カテゴリ:心房細動:アップストリーム治療( 32 )

ケアネットにLancet論文「βブロッカーは心房細動合併心不全の予後を改善しない」についての解説

ケアネットの「ジャーナル四天王」(提供元:J-CLEAR(臨床研究適正評価教育機構))にLancet論文「βブロッカーは心房細動合併心不全の予後を改善しない」の解説を書かせてただきました。
http://www.carenet.com/news/clear/journal/39737
(要無料登録)

昨年9月12日に本ブログでも取り上げておりますが、内容は少し推敲しております。
http://dobashin.exblog.jp/20190111/

元論文はこちら
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(14)61373-8/abstract

こちらもご参照ください。
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by dobashinaika | 2015-04-16 21:31 | 心房細動:アップストリーム治療 | Comments(0)

心房細動と糖尿病の関係

糖尿病と心房細動の関係について、ある雑誌原稿を依頼され執筆中です。
そのため、最近、1日の楽しみである寝る前の論文サーフィンがなかなかできません。

その代わりと言ってはなんですが、今回糖尿病と心房細動の関係について、原稿書きの覚書として列挙しておきます。

・糖尿病は心房細動のリスク因子
・最新の10万例対象のメタ解析では、2型糖尿病患者の心房細動リスク増加は、非糖尿病患者に比べて約40%(相対危険1.39, 95%信頼区間1.10~1.75, p(異質性) < 0.001 )で、出版バイアスを除くと34%。Am J Cardiol 2011;108:56–62.
・心房細動患者の糖尿病合併率は18〜23%

・糖尿病は心原性脳塞栓症のリスク因子
・CHA2DS2-VAScスコアの根拠となったデンマークの研究では、高血圧、心不全とハザード比は同等
・スウェーデンの登録研究では、糖尿病の血栓塞栓症のハザード比は1.39 (95%信頼区間1.25-1.43)
・日本のプール解析では、心房細動患者の糖尿病の持つ虚血性脳卒中におけるハザード比は、1.47(95%信頼区間0.81-2.65)

・糖尿病は心房細動予後の悪化に関連あり
・AFFIRM研究では糖尿病の死亡におけるハザード比は1.56(95%信頼区間1.24-2.33, p<0.0001)と有意に予後に影響

・糖尿病の心房細動促進のメカニズムには、自律神経異常、糖尿病性心筋症のほか、心房筋のリモデリング促進がある

・アップストリーム治療としての糖尿病治療
・メトホルミンやチアゾリジン誘導体が心房細動新規発症を抑制したとの報告あり
・抑制しなかったという報告もあり

### 高血圧とともに、心房細動の患者さんで糖尿病を合併していたら、しっかり治療しましょうということでありきたりですが、そんな結論です。

$$$ 近くのペットショップに貼ってありました。こういうの見ると心が痛みます。
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by dobashinaika | 2015-03-16 23:19 | 心房細動:アップストリーム治療 | Comments(0)

心房細動に対する代替療法ーヨーガ、鍼、バイオフィードバックなどの総説:JTD

心房細動に対する代替医療について総説が掲載されています。

Alternative medicine in atrial fibrillation treatment—Yoga, acupuncture, biofeedback and more
Arun Kanmanthareddy
J Thorac Dis 2015;7(2):185-192


ヨーガ:
・1日60分のヨーガを週2回3ヶ月で、心房細動が減ったとの報告あり
・自律神経系や視床下部ー下垂体ーアドレナリンレベルに関与

鍼:
・アミオダロンよりも除細動の成績良好。
・Neiguan spot の鍼が有効
などの論文があるが、症例数は少なく限定的

バイオフィードバック:
・副交感神経を刺激し心拍数を抑える
・とくに heart rate variabilityを増やす
・心房細動の心拍数を減らすとの報告があるが限定的

オメガ3脂肪酸
・RCTでは除細動後の心房細動の再発抑制があるとの報告あり
・ FORWARD trial,では有意差なし
・より新しいメタ解析では、再発予防効果に乏しい。

