例,肺炎,手術後6日

結論:クライオアブレーションは,日本の発作性心房細動患者に対して安全かつ有効である。手技後6ヶ月間の心房細動フリー率は88.4%だった。

###
メドトロニック社製の第2世代のクライオバルーンに関する,日本で初めてのマルチセンター登録研究です。6ヶ月間のフォローですが,いいようですね。

グローバルな無作為化試験についてはこちら
http://dobashin.exblog.jp/22897794/

$$$ 七夕の竹を使った送り火です。お盆が終われば秋が足を早めて忍び寄ります。
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by dobashinaika | 2016-08-18 22:28 | 心房細動:アブレーション | Comments(0)

心房細動アブレーションの適応に関するわかりやすい図表:Circ誌心房細動アブレーションの総説

Circulation誌に心房細動アブレーションについての総説が掲載されています。著者はHaïssaguerreはじめ超一流です。

Ablation of Atrial Fibrillation:Patient Selection, Periprocedural Anticoagulation, Techniques, and Preventive Measures After Ablation
Mark S. Link,Michel Haïssaguerre and Andrea Natale
Circulation July 26, 2016

テクニック的なことは省いて,適応についてわかりやすい図と表があったので日本語に書きなおしてみました。
米国(2014年)とヨーロッパ(2012年)のガイドラインが元になっており,どちらもほとんど同じ内容です。

表は日本の2011年改訂版を私が追加した改変版です。
日本のガイドラインはこの当時,アブを第1選択にという発想がなかったため,患者の希望や職業上制限となる場合(パオロットや運転手など)のみ第1選択としていました。

推奨度Iはベネフィット>>リスク,IIaはベネフィット>リスク,IIbはベネフィット≧リスク,IIIは利益なしまたは害です。
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要点としては
・発作性で薬1種類でも再発あるならアブの良い適応

・発作性で最初からのアブはまあまあの適応

・持続性で薬1種類でも再発あるならアブはまあまあの適応

・持続性で最初から,あるいは長期持続性はあまりおすすめでない
・心不全が心房細動由来ならアブ


という感じですか。

ちなみに日本は年間50例以上などの縛りがあるのもお国柄かと思います。

私は以前から言っているように,こうした専門家の意見を参考にしつつ
アブレーションをして感じられる利益>アブレーションの合併症
であるときにのみアブが選択されるという考えです。

この「合併症」が圧センサーカテやクライオでかなり以前より改善されてきているというのが現状かと思います。
その度合は各施設によるので,そうした情報提供ふまえての担当医との納得の行くまでの合意形成が最重要ということかと思われます。

b>### 患者さんからいただいたバルーンアート,早速待合室に展示しました。
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by dobashinaika | 2016-08-03 22:16 | 心房細動:アブレーション | Comments(0)

心房細動に対するクライオ(冷凍)バルーンアブレーションの有効性と安全性:NEJM誌

Cryoballoon or Radiofrequency Ablation for Paroxysmal Atrial Fibrillation
N Engl J Med 2016; 374:2235-2245


疑問:クライオバルーンアブレーションの有効性,安全性は?

方法:
・多施設,無作為化試験
・クライオ群vs. 高周波群
・非劣性試験
・薬剤抵抗性,症候性心房細動
・有効性一次エンドポイント(アブレーション90日以内):心房細動再発(抗不整脈薬再開,再アブレーション含む)までの時間
・安全性一次エンドポイント:死亡,心血管イベント,重篤な合併症

結果:
1)762例:クライオ378例,高周波384例

2)平均追跡期間1.5年

3)有効性一次エンドポイント:クライオ群34.6%/年vs. 高周波群35.9%/年,ハザード比0.96; 95%CI, 0.76 to 1.22; P<0.001 for noninferiority

4)安全性一次エンドポイント:クライオ群10.2%/年vs. 高周波群12.8%/年,ハザード比0.78; 95%CI, 0.52 to 1.18; P=0.24

結論:無作為化試験において,薬剤抵抗性,症候性心房細動に対するクライオバルーンアブレーションは高周波アブレーションに比較して,有効性の点で非劣性を示した。また安全性の点でも明らかな違いはなかった。

### クライオバルーンアブレーションは,肺静脈開口部をバルーン(風船)で閉塞し,周囲の組織を冷凍凝固により焼灼するものですね。
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今回はRCTでクライオの有効性,安全性が示された大きな論文です。クライオバルーンアブレーションの普及にはずみが付きそうです。一次エンドポイントが35%前後というのは多すぎるような気もしますが。急性期の再発も入れているからでしょうか。

$$$ 今朝の広瀬川河畔
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by dobashinaika | 2016-06-12 09:27 | 心房細動:アブレーション | Comments(0)

