リクシアナおさらい:30mgは1錠748円、60mgは1錠758円

4番目のNOAC、リクシアナ(エドキサバン)錠60mgが11月25日に、薬価収載され、12月8日に発売になると発表されたようです。
https://www.medicallibrary-dsc.info/di/lixiana_tablets_60mg.php

これで同薬の15mg、30mg、60mgの3つの剤型が全て使えることになり、私達は4種類のNOACを手中に収める可能性が示されたわけです。
簡単にリクシアナのおさらいをしたいと思います。

<薬価>
リクシアナ60mg:758,1円→1ヶ月(30日)6822.9円(3割負担)、4548.6円(2割負担)、2274.3円(1割負担)
リクシアナ30mg:748.1円→1ヶ月(30日)6732.9円(3割負担)、4488.6円(2割負担)、2244.3円(1割負担)

ちなみにプラザキサ110mgx2:478,6円、プラザキザ150mgx2:545.6円、イグザレルト10mg:383.4円、イグザレルト15mg:545.6円、エリキュース2.5mgx2:298.0円、エリキュース5mgx2:545.6円

ただし、だれでも考えつくように60mgを半錠分割処方すれば30mg分を379.05円で買うことは可能かと思われます。処方の書き方、または半錠処方の安全性などをどう考えるかにもよると思いますが。

<用法・用量>
・1日1回
・体重60kg以下:30mg、体重60kg超;60mg
・60kg超の人でも以下のひとは30mg:
キニジン、ベラパミル、エリスロマイシン、シクロスポリン併用
CCR30〜50
・CCr15〜30未満:30mg慎重投与
・CCr15未満:禁忌

<薬物動態>
・生物学的利用率:50〜60%
・蛋白結合率:40〜59%
・腎排泄率:50%
・CYP代謝:4%未満

<ENGAGE AF試験の対象>
・CHADS2スコア2点以上(平均CHADS2スコア2.8点)
・年齢中央値72歳
。ワルファリン群のTTR平均値64.9%
・アスピリン併用例29%、抗血小板薬2剤以上併用禁止

<ENGAGE AFアウトカム(対ワルファリンハザード比)>
・脳卒中/全身性塞栓症:30mg=1.13(0.96−1.34:p=0.10)、60mg=0.87(0.73-1.04:p=0.08)
・大出血:30mg=0.47(0.41-0.55:p<0.01)、60mg=0.80(0.71-0.91:p<0.01)
・頭蓋内出血:30mg=0.30(0.21−0.43:p<0.01)、60mg=0.47(0.34-0.63:p<0.01)
・虚血性脳卒中:30mg=1.41(1.19−1.67:p<0.01)、60mg=1.00(0.83-1.19:p=0.97)
・消化管出血:30mg=0.67(p<0.001)60mg=1.23(p=0.03)
・心筋梗塞:30mg=1.19(0.95−1.49:p=0.13)、60mg=0.94(0.74-1.19:p=0.60)
・全死亡:30mg=0.87(0.79−0.96:p=0.006)、60mg=0.92(0.83-1.01:p=0.08)

従来から言われているように、ワルファリンに比べ、脳卒中/全身性塞栓症は同等、大出血はかなり少ない、頭蓋内出血はかなり少ない、虚血性脳卒中は30mgで増える、消化管出血は減る、心筋梗塞は同等、全死亡は30mgで減る、とざっくり言えば言えます。

30mgは特に出血が恐ろしく少ないですね。ISTH基準の大出血の年間発症率が1.61%で単純にワルファリンの半分、頭蓋内出血も0.26%でこれはワルファリンの3分の1くらいと、ほとんど抗凝固薬を何も飲んでいないのと同じレベルに近いですね。

まあ一番最後にでた論文ですし、ワルファリンへの切り替え法や入念な第II相試験など、様々に工夫が凝らさせていますので、その分は勘案する必要はあるかもしれません。

一方、30mgでは虚血性脳卒中が増えているのが、一番頭を悩ませます。15mgに容量調節した例に多いようですが、サブ解析の論文化がまたれるところです。

日本人、特に65歳以上の女性となると、30mgの人がかなりの割合になると思われます。30mgは1日1回で安全性は高い(使い方によっては他のNOACより安い)となると可能性は感じさせます。

ただし、まだ観察研究はゼロですし、プライマリ・ケア医は当分様子見でよろしいと思います。
なお既に静脈血栓症の適応があるので、長期処方がいきなりできますね。

ENGAGE-AFのブログはこちら
エドキサバンの薬物動態の総説はこちら

$$$ 一昨日紹介した神社のもみじ、やはり青空に映えます。小雨のときとはまた違った趣ですね。
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by dobashinaika | 2014-11-28 23:20 | 抗凝固療法:エドキサバン | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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