ビタミン、抗酸化物質:
・術後心房細動にビタミンC,E,Nアセチルシステインが効果ありとの論文あり
・動物実験では抗酸化物質の抑制効果の報告あり。

ハーブ:
・たくさんあるので割愛

その他:
・アーユルベーダ、ホメオパシー、ユナ二ー医学などへ系統的データはない。注意が必要

結論:補完医療、代替医療、例えばヨーガや鍼には、心房細動の支持療法としてのエビデンスは存在する、ハーブやサプリメントのエビデンスは限定的。これらの結果の受容には、少ない症例数まだ限界あり。これらの治療法は従来の医療の代替医療として考えることは重要。グローバリゼーションに伴い、これらの治療を行う患者は増えるので、これらに関し適切なカウンセ
リングが必要。

###今日は、ある勉強会の利益相反について大切な会議があってどっと疲れたので、肩のこらない論文です。ヨーガや鍼のエビデンスを見たことがありますが、症例数など少なくランダム化もなく限定的ですね。オメガ3脂肪酸は最近かなり分が悪いです。ホメオパシーに至っては。。。

ただし自律神経系の心房細動再発への関与はあきらただと思いますので、将来有望な代替療法はあると思われます。こうした療法は定量的なところでエビデンス構築が難しいですね。ヨーガはいいのでしょうが、1日何時間くらい週何回やればよいのか。代替療法でいつも思うのは、○○は体に良いといいますが、用量設定エビデンスが多分殆ど無い事ですね。なので、そういうものは所詮「代替」の域を出ないのだろうと思います。

$$$ 遅れましたが当院スタッフから。毎年ではありますが、単純に嬉しいです。
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by dobashinaika | 2015-02-17 00:13 | 心房細動:アップストリーム治療 | Comments(0)

魚油に心房細動抑制効果なし(JACC):ひとはなぜそれでもサプリを好むのか

Fish Oil for the Reduction of Atrial Fibrillation Recurrence, Inflammation, and Oxidative Stress
Nigam A, Talajic M, Roy D, et al
J Am Coll Cardiol 2014;64:1441-1448
.

疑問:高用量魚油は炎症、酸化ストレス、心房細動再発を抑えるのか

方法:
・オメガ3脂肪酸(N-3)評価のための多施設試験(AFFODRD試験)。
・二重盲検、無作為化、プラセボ対照
・6ヶ月以内の発作性または持続性、症候性心房細動
・魚油4g/日 vs. プラセボ
・平均271日追跡
・一次アウトカム:30秒以上の心房細動再発
・二次アウトカム;炎症、酸化ストレスマーカー(高感度CRPとミエロペルオキシダーゼ)

結果;
1)337人登録、297人88%完了。脱落率に差なし

2)ベースライン特性に差なし

3)一次アウトカム:魚油群64.1% vs. プラセボ群63.2%:ハザード比1.10(0.84−1.45;p=0.48)

4)高感度CRPとミエロペルオキシダーゼ:6ヶ月後の減少度は両群差なし

結論:高用量魚油は、従来からの心房細動治療を受けていない心房細動患者の再発を抑制しない。その上炎症や酸化ストレスマーカーも減らさない。これが効果の欠如の説明になる。

見通し;このデータはオメガ3脂肪酸が心房細動負担の減少にあまり寄与しないことを示す。別の治療が期待される

### 確認ですが、ベースラインでは両群とも年齢60歳程度、発作性が持続性の2倍位、心機能低下や抗不整脈薬を必要とする例は省かれています。
魚油の中身は1g中にEPA400mgとDHA200mg含有したのが1日4gです。

日本で高脂血症に効果効能が通っている武田薬品のロトリガは2g中にEPA930mg、DHA750mgで1日2g標準、中性脂肪高値の場合は1日4gまでOKです。
いずれにしてもこれまでの用量よりはやや多い試験です。

過去のブログでさんざん見たように、オメガ3脂肪酸は心房細動抑制には効果が無いことはもう既知のものかと思っていました。
http://dobashin.exblog.jp/16784119/

しかし人々のサプリ信仰は、根強いのでしょうか。まだこのように論文が出るようです。
注意すべきなのは、アウトカムの評価、つまり心房細動の再発の評価法が、定期的な電話伝送(無症候性対策)および症候時の際の電話伝送によっているということです。

