2017〜2018年心房細動のトピックスまとめ(1):ESC The year in cardiology 2017より

皆様,あけましておめでとうございます。

昨年は後半から,プライマリ・ケアの認定医や指導医講習会,ブラッシュアップセミナーなど,プライマリ・ケア/家庭医療の分野に比重を移していたため,ブログがすっかりご無沙汰となってしまいました。

しかしこの間,趣味の論文読みは飽きずにやっておりましたので,恒例の年間べスト5は,この週末に発表する予定です。

今日はEuropean HeartJournalから2017年の論文まとめー不整脈,心臓デバイス編を紹介します。
その前にこの記事でも紹介されていましたが,不整脈,電気生理検査のパイオニアであるMark E. Josephson先生が昨年72歳でご逝去され,その哀悼文が掲載されていました。私は先生のClinicalelectrophysiology,とくにAVNRTのchapterやシェーマをそれこそ,ぺージ数まで暗記するほど繰り返し読んだことを思い出し。訃報に接して悲嘆に暮れました。改めてご冥福をお祈りしたいと存じます。

今日は,本ブログのメイン領域である”Stroke prevention in atrial fibrillation”の章をまとめます。


Stroke prevention in atrial fibrillation
・2016年ESCガイドラインではNOACが望ましい治療として位置づけられている1)
・遺伝子ガイドのワルファリン治療はNOAC優位を覆すかもしれない2)
・一方ワルファリン治療下の頭蓋内出血の多く(78.5%)は,INR<3.0の標準用量で生じるとされている3)
・念入りなRCTの解析により,4つのRCTの再ヤコ例の違いが明確となってきている

・NOACの残された課題として不適切な”減量(reduced)”使用がある
・医療保険ベースのデータによると減量使用は全体の40%以上
・特にアピキサバンで著明であり,AROSTOTLE試験でアピキサバン2x2.5mg投与例4.7%との比較もなされていない4)
・重要な点として,アピキサバンやリバーロキサバンのクライテリアに一致しない減量使用が,RCTではその適切さをが証明されておらず,決して予測し得ない結果を招いていおり,それ故に推奨されないといことである
・対照的に,RE-LYとENGAGE AF-TIMI48では”低用量(lower dose)"使用に関して特に解析がなされている5.6)
・(クライテリアに準拠した)低用量使用か,(不適切な)減量しようかの比率を解析できるのが,保険ベースデータの強みだが,こうしたデータは,医療者と患者に,RCTのポジティブでデータはクライテリア道理に使用して初めて得られるということへの再認識を求める
・一方いわゆる"Real world data”,特に保険ベースの結果には十分な注意を要する
・統計的な補正にかかわらず,交絡因子は存在し,解釈には限界があり,因果関係の評価は不可能である7)

・心原性脳塞栓のもう一つのモダリティとして左心耳閉鎖術がある
・1つのデータとしてEVOLUTION registryにおいてWatchmanの1年間の結果が発表され,1000人あたりのstroke発症率は低率であった8)
・しかし同学会でのフランスからのデータでは,377例中6.1%でデバイスを閉鎖する血栓を認めた9)
・この学会の最後では,塞栓子の留置場所が未だに定まっていないことが顕にかになった。PROTECT-AF studyから8年以上たってもである
・2016年ESCガイドラインでは左心耳閉鎖術はClass IIbである1)
・さらに登録研究がでたところでこの推奨レベルは変わりそうにない。よくデザインされたRCTが必要
・CLOSURE-AF, ASAP-TOOなどの高リスく例での試験が進行中であるが,左心耳閉鎖術vsNOACの比較試験が急務である
・また,左心耳閉鎖術+低用量NOACのコンビネーションについては全く研究されていないが,実際はこの2つは相補的なコンセプトであろう
・残念なことに,今現在こうした興味についてのスポンサーは限られている

1)2016 ESC guidelines for the management of atrial fibrillation developed in collaboration with EACTS. Eur Heart J 2016;37:2893–2962
2)Effect of genotype-guided warfarin dosing on clinical events and anticoagulation control among patients undergoing hip or knee arthroplasty: the gift randomized clinical trial.JAMA 2017;318:1115–1124.
3)Intracranial hemorrhage in patients with atrial fibrillation receiving anticoagulation therapy
.Blood 2017;129:2980–2987.
4)Apixaban versus warfarin in patients with atrial fibrillation.N Engl J Med 2011;365:981–992.
5)Dabigatran versus warfarin in patients with atrial fibrillation.N Engl J Med 2009;361:1139–1151.
6)Edoxaban versus warfarin in patients with atrial fibrillation.N Engl J Med 2013;369:2093–2104.
7)J Thromb Haemost 2016;14:2091.http://dx.doi.org/10.1111/jth.13557
8)Boersma et al., presented at Europe 201
9)Fauchier et al., presented at Europe 2017

### ESCでは・NOACの減量使用,・左心耳閉鎖術の2つが取り上げられていました。
クライテリアに基づいた「低用量使用」と不適切な「減量使用」を分けて述べていました。どちらが良いかの検証ですが,日本ではあまりなされていないようです。日本の現状が知りたいところです。

左心耳閉鎖術も多くの問題があるようですね。W-O法がより普及するとどうなるでしょうか。

私,個人的には以下の4つのポイントが昨年〜ことしのメインストリームのように思います。
1)Cardio-oncology(心臓ー悪性腫瘍連関)と抗凝固薬
2)認知症と抗凝固薬
3)ESUSあるいはSub-clinical AF
そして
4)新しいThrombi-Cardiologyは到来するか

ことしの当ブログは,これまでのような論文紹介はトピックなものだけにとどめ,この4テーマをそれぞれ私見を交えて,その都度サマリー的にまとめて出していきたいと思います。またよりプライマリ・ケア的なテーマも取り上げていきます。
本年もよろしくお願い申し上げます。

### 大崎八幡神社参道で当院の提灯発見
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by dobashinaika | 2018-01-05 22:52 | 抗凝固療法:全般 | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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