カテゴリ:音楽、美術など( 7 )

ヘレン・シャルフベック展を味わう

往診帰りに,待望のヘレン・シャルフベック展に行ってきました。
ひさびさに絵画で深々と感動しました。

展覧会全体がひとつのポートフォリオと言ってもいい趣で,死の直前までの軌跡がたどれます。
抑制の効いた表現ながら,その奥底から彼女の年代ごとの心の移ろいが痛々しいまでに伝わってきます。

この自画像では,後ろの黒い背景を墓石に見立てて自分の名前を記したそうですが,描いたのが今の私と同じ年と聞いて震えました。
時おり絵の奥から,死の気配のようなものが漂うのですが,暗いというより,自己を冷徹に見つめる眼差しという感じなんですね。

自分が最近病気をしたからでもないのですが,こうした死や人生への透徹した視点というのは,非常に共感を覚えます。

宮城県美術館で10月12日まで
http://www.pref.miyagi.jp/site/mmoa/exhibition-20150806-s01-01.html

今回ばかりは思わず画集と,絵葉書と,それを入れる額まで買ってしまいました。
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by dobashinaika | 2015-09-10 22:31 | 音楽、美術など | Comments(0)

ボストン美術館展と大友克洋GENGA展

今日はかねてより、どうしても行きたかった2つのアート展、ボストン美術館展大友克洋GENGA展のはしこをしに東京に行ってきました。
午前中の東京国立博物館はGWだけあって、かなりの混雑でした。
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快慶の仏像、曾我蕭白ワールドなどどれもこれも日本美術ファンにはたまらない企画ですが、自分としては日本画中最もお気に入りの絵の一つ「平治物語絵巻三条殿夜討巻」がなんといっても鳥肌モノでした。
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絵巻物というのは、俯瞰図なわけですが、ある一つの視点、一人の視線からではなく、複数の視点視線で世界を俯瞰しているわけで、西洋画に見られる個人の視点視線に基づく遠近法とは対照的なものの捉え方だと思います。

中でもこの三条殿夜討巻は、構図や色使い、一人ひとりの人物描写の精緻性など比類の無いものであり、じっと見入っていますと、これは絵画というより一つのシンフォニーを聞いているような感覚にとらわれます。

こうした国宝級の美術作品が明治維新の時廃仏毀釈のため、多く失われたのは、本当に痛恨の極みですね。これら日本美術の価値をいち早く見ぬいたフェノロサやビゲローには感謝しなければならないと思います。

午後は秋葉原に大友克洋GENGA展を見ました。
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大友克洋は「童夢」がちょうど私の大学時代に出て、読んだ夜興奮のあまり眠れなかった位の同時代性を感じる作家で、「童夢」も「AKIRA」も初版を大切に保管してあります。「童夢」も「AKIRA」も一コマ一コマの精緻な描写は言わずもがな、それとストーリー性を両立させた点、映画のようなコマ割など、原画を見ていたら、これ午前中の「夜討巻」の感覚にパラレルだと気づきました。
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日本の絵巻物がもともと漫画的であったところに、大友克洋が漫画を鎌倉時代の絵巻物のレベルに漫画を引き上げたといってもいいかもしれません。

同じく公開になったもう一つの絵巻物「吉備大臣入唐絵巻」では空飛ぶ超能力者として吉備真備が描かれていますが、巨大団地の空中を飛び回る「童夢」の原画を見ているとまさに700年以上の時を超えた現代の絵巻物として大友克洋の世界を捉えることができ、大変面白い「アートのはしご」ができたと思います。
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あすからまた、心房細動周辺の話題に戻ります。
by dobashinaika | 2012-04-30 00:22 | 音楽、美術など | Comments(0)

長谷川潾二郎展

12月5日(日)は、宮城県美術館に「孤高の画家 長谷川潾二郎展」を見に行きました。潾二郎の絵はひっそりとしていて、時に懐かしさを感じさせます。日曜日の午前、静謐な時間を味わうことができました。
追記:眠り猫コンテストは私が予想していた通りの写真が受賞したようです。
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by dobashinaika | 2010-12-08 06:19 | 音楽、美術など | Comments(1)

円山応挙展  

日本画ファンとしてどうしても外せない美術展があったので、風邪気味なのを押して日本橋の三井記念美術館まで足を運んできました。お目当ての画家とは、空間の魔術師”円山応挙”です。長谷川等伯とか、伊藤若冲とか最近日本画家もいわゆる”ブレイク”して来るようになっていますが、そのすばらしさの割には今ひとつ人口に膾炙していないのが応挙かもしれません。