サプリを飲んでいると、それだけで効いていると思い込む、すると症状が感じにくくなる、いわゆるホーソン効果もあると思われます。本来は合併症や死亡をアウトカムにすべきですが、おそらくやる前から勝算がないと思われたのかもしれません。

その辺のアウトカムの取り方については、同じく心房細動とサプリメントに関しての青島周一先生の秀逸な論考をご覧ください。
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/column/ebm/201409/538376_3.html
(要無料登録)

サプリを良しとする人間心理は興味深くて、大きいのはやはり医師の出す「医薬品」への(特に副作用の)恐怖や不信感があると考えられます。お医者さんが出す薬はなんとなく強くて怖いけれど、コンビニで売っているサプリなら副作用も少なくて安心である、という思い込みです。

更に上記のホーソン効果のごとく、そうして自分で選んだものというのは、「効く」という感覚を懐きやすいことも要因の一つと思われます。その上、サプリを進める人が同僚とか親戚とか、気のあった友人であることが多いのもサプリへの誘惑を強めます。

「信頼しているあの人がいいって言っていたサプリだし、自分で選んで買ったのだから、効いてほしい、いや効くに違いない」というバイアスが、西洋医薬品への恐れ不信感が相俟って、サプリやその他様々な診察室の外での医療行為(擬似医療?)へと誘う。。。

医療者としてこうしたバイアスとどう向き合うか、深く考えたいです。

ということで今日の散歩は、ちょっと早く起きてしまったので大崎八幡まで足を伸ばしました。
秋晴れ早朝の人もまばらな国宝神社。。なんとも清々しい気分になります。
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by dobashinaika | 2014-10-10 20:58 | 心房細動:アップストリーム治療 | Comments(0)

βブロッカーは心房細動合併心不全の予後を改善しない:Lancet誌メタ解析

Lancetオンライン版
Efficacy of β blockers in patients with heart failure plus atrial fibrillation: an individual-patient data meta-analysis


疑問:βブロッカーは心房細動合併心不全の予後を改善させるか?

方法:
・メタ解析、ITT解析試験対象
・心不全患者で登録時洞調律または登録時心房細動別に、βブロッカーvs.プラセボ
・主要アウトカム:全死亡

結果:
1)全18254例;洞調律76%、心房細動17%

2)粗死亡率(平均1.5年追跡):洞調律群16%、心房細動群21%

3)死亡率(βブロッカー群の対プラセボ群ハザード比)
   洞調律例 0·73, 0·67—0·80; p<0·001
   心房細動例 0·97, 0·83—1·14; p=0·73

4)心房細動例では主要アウトカムのサブ解析でも一様に死亡率悪い

解釈:この所見からは、心房細動合併心不全の予後改善のための標準治療として、βブロッカーはレートコントロール以外では進んで使うべきでない

### 結構衝撃的な結果ですね。たしかにRACE II試験でβブロッカーなどで心拍数が目標110でも80でもアウトカムは変わらなかったことから、単純に心拍数だけが心房細動の予後に関係するのではないことは予想がつくかもしれませんが。

確認として、両群間のベースラインのプロファイルは、心房細動群の方が年齢が69歳で、洞調律例の64歳より高齢である以外、基礎疾患、左室機能、心拍数などには差がないようでした。また心房細動例の抗凝固療法施行率は58%です。

心房細動例では脳卒中が多いためかと思いがちですが、死因を見ると脳卒中は心房細動例で4%、洞調律例で2%でした。かりに心房細動例も2%だったとしても死亡率は20%大勢に変わりないようです。

心房細動では、脈の不整性そのものが心機能を悪くする要因であり、心拍数はあまり関係ないのかもしれません。

ただし、気になる点として、心房細動の診断が登録時心電図のみであること、心不全の定義が明記されていないこと、とくに左室駆出分画が表示されいて27%とかなり低めですが、心房細動中のEFのみの評価で良いのかどうか疑問です。かなり心機能の悪い症例も含まれているかもしれません。心機能の割に登録時の心拍数が、平均81とかなり低いのも、初めからイベントが少なく、βブロッカーの活躍範囲が狭かった可能性もあります。

