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「弁膜症性心房細動」の新しい呼び方の提唱;EHJ誌

European Heart Journal オンライン版 CURRENT OPINION:

What is ‘valvular’ atrial fibrillation? A reappraisal
Raffaele De Caterina and A. John Cam


Dr. Camらによる「弁膜症性」心房細動に関するオピニオンです。
著者等による「弁膜症性」の定義と結論のみ紹介します。

・「弁膜症性」「非弁膜症性」はしばしば混乱を招く
・機械的な人工弁表面での血液の接触の仕方は弁膜症のない多くの心房細動の場合とは異なる
・心房細動のない機械弁患者においてもワルファリンは、ダビガトランより効果的かつ安全

・中等度〜高度僧帽弁狭窄症と人工弁は血栓塞栓症のリスクが特に高い
・「僧帽弁狭窄症」は「リウマチ性心房細動」とほど同じ意味で使われる
・僧帽弁狭窄症における血栓生成の病理は非弁膜症性のそれとは質的に異なるかどうか不明

・僧帽弁閉鎖不全症、大動脈弁狭窄症、大動脈弁閉鎖不全症は左房内の低血流を来さないし、血栓塞栓リスクの増加は明らかでない
.またそれらは「非弁膜症性」に比べNOACでの血栓塞栓症リスクの低下も明らかではない

・同様に、肥大型心筋症も非弁膜症に比べて、NOACがリスクを減らすわけではない

・生体弁や弁形成後は「非弁膜症性」に比べて、血栓塞栓リスクの点で本質的にあまり変わりはない
・NOACがこれらにおいてワルファリンより優れているエビデンスもない

我々は、‘mechanical and rheumaticmitral valvular AF’ (略して MARM-AF) という言葉を提唱する。

###  「弁膜症性」だと人工弁がぬけますので、「非ー非弁膜症性」という疾患概念を作る必要があるわけですね。NOACの適応はいずれも「非弁膜症性心房細動」ですが、この「弁膜症」の定義がいつも紛らわしく、保険査定上も問題となるところです。

本来は「人工弁及びリウマチ性僧帽弁性心房細動」というのが正しいというわけでそれを略してMARM AF(マームエーエフ)という呼び名が飛び出してきました。

最後のほうでイタリック体で控えめには記載されていますけど、その程度普及するでしょうか。
by dobashinaika | 2014-10-07 23:45 | 抗凝固療法:全般 | Comments(0)


土橋内科医院の院長ブログです。心房細動やプライマリ・ケアに関連する医学論文の紹介もしくは知識整理を主な目的とします。時々日頃思うこともつぶやきます。


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