カテーテルアブレーションは心房細動の脳卒中や死亡率改善に関連あり:EHJ誌

Catheter ablation for atrial fibrillation is associated with lower incidence of stroke and death: data from Swedish health registries
Eur Heart J 2016; Mar 16

疑問:カテーテルアブレーションは,心房細動のアウトカムを向上させるか

方法:
・スウェーデンの国内登録研究。2006〜2012年
・カテーテルアブレーション施行心房細動例
・非アブレーション施行患者とマッチング後比較(4年間フォロー)

結果:
1)3120例

2)施行例vs.非施行例
年齢:59vs75歳
CHA2DS2-VAScスコア:1.5vs.3.6点
経口抗凝固薬:86%vs.44%
抗不整脈薬:58%vs.8%

3)アブレーション施行患者の特徴:65歳未満,大学教育,高収入,抗凝固薬,抗不整脈薬使用

4)塞栓血栓症:施行例0.7%vs.非施行例1.0%,p=0.01

5)死亡:施行例0.8%vs.非施行例1.6%p=0.001
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6)CHA2DS2-VAScスコア2点以上およびアブレーション後6ヶ月をこえた新規除細動なしの例でアウトカム療法

結論:アブレーションは心房細動患者の虚血性脳卒中や死亡率低下に関連。より血栓塞栓症リスクが高い例でこのことは顕著

###  アブレーションが症状や心機能のみならず,長期予後まで改善するというデータは,最近散見されますが,その中でも規模の大きなコホート研究です。
差はわずかに見えますが,4年間の成績ですので,より長期で考えると,やはり洞調律に戻す効果は大きいのかもしれないと思わせます。

年齢,CHA2DS2-VAScスコアなどが違いすぎるので,前向き試験の結果がまたれるところです。

$$$ 例によって遠景ネコ
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by dobashinaika | 2016-05-03 09:05 | 心房細動:アブレーション | Comments(0)

心房細動アブレーションは脳卒中や死亡率改善と関連あり:EHJ誌

Catheter ablation for atrial fibrillation is associated with lower incidence of stroke and death: data from Swedish health registries
Eur Heart J First published online: 16 March 2016


疑問:心房細動アブレーションは脳卒中や死亡率を減らすのか?

方法:
・スウェーデン登録研究,361,913例の心房細動患者
・7年間,アブレーション5176件,4278例

結果:
1)アブレーション患者:アブなし例に比べ若年(58.7 vs. 74.7 years, P < 0.001),CHA2DS2-VAScスコア低値(1.5 ± 1.4 vs. 3.6 ± 1.9, P < 0.001)

2)年間虚血性脳卒中発症率(プロペンシティースコアマッチ後,平均追跡期間4.4年):アブ群vs. 非アブ群=0.70 vs. 1.0%, P = 0.013

3)死亡率(プロペンシティースコアマッチ後):アブ群vs. 非アブ群=0.77 vs. 1.62%, P < 0.001

4)年間虚血性脳卒中ハザード比(多変量解析):0.69, 95% CI 0.51–0.93

5)死亡率(多変量解析後):0.50, 95% CI 0.37–0.62

6)脳卒中減少率はCHA2DS2-VAScスコア2点以上(HR 0.39, 95% CI 0.19–0.78),およびでアブレーション後6ヶ月以上で除細動なしの例(HR 0.68, 95% CI 0.48–0.97)でより顕著

結論:アブレーションと虚血性脳卒中,死亡率減少とは関連あり。よりハイリスク患者ほど効果大。

### 最近アブレーションの脳塞栓あるいは死亡率改善効果を示唆する研究が散見されるようになっていますね。これはその中でもかなり大規模な登録研究です。かなりの因子で補正していますので,そろそろアブレーションの威力を本格的に考えたほうが良いかなと思ったりもします。

ただ年齢とCHA2DS2-VAScスコアがなり違うので,補正したと言ってもバイアスはかかっているかと思います。若く,低リスクのうちに受ければ良いと言うのは間違いないと思われます。ただ症状なしでも受けるかどうかは超難題。

$$$ 日曜は恒例の広瀬川散歩からのー八幡神社お参り。まだ冬の気配残る清澄な空気。でもちょっと温い気配。
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by dobashinaika | 2016-03-28 22:11 | 心房細動:アブレーション | Comments(0)

心房細動アブレーション周術期のリバーロキサバンとワルファリンの無作為化比較試験:EHJ誌

Uninterrupted rivaroxaban vs. uninterrupted vitamin K antagonists for catheter ablation in non-valvular atrial fibrillation
Riccardo Cappato et al
EHJ First published online: 14 May 2015


目的:VENTURE-AFは、非弁膜症性心房細動カテーテルアブレーション時に中断なしで、リバーロキサバンとビタミンK阻害薬(VKA)の初の無作為化試験

方法:
P:カテーテルアブレーションが予定された発作性、持続性、長期持続性心房細動患者250名
E:リバーロキサバン20mg/日、術後4週間、中断なし
C:VKA
O:大出血(主要)、血栓塞栓症、他の出血、手技に関連したイベント(副次)