いろいろ検討したいところがたくさんありそうです。
by dobashinaika | 2014-09-12 21:40 | 心房細動:アップストリーム治療 | Comments(0)

抗凝固療法を行う上で一番気をつけるべきことは?:日経メディカルオンライン連載、更新しました

日経メディカルオンラインに連載させて頂いております「プライマリ・ケア医のための心房細動入門」。久々に更新しました。

今回は
「第15回 血圧管理
抗凝固療法を行う上で一番気をつけるべきことは?」

です。
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/odakura/201401/534686.html

抗凝固療法中の出血予防には、じつは血圧管理が最もわれわれプライマリ・ケア医には日頃から慣れ親しみ、かつ重要なアイテムであることを強調させていただきました。この分野、なかなかエビデンスがなく、BAT研究を参考にさせていただきました。最近のJNC8でも触れられてはおらず、昨日発表の日本の新ガイドラインでもやや触れられてはおりますが、目標値や選択薬剤までは言及されていないようです。

抗凝固療法適応者のCHADS2スコアには高血圧が含まれる場合がほとんど思われますので、このことはじつは非常に大切だと思います。抗凝固療法のことは、もう色んな所で散々言われていてうんざりだと思われている先生も多いと思いますが、その他のリスク管理についてはやや盲点になっているように思われます。

そうしたいわゆる広義のアップストリーム治療について以下のm3.comにも記事を書いておりますので、合わせてご高覧いただければ幸に存じます。
http://mrkun.m3.com/mrq/message/JAJabukawa/201312091728078943/viewPrevious.htm?msgSortBy=date&pageNo=&pos=top&pageContext=mrq2.0&mkep=prev&wid=20140128191912593

(どちらも無料登録が必要です)
by dobashinaika | 2014-01-28 19:50 | 心房細動:アップストリーム治療 | Comments(0)

アップストリーム治療について記事を書きました(m3.com)

医療者向けサイトm3.comのMR君で、心房細動のアップストリーム治療について私が監修させていただいた記事が掲載されています。これから5回連続(隔週)で掲載され、高齢者の抗凝固療法や、発作性心房細動の対処法についても掲載される予定ですので、ご参照いただければ幸に存じます。

http://mrkun.m3.com/mrq/message/JAJabukawa/201312091728078943/view.htm?msgSortBy=date&pageNo=&pageContext=mrq3.0&mkep=messageList&wid=20131213173714691
(無料会員登録が必要です)

なおこのコンテンツはジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社の提供によるものです。
by dobashinaika | 2013-12-13 17:44 | 心房細動:アップストリーム治療 | Comments(0)

複雑系としての心房細動

本日(10日)、あるネット上の企画のための取材を受けました。
テーマは「心房細動のアップストリーム治療」です。

アップストリーム治療の歴史は2001年のシシリアンガンビットの報告にさかのぼります。
それまで、心電図で不整脈→抗不整脈薬という、途中の過程が不明なブラックボックスであっても成立するようなある意味脊髄反射的な治療に終始していた地平から、不整脈の発生機序と電気生理学的特性(チャネル、レセプター)に基づいた論理的アプローチへと新しいパラダイムを提示したのがシシリアンガンビットでした。

こうして、不整脈の元を断たなければダメという発想が浸透し、心房細動の病態を「リスク因子」「心房リモデリング]「心房細動」の3段階にわけ、リモデリングの上流をアップストリーム治療、下流を「ダウンストリーム治療」と呼ばれるようになったのです。
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その後2000年代半ば、RAS系阻害薬(特にARB)が心房細動の一次、二次予防に良いという大規模試験サブ解析がLIFE試験などを筆頭に続出し、一挙に「(ARBを使用した)アップストリーム治療」への期待が高まったのです。

おりしも2003年AFFIRM試験で抗不整脈薬の役割に疑問符が打たれた時期であり、ARBアドバタイズメントの機運とも重なってかなりの盛り上がりを見せました(ちなみにJIKEI HEARTは2007年)。