すごい絵を見ていると、最近は背筋が続々して、何となく涙が出てきてしまう歳になったのですが、応挙の描く雀のリアリティには鳥肌が立ちました。

十分有名ではありますが、もっと多くの人が知ってほしいです、応挙は。

午後はすぐ近くの会場で行われた、日本医学教育学会のシンポジウム「医のプロフェッショナリズムの新たな展開〜互恵的利他主義に基づく社会契約とは〜」での山岸俊男先生と松尾匡先生のお話を拝聴してきました。その報告はまた後日にします。
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by dobashinaika | 2010-11-03 23:13 | 音楽、美術など

ギュンター・ヴァント。。。。。いや、参りました

唐突ですが、実は無類のクラシック音楽好きです。
これまで機会がなかったので、カミングアウトしませんでした。

しかし、書かずにはおれないCDと出会ってしまったので、正直に書きます。

そのCDとは ギュンター・ヴァント、ベルリン・ドイツ交響楽団ライブ。

ギュンター・ヴァントは私にとって神のような指揮者であり、これまでほぼすべてのCDを持っているのですが、このシリーズには参りました。ベートーベンの交響曲、それも1番がこんなに素敵な音楽だったとは。。。。

先日の小澤征爾、サイトウキネンのリハーサル(NHKテレビ放映)に続き、今週は魂の打ちふるえる音楽との出会いが多い週でした。
by dobashinaika | 2010-09-09 23:48 | 音楽、美術など | Comments(0)

長谷川等伯に酔う

昨日14日は、上野の国立博物館で「特別展 長谷川等伯」を見に行ってきました。花鳥風月を描く繊細さに接するにつけ、日本人に生まれてよかったなあと思わせられますが、等伯の絵には繊細さと大胆が同居していました。草木の枝や人物のr輪郭を描くときの一気呵成と、織りなす草葉の一葉一葉にまで陰影のついた細やかさとが、同時に一つの画面に溶け合っていました。

松林図屏風との対面はこれで3回目になりますが、毎回、背筋に鳥肌が立つのを覚えます。描かないことで霧が表現できるとは!

それにしても、朝9時に到着した時点で大変な長蛇の列でして、最近の日本美術ブームを垣間見る思いでした。帰りは上野公園の寒緋桜をシャッターに収め、帰途につきました。a0119856_22515087.jpg
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by dobashinaika | 2010-03-15 22:54 | 音楽、美術など

高校の同窓会~ルーブル美術館展

先週末(2月28日)は東京で、私の母校(高校)の同窓会に出席いたしました。学年全体の同窓会は卒業後初めてであり、多くの恩師、級友に実に29年ぶりに再開し、つかの間の時間旅行をした気分になりました。

母校の同窓会は「知道会」といいます。「知道」とは中国の五経のひとつ「易経」の中の「知 萬物に周(あまね)くして、道 天下を済(すく)う」に由来します。易経は占いの書ですので、ここでの「知」はいわゆる「知識(形式知)」ではなくて、最近よく言われる「暗黙知、経験知」のことではなかろうかと勝手に解釈しています。

この「知」は、医師にとっては、医学の教科書にある知識や私のモットーとしている科学的根拠(エビデンス)とかではなく、患者さんを診療する中から自然に身に付いた「改めて考えることなく使用できるなにものか」だろうと推察されます。

ワーファリンという納豆が食べられなくなる薬がありますが、このくらいの血液サラサラ度だったら、このくらいの量を処方しよう、という知識は教科書にはのってはいません。これなど、まさに「経験知」だろうと思います。このような経験知、暗黙知の引き出しをできるだけ多く使える医師を「名医」というのだろうなあ、などと同窓会の案内を見ながら帰りの新幹線で、つらつら思いました。

と、その前に、同窓会は深夜まで続きましたので一泊し、翌日フェルメールパワーをもらいに国立西洋美術館「ルーブル美術館展」に行きました。「レースを編む女」を凝視していますと、ダリがリメイクしたかった気持ちがわかるような気がします。あの光の描き分け方も「暗黙知」でしょうねえ。
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by dobashinaika | 2009-03-02 23:37 | 音楽、美術など


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


by dobashinaika

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