結果:
1)年齢59.5歳、男性71%、発作性74%、CHA2DS-VAScスコア1.6点

2)ACTで決めたヘパリン量:リバーロキサバン>VKA:(13 871 vs. 10 964 units; P < 0.001)

3)ACT値:リバーロキサバン < VKA:(302 vs. 332 s; P < 0.001)

4)大出血:0.4%(1例)

5)血栓塞栓症:0.8%(脳梗塞1例、血管死1例)

6)出血は全例VKA群でアブレーション後

7)その他のイベント、出血は同等

結論:心房細動アブレーション施行例において、中断しないリバーロキサバン使用は実行可能で、イベント率は中断しないVKA療法と同等

(COI:この研究のスポンサー、ファンドはJanssen Scientific Affairs LLC, a Johnson and Johnson Company and by Bayer HealthCare Pharmaceuticals)

###これまで観察研究はありましたが、RCTは初めてです。観察研究だと、このひとはリバーロキサバンが良さそうだ、こっちはワルファリンがいいなどと、医療者の恣意性が入り込みますので、RCTが出たことの意義は大きいと思われます。

症例数が少なく統計的処理を行うまでに至っていません。実際上問題となるのは、アブレーション関連タンポナーデの時の出血量と思われますが、Xa阻害薬のほうが頭蓋内出血のように心膜腔への出血量が少なくなるような血液凝固学的要因は考えつきません。が、一方、タンポナーデの時はドレナージしますので中和薬は必要なさそうです。あとは、アブレーション後数日までに起こる遅発性のタンポナーデですが、症例数が少なくどちらがどうということはまだいえないようです。

こうしたデータの積み重ねは非常に大切と思われます。

主な観察研究はこちら
http://dobashin.exblog.jp/19510118/

$$$ 今日はにゃんこでなくてカメ。ご近所のペットホテル玄関前でひなたぼっこしていました。
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by dobashinaika | 2015-05-15 22:26 | 心房細動:アブレーション | Comments(0)

持続性心房細動のカテーテルアブレーションの焼灼法と再発率:NEJM

Approaches to Catheter Ablation for Persistent Atrial Fibrillation
Atul Verma et al
N Engl J Med 2015; 372:1812-1822


背景:持続性心房細動に対するアブレーションの成績は、発作性程よくない。ガイドラインでは肺静脈隔離に基質の修飾を推奨している。

方法:
・P:持続性心房細動589例
・E/C(3群):肺静脈隔離のみ67例、肺静脈隔離+complex fractionated activity (CFAE)焼灼263例、肺静脈隔離+線状焼灼(左房前壁ルーフ+僧帽弁輪峡部)259例
・O:1回の施行以後に30秒以上の心房細動が再発するまでの時間
・追跡18ヶ月

結果:
1)手技時間:肺静脈隔離のみが他2手技に比べ最短:p<0.001

2)非再発率(18ヶ月):肺静脈隔離のみ59%、CAFE焼灼追加49%、線状焼灼追加46%、p=0.15

3)2回目移行の再発率、他のあらゆる心房性不整脈の再発:3群で有意差なし

4)合併症:タンポナーデ3,脳卒中/TIA:3例、心房食道瘻1例

結論:持続性心房細動患者ではCFAE焼灼、線状焼灼の追加は肺静脈隔離に比べ、再発率の低下を認めなかった。(この研究のFundはSt. Jude Medical)

### 久々に心房細動関連論文、しかもアブレーションに関するものがNEJMに掲載されています。

持続性心房細動とはESCガイドラインでは7日を超え、除細動を必要とするものと定義されています。日本循環器学会の2011年ガイドラインでは「薬物治療抵抗性の有症候性の発作性および持続性心房細動」は推奨度IIaですが、左房拡大、左室機能低下、無症候性はIIbです。

持続性心房細動のアブレーションは肺静脈隔離だけでは不十分で、CFAE(心房内分裂電位、なぜかこれで”カフェ”と呼ぶ)の焼灼、心房内の線状焼灼のほか、自律神経節アブレーションなども行われる場合があります。しかしそのやり方は施設などでまちまちであり、確立されたものとは言いがたいのが実情でした。またこうした追加焼灼が、単純な肺静脈隔離より再発率が低いとの報告はあるものの、無作為化による真の意味での有効性の検討はないのが現状だったと思います。

今回はきっちり無作為化したところがNEJMに掲載されたゆえんかと思われます。
今後この分野の戦略はどうなっていくのか注目したいと思います。

$$$ ふるさと水戸が誇る(?)納豆記念碑。
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by dobashinaika | 2015-05-11 22:18 | 心房細動:アブレーション | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


by dobashinaika

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