しかしながら、これらのエビデンスはいずれも動物実験もしくは後付解析がほとんどでした。一次エンドポイントに心房細動を組入れた試験はありませんでした。

そこで前向き試験が企画され2009〜2010年に次々に発表されました。ACTIVE-I、GISSI-AF、J-RHYTHM II、ANTI-PAFなどです。

しかしながら、その結果はご存知のように、「ARBの心房細動二次予防効果」の完全否定でした。

現在ESCのガイドラインでのRAS系阻害薬の位置づけは、一次予防に関し心不全、高血圧(左室肥大)例では推奨クラスIIaですが、二次予防においては心不全、高血圧圧症例はクラスIIb、孤立性にいたってはクラスIIIの扱いとなっています。

私達はこうした経緯をどのように考えればよいのでしょうか?

私がここに至って思うのは、心房細動の発症は複数の因子が複合的に作用しあって成立すると考えられるので、アンジオテンシンIIといった1つの因子だけを独立変数としてランダム化比較試験を行っても、有意差が根本的にでないのだ、ということです。心房細動のようなchaoticな病態は、1つの因子を制御しただけでは手に負えないものである、と思うのです。

このアップストリーム治療でのダメ出しを見るにつけ、改めて心房細動という病の複雑さ、複雑系としての心房細動、ということを痛感します。

現在、アップストリーム治療はもっとおおまかに臨床に即して考えられるようになっており、心房細動を成立させるリスク因子(高血圧、糖尿病、心不全、弁膜症、肥満、甲状腺疾患、冠動脈疾患、アルコールその他もろもろ)をもれなく管理しようというより包括的な概念に変わってきています。

そしてそれらのリスク因子を管理することで、心房細動の発症のみならず予後を改善しようという地平までわれわれの視野は広がりつつあります。

「様々なリスク因子を管理し、心房細動発症のみならず、予後改善も目標とする」これが現代版アップストリーム治療ではないかと考えます。

それにしても不整脈診療の歴史とは、「ダメ出しの歴史」なのですねえ。
CAST試験で心筋梗塞後期外収縮への抗不整脈薬がダメ出し、AFFIRMで心房細動の抗不整脈薬にダメ出し、そしてARBのアップストリーム治療にダメ出し。。。

こうしてみると50年間王座を守っていたワーファリンという薬は返す返すも偉大な存在なのです(まだ「偉大だった」という表現は使えませんですねえ)。その点NOACは今のところ大きなダメ出しはないようですが。。

こうした内容を含む、より各論も交えての特集があるサイトで今後アップされる予定ですので、ご笑覧いただければ幸いです。近くになりましたら、お知らせいたします。
by dobashinaika | 2013-10-11 00:32 | 心房細動:アップストリーム治療 | Comments(0)

心房細動再発予防効果はARBとCa拮抗薬で同等:中国からの報告

Hypertension 2月25日オンライン版により

Effect of Nifedipine Versus Telmisartan on Prevention of Atrial Fibrillation Recurrence in Hypertensive Patients
doi: 10.1161/ HYPERTENSIONAHA.111.202309


【疑問】高血圧患者において、ARBのほうがカルシウム拮抗薬に比べ心房細動再発予防効果が優れているのか?

P:高血圧合併発作性心房細動149人

E:テルミサルタン

C:ニフェジピン

O:全発作回数、持続性心房細動への再発:2年追跡
心電図とホルター心電図で確認
目標血圧130/80未満

T:無作為割付

【結果】
1)目標血圧到達率;テルミサルタン群=ニフェジピン群

2)血圧管理:テルミサルタン群<ニフェジピン群
    心拍数管理:テルミサルタン群=ニフェジピン群

3)心房細動再発:テルミサルタン群55.4%vs. ニフェジピン群58.7%(P=0.742)

4)心房細動再発フリーカーブ;テルミサルタン群=ニフェジピン群

5)試験終了時の左房径、左房容積、左室容積:テルミサルタン群<ニフェジピン群

【結論】テルミサルタン群の心房細動再発予防効果はニフェジピン群と同等。しかしテルミサルタンには持続性心房細動への進展予防に関する潜在的効果を有している可能性あり。

### いわゆるARBのアップストリーム効果はGISSI-AF試験などを持って、もはや終了と思っていましたが、そうした結論をさらに強固にする中国からの報告です。目標血圧が結構低めに設定されています。

一見してJ-RHYTHM-II試験を想起させますが、J-リズムは伝送心電図なども使いきめ細かでした。試験内容の詳細はわかりませんが、左房系などの心エコー指標でARBの方に分があったというのが目を引く点でしょうか。

この論文でほぼすべてのARBが、有効性を示すことがないということになりますか。以下を参考に。
ACTIVE-Iイルベサルタン
GISSI-AFバルサルタン
J-RHYTHM IIカンデサルタン
ANTIPAFオルメサルタン
本論文テルミサルタン
by dobashinaika | 2013-03-12 13:30 | 心房細動:アップストリーム治療 | Comments(0)

ヨガは心房細動患者の血圧、心拍数、QOL、不安、うつを改善する

JACC 1月30日付けオンライン版より

Effect of Yoga on Arrhythmia Burden, Anxiety, Depression, and Quality of Life in Paroxysmal Atrial Fibrillation:The YOGA My Heart Study
doi:10.1016/j.jacc.2012.11.06
0

【疑問】ヨガは心房細動の負担軽減やQOLなどの改善に有効か?

P:症候性発作性心房細動(University of Kansas Hospital and Medical Center)
連続103例中、試験を遂行できた49症例

E:少なくとも週2回、1回60分、15~20人のグループでインストラクターの指導のもとに3ヶ月施行

C:同一患者で、ヨガ施行前3ヶ月間、ヨガ非施行期間

O:心房細動の症状の変化、心房細動ではない症状、無症候性心房細動、SF-36(QOLスコア)、SAS(不安スコア)、SDS(うつコア)

結果:
1)症候性かつ心房細動エピドード:ヨガ施行により3.8回→2.1回、p<0.001

2)症候性かつ非心房細動:2.9回→1.4回、p<0.001)

3)無症候性心房粗動;0.12→0.04、p<0.001)

4)不安、うつスコア:改善、p<0.001

5)身体機能、一般健康状態、活力、社会的機能、メンタルヘルスに関するSF-36:改善、p<0.001

6)心拍数、収縮期および拡張期血圧;低下、p<0.001

結論:発作性心房細動患者において、ヨガは症状、不整脈持続時間、心拍数、血圧、不安およびうつスコア、QOLを改善した。

### 同一コホートを対象に対照期と介入期を設けて群内比較するいわゆるtime-series designです。このデザインの利点は、当たり前ですが、同一集団なので患者背景が同一であることです。欠点はいろいろあって、時間的経過による学習効果、時期効果(単なる時間的経過による改善効果)、平均への回帰現象(あらゆる事情は時間経過ともに平均値に回帰する)などです。まずそのバイアスを差し引いて考えましょう。

血圧、心拍数などは比較的客観的指標ですが、QOL、症候性エピソードの回数などはバイアスが入り込みやすい指標です。

ヨガの効果は、各種心疾患でも報告されており、確かに自律神経系特に迷走神経系の賦活に有効とされています。実際には迷走神経緊張は心房細動を誘発する可能性もある訳ですが、そこまでは行かないレベルでうまくヨガの効果が発現するのかもしれません。まあこの論文だけでそれが言えるだけのエビデンスレベルには至っていないと思われますが。

心拍数、血圧だけでなく、生化学的なマーカーやホルターでのL/H比なども見ていれば、より格調高いペーパーになったかもしれません。

座禅、アロマテラピー、太極拳etcなどはどうなんでしょうか?
by dobashinaika | 2013-02-01 23:23 | 心房細動:アップストリーム治療 | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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by dobashinaika at 21:03
先生のブログ(共病記)を..
by 大西康雄 at 13:07
コメントありがとうござい..
by 小田倉弘典 at 18:40
コメントありがとうござい..
by dobashinaika at 18:35
コメントありがとうござい..
by dobashinaika at 18:34
はじめまして 心房細動..
by 患者目線 at 08:36
脳梗塞を起こしているから..
by 心配性 at 06